表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わった世界で。  作者: とにあ
7/7

霧湖島①

 

「ミコト!」

 タマキの声に目をあける。

 そこはダークブルーの世界。白い門と僕を取囲む白い壁。タマキとその契約隣人が僕を静かに見上げている。

『ミコト。あわせて』

 スティミアの声が僕を誘導する。『上へ』と。

 ダークブルーの世界に白い光線が走る。そこにはたくさんの情報が入り乱れて走りまわっている。

 ゆっくりと白い光線が減っていく。スティミアが届く情報を絞っているのだ。光線がずいぶん減ってようやく僕は詰めていた息を吐く。

 ダークブルーと白、そして灰色で構成されたノイズが視界を染めた。瞬きをしたと思ったら、世界が青に染まった。

 濃紺に散る星々のひかり。風に吹き飛ばされた雲の名残り。海の彼方に人工のひかり。

 僕は、空にいた。

「……スティミア」

 僕はスティミアを呼ぶ。

 心は浮かれている。意識をどこに傾けるべきかもわからない。ただスティミアを呼んだ。

「スティミア、スティミア! 空だ! 僕は今、飛んでる!!」

 興奮のままなにかをたたいた。目の前がじわりと認識されていく。透明な膜のむこうに見えているのは計器のたぐいだろうか?

 勢いで計器をたたいたわけではなさそうだった。

 スッと『ただの飾りだよ』とスティミアの意思が応えた。

 すべての計算はスティミアが請け負っている。僕は行きたいところや飛びたい飛び方を考えるだけでいいとスティミアが伝えてくる。

 前面のモニターに映る蒼。

 雲を視認したと思えば、その雲につっこんでいて。

 ああ、馬鹿なことをしている。

 なんて楽しい。

 なんて嬉しい。

 意識の片隅で地面への追突カウントダウン。飛翔生物の観測。

 ポンと突きつけられるエネルギー残量。

『着陸を意識しろ』というスティミアの苦笑いしているような意識。

 ああ、二人のところに帰らなければ。

 訓練のために立ち寄った霧湖島(キリウミジマ)に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ