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第26話 魔王城

 魔界は人間界と対して変わりがないように見えた。

 ただ田舎町のナーストレンドと違い、魔界の首都であるというこの街は地面は石畳が整備され、高層階の建物が多く、建物の密集度も高い。


 道交う人々は当然だが人間は見受けられない。

 獣族だったり、ゴブリン族だったり、よくわからない種族だったりと異形のものたちが行き交っている。

 人間は珍しいのかジーンとマリーナは、すれ違いざまにジロジロ見られることが多かった。


 今は魔界都市の入り口にいた衛兵に聞いた、魔王城をめざして進んでいる。

 衛兵に人間界からカルティアを連れてくる予定だった使者だ、と伝えるとすぐに伝わった。

 衛兵の一人は一足先に魔王城に報告に走っており、先に魔王に報告はされているはずだった。


 魔王城の威容が徐々に明らかになっていく。

 一般の建物は人間界と大差ないが、魔王城は人間界と随分違う。


 どんな素材で構成されているのか魔王城は漆黒で黒光している。

 まるで生き物、例えば竜などで構成されているようかのような独特の形状をしている。

 魔王城をはじめて目にしたものは必ず畏怖の念を抱くと思われた。そんな威容だ。


 徐々に魔王城に近づくと、入り口付近に人が集まっているのが確認できる。

 その中でも中心に一際巨体で筋肉質の偉丈夫が立っている。

 その者が纏うオーラや覇気が明らかに他のものと違う。

 おそらく彼が魔王ガルギアだと思われた。


 遂に魔王たちの元までたどり着くと、ガルギアは開口一番。


「……カルティアはどうした?」

「すまない……行方がわからなくなってしまった」

「カルティアはどうしたぁああああ!!! 森の中で突如消えただと、この痴れ者がぁああああああ!!!!」


 ガルギアは宙に拳を振り上げる。


「陛下、お止めください!!」


 ガルギアの傍らにいるグレイグからストップがかかるが、頭に血が上ったガルギアの耳には届かない。

 危険を察知したジーンはマリーナを巻き添えにしないように前に進み出る。


「ゔぉおおおおおおおおお!!!!」


 ジーンはガルギアから振り下ろされるその拳を受け止める。


 ズギャァアアアアアアアアーーーン!!!


 凄まじい衝撃音と地震のような地響きが発生する。

 魔界の住民の悲鳴が所々で上がる。


 マリーナは恐怖で閉じていた瞳を開く。

 そこにはガルギアの攻撃によって形成されたクレーターの中心で、振り下ろした拳を受け止めているジーンの姿があった。


「そんな! 陛下の一撃を受け止めるなど!」

「魔王トーナメント決勝の相手を殲滅したのと遜色ないような一撃だったはずだぞ!!」

「一体何者だ!」

「まさかビビアーナが化けてきたのか!?」

「そんな訳はないだろう!」

「でもそうじゃないと説明が……」


 そこでガルギアは片手を宙に上げると、彼の後方に控えた従者たちは静まり返る。


「ナーストレンドでアスタロトが討伐されたと聞いている。貴様がアスタロトを討伐した本人だな」

「ああ、相違ない」


 するとガルギアはジーンのことを360度舐め回すように見回す。

 その時、何か独り言を、「ほんとに人間か?」や「確かに魔族特有の魔力は感じない」などブツブツ言っている。

 一通り見回し、それが終わると。


「確かに人間のようだな。一つ聞くが貴様天界と関係しているか?」

「いや、関係していないが……」


 その時、ジーンの後方に控えていたマリーナは、少し目線を下に逸らして俯く。


「ん? 後ろのおなご。貴様は何者だ? どうやら人間……」

「ガルギア様! 私のことはいいではありませんか! そんなことより、カルティアちゃんの行方を!」

「…………まあ、よいわ。貴様ら魔王城に入るがいい。おい、グレイグ。カルティアの捜索隊はもう構成されておるか!?」

「はい、陛下。すぐさま軍を総動員して捜索に当たります!」

「よし! 貴様らついてこい!」


 ジーンとマリーナはガルギアに言われるがままに後についていく。

 それにしてもガルギアが、先程マリーナに言いかけたことが少し気にはなるな……。

 何か知られたくない秘密でもあるのだろうか?


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