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「……体が……傷が……治らない……。私は……まだ……」

 両腕と右脚が斬り飛ばされて、半ば達磨状態になったダーマーが芋虫のようにもがいている。葉月の放った氷の刃はすでに姿を消し、半壊したロッカールームには満身創痍のダーマーと、現実世界で何事もなく過ごしている利用客らがいるだけだった。

「肉……肉を食べなければ……。少しでも長く延命して……同類の彼だけでも……」

「――よう化け物。意外としぶといじゃねえか、なあ?」

 這いずり出したダーマーの前に何者かが立ちはだかるように現れた。ダーマーが顔を上げる前に革靴の爪先が顔面に突き込まれ、強制的に仰向けへと変えられる。人影はダーマーに馬乗りになると、手にしていたモスバーグM500散弾銃の銃口を殺人鬼の口腔に捩込んだ。その過程で歯がバキバキと割れ、舌と上顎の肉が削り落とされる。声にならない声を上げ、罠にかかった野生動物のようにもがき苦しむ。

 散弾銃の所持者は手心を加えるつもりは微塵もないようだった。スーツの上からレザージャケットを羽織り、眉間や目許に刻まれた皺が圧倒的な威圧感を放つ初老の男性。男は散弾銃の先端でダーマーの口の中をゴリゴリと掻き回す。その度にくぐもった悲鳴が洩れ出した。

「選べ、犯罪者」男はダーマー以上の殺意を含んだ声で命令した。「楽に死ぬか、苦しんで死ぬか。いずれにしろ化け物に適用される法律なんて存在しねえからな。テメエを守ってくれるもんなんて何もねえ。少しでもマシな方を選択しろよ」と引き金に力をかける。「——怪恨、滅恨士、滅恨術。とりあえずはこの辺りからだな。そんでテメエ自身の事と『黄昏の骸』とかいうのについても。楽に死にたけりゃ洗いざらい話せ。警察舐めてっと後悔すんぞ」

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