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生まれ変わった世界で。  作者: とにあ
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スティミア③


 小型の船は大伯父さんの所有物でいろんな場所に行ったとか聞いている。今ではきっと考えられない旅だったんだと思う。

 事実、大伯父さんが旅した時は隣人のような存在は空想や幻想の霧のむこうにしかいないものだったって聞いた。

 人間の技術が支配できないことも多いけれど、人は支配者であると錯覚しそうなほどに傲慢さを持っていたって。

 人間の多くは隣人の理不尽に無力だ。

 彼らは人間を気にすることもあるけれど大概において無関心だ。

 彼らは僕らが鳥を愛でるように人間を愛で、僕らが蜘蛛の巣を何も思わず駆除するくらいの無関心さで寝返りをうつ。

 海に、人の分布の少ない場所を縄張りにする隣人たちは多く無関心か敵対的かで今の海は危険なのだ。

 それでも、海へ漁に出る漁師はいるし、命がけで海を渡る冒険好きだっている。年に十組くらいSNSや情報番組で出航する話を見かけて、年に三組くらい外海からたどり着いた船の話を見る。

 うち一組が三年ぶりの帰国とかで大きくとりあげられていた。

 彼らの情報はなかなかに追いにくく、人の意識は安全な場所に留まりやすい。

 冒険の海に出るのは、出るだけなら準備さえできれば難しくない。

 隣人が海の多くを支配した事から他国や自分たちの土地からはなれた場所の情報の多くを失った。

 それをそのままにしておくのは良くないがなかなかに人材を確保できないのも事実で、かろうじて冒険好きの旅人から情報を得ることしかできない。

 八年。八年で旅人は旅程の情報を提出することで好きに他国に渡れるようになった。

 ただ、渡す情報は気をつける必要があるとはこの外部に旅し難い世界で旅の風景写真家という胡散臭い職についてる父談である。

 就職を考える前に海や空に対する僕の望みの方向性を見極めたくて冒険の旅に対する情報を集めた。

『冒険の旅』は国内でもいいし、海外に出てもいいという隣人を知り己を知ると言うコンセプトの『成人イベント』だ。

 海外は危険度が激上がりなので推奨はされていない。国内でも旅の仕方によってはタチの悪い隣人や犯罪に巻き込まれる可能性はあり、『冒険の旅』に出ることを認められるのは十五からということになっている。

 こなさなくてもいいがこのイベントをクリアしているとなにかと有利になることも多いとか。

 僕は海を渡りたいと思っている。

 定期的な空路も海路も存在しない。移動手段は自分で確保する必要がある。僕はスティミアがどこまで飛べるかを知らない。

 というわけで起きたら海上だったんだけど、これはなにか違うと思うんだ。

「お。坊ちゃん起きたね。操船は任せてねー」って誕生ケーキを差し出されてもなんというかそう、釈然としない。

 この日から僕の片目はスティミアの目になった。

 八年待った契約は無事なされたのだ!


 空は、まだ飛べない。


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