オリビア様は危機感が足りない
「オリビア王女のお部屋はこちらです。隣のお部屋はエミリアさんがお使いください。
大変申し訳ないのですが、わたしは巡回の時間なのでこれにて失礼いたします。不在の間、不明なことがあれば執事のハンスか侍女長のキャロラインに聞いてください。
夕食はご一緒に。夕方お迎えに上がります。」
「わかりました。お忙しい中、お出迎えありがとうございます!お夕食楽しみにしてます!
ハンス、キャロライン、頼りにしてます。よろしくお願いしますね。」
大体の荷解きを終えたあと、エミリアはハンスとキャロラインと共に仕事内容の確認に行ってしまったので、部屋に1人になってしまいました。
「うーん!暇です!ノエル様が迎えにいらっしゃるまで探検でも……。」
あれ?お花のところにカード?
『オリビア王女へ
今夜の夕食は私の大好物をご用意しました。
きっと気に入っていただけると思います。
お食事後、感想をお聞かせください。
ノエル・アンセム・コータル』
わぁ!わたくしへのお手紙です!
コータル伯爵もお花にカードなんて素敵なことなさるのね。
武力一辺倒とお聞きしてたから意外だったわ。
「ふふっ。」
「オリビア様。なにか面白いことでもございましたか?」
「あ!エミリア!いつの間に戻ってきてたの?
気がつかなかったわ。」
「つい先ほど。オリビア様、お顔がにやけてますよ。他の方の前ではお気をつけくださいませ。可愛すぎて誘拐されてしまいます。」
エミリア……!!
そんなこと言うのはあなただけよ!
「さーれーまーせーんー!
わたくしなんて王都にいたときからどなたも興味なんて持たれてないもの。
お父様とエミリアくらいよ。そんな物好き。」
くすくす。と笑いながら答える。
だが実際その通りなのだ。
継承権も一番下位、婚約の申し込みすらない。
まぁ当たり前よねー。だって中身と頭脳がね…問題アリよね…。
うぅ。自分で言ってダメージ!!
―――――――コンコンコン。
「はぁい!」
オリビアは勢い良くドアを開ける。
そこにはコータル伯爵が立っていた。
ん?なんだかビックリしている?
「オリビア様!」
あ!しまった!エミリアに怒られる。
勝手にドアは開けてはいけません!だよね~?
と目配せして反省する。
エミリアは目をつぶって首を振っていた…。
ごめん。ごめんなさい。次から気を付けます。
「はっはっは!歓迎していただけで光栄です。
お食事のご用意が出来たのでお迎えに上がりました。エスコートさせていただいてもよろしいですか?」
コータル伯爵はニコッと笑って手を差し出してくれた。
やっぱり白くて並びのきれいな歯だな~。
日焼けもしてるから余計にきれいさが目立つ。
「はい!お願いします。」
そっと手を重ねて、食堂へと向かった。