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4.みずしぃとうち 2025/8/20




「なあ、一個いいか」


 超時間のかかった就活が終わって、さあ今日はみずしぃと打ち上げ! ってときに、ピアノ君の声がうちを引きとめた。かなりの囁き声だったから、先を歩くみずしぃは気付いたふうもなく『蕎麦居酒屋 汁麺荘』の暖簾をくぐる。ああん、もう。こんなときに相談事? 早く終わらせてよね。


「うち? 何? 帰ってからじゃダメ?」

「……その、『うち』っての、辞めろよ」


 なっ。


「なによ、急に。ピアノ君には関係ないじゃん」

「関係なくねえよ。気持ちわりいだろ」


 気持ち悪いって……!


「ねえ、喧嘩は」

「ヴィオラ君は黙ってて!」


 うちは臨戦態勢に入る。そんなこと言われる筋合いないっての!


「なによ。なによ、なによそれ! うちがうちをうちって言って何が悪いわけ?」

「お前、あんま勝手なこと言うなよ。俺たち揃って迷惑被ってんだ」

「俺たちって何よ。ヴァイオリン君とヴィオラ君も迷惑だって言いたいの? ねえ」


 耳を澄ます。すぐそばのヴァイオリン君とヴィオラ君は無言の肯定を返した。


「あ、あんたらねえ……! 誰のおかげで就活上手くいったと思ってんのよ!」


 つい声を荒げてしまう。


「気取ったクソ生意気な大学生と、根暗でなんも喋んない大学生。まともな礼儀もない大学生と、うち!」


 眉がピクリと動いた。


「どう考えてもうちが頑張ったから今日こうやって打ち上げ来れてるんじゃない! 感謝されこそすれ、うちが気持ち悪いって何よ! 迷惑って何よ!」

「てめえがしゃしゃり出てくるせいでしち面倒くさくなったことが一体どれだけあると思ってんだ! いつもいつも尻拭いしてんのは俺たちだぞ!」

「……そうだな」

「そうかも……」


 ああーっ! 二人ともピアノ君の側に付くわけ? ほんっと信じらんない!

 



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