素敵な男性と出逢いました
食堂に着くと、執事や侍女のみなさんがいました。
「今日はビュッフェ形式にしました。残すと困るので、屋敷のみんなで食べようと思いますがよろしいですか?」
「はい!みんなで食べた方が楽しいです!
ダンスのないビュッフェ、最高です!
ねぇ、エミリアも一緒に食べましょうね!」
あぁ!伯爵様は覚えていてくださったんだわ!
『わたくしは少しずつ色んなものをみんなで食べるのが好きなのです。
堅苦しいのはどうも苦手ですの。
本当は仲の良い侍女やご令嬢様方と食べたいの。それにダンスも要らないわ。わたくしとっっっても苦手なの!』
『奇遇ですね。ダンスはわたしも苦手です。
うちの領では、よくビュッフェにして使用人もみんなで一緒に食べることが多いですよ。
他領の領主様方には、はしたない、と言われてしまいますが…。
うちの領は気さくな方が多いので、よく露店の様にして平民にも配ってます。商人たちも気前がいいので無償で露店を出すこともあります。月に一度はお祭りのようになりますよ。』
一目ではむすっとした体が大きい武人のようだが、コータル伯爵様は明るい笑顔でニコッと笑ってお話ししてくださった。
『まぁ!じゃあコータル伯爵様の領へお邪魔しませんと!わたくしもぜひお仲間にいれてくださいな!』
『えぇ!喜んで!お待ちしておりますよ。』
社交辞令でしかないだろうと思ってたお返事も、私の好きなことも、しっかり覚えていてくださった。
嬉しい気持ちでいっぱいになる。
王宮では礼儀のない変わり者、と言われたこともあったけど…この人の前では我慢しなくて良いのだわ!!
わたくしを見て微笑んでるエミリア。
「良かったですね、オリビア様。
やっと素敵な男性に出逢われましたね。」
囁かれた言葉はわたくしには聞こえなかったけれど。