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海外旅行

「ごめん、なさい、まだ、宿題、終わって、ない」

電波を上手く受診できない無線のように、桃子はしゃくりあげながら声を絞り出す。

「え?、旅行前にもうすぐ終わるって言ってたよね?」

桜子は優しく、優しく問いかける。

「半分、くら、い。でも、宿題、終、わらないと、旅行に、いけ、ないって、おも、ったから」

「あたしが手伝ってから、どれくらい進んだの?」

「国、語、と、理科、おわた。あと、は、ぜん、ぜん」

五人は口が「あ」の形をしたまま固まった。

つまり、たいして進んでいないということだった。


夏休み、8月の中頃に鬼怒川ファミリーは家族全員で海外旅行にいく予定だった。海外旅行地として世界の憧れと呼ばれたの常夏の島へだ。


予約したのは3月の19日。桃子の高校合格者発表の日。結果は郵送やオンラインでも確認できるが、高校の正門をくぐった先にある前庭でも貼り出される。

前庭で制服を着た先輩たちが合格者達に花束を贈り、不合格者達には「次は頑張って!」とエールを贈り、また一緒に泣いてくれる。

いつ、誰が始めたのかはわからないが、こういった生徒達が自主的に行う恒例行事は、太陽高校の校風を象徴していた。

そのため多くの受験者は直接高校へ見にいく者が多かった。


桃子は自分の受験番号が合格者として貼り出されているのを見た瞬間、号泣した。

家族全員が同じように号泣した。

桜子は同輩や先輩達に自慢の妹を紹介して回ったが、あまりにも大泣きぶりに、みんな喜んではくれたものの、強い熱量に気圧され気持ちが後ずさった。

また、家族全員が号泣しながら「桃子をよろしくお願いします!」「桃子をお願いします!」「ありがとう!」「ありがとう!」と選挙活動の挨拶のように、在校生達や他の合格者達に握手して回った。

あまりの熱の入りようと涙の量が有名になり、後に「鬼怒川ファミリー熱湯感謝」と呼ばれる。


熱湯時間が落ち着くと、父が「お祝いに海外旅行に行こう」と言い出した。

行く!行こう!やったー!と6人は喜び、そのまま旅行会社に行き、夏休みに予約をした。

そしてこの旅行を200%楽しむために、すべての用事を片付けていく約束を家族間でし、もし出来ていなかったら行けないと話したのだ。


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