8月30日朝食
8月30日、明日が夏休み最後の日。
朝、気温が上がると共に、セミが叫ぶように鳴き始める。
鬼怒川家の朝の食卓はその声すら心地よく、穏やかだった。
桜子も桃子も、大量にあった宿題は家族旅行前に終わらせた。
父と母、祖父、祖母の四人とも今日明日はお休みで、仕事がない。
家族で美味しいものを食べにお出かけしようか?
お昼はゆっくりして、夜にレストランに行こう。
どこがいい?、ホテルの最上階の、展望レストランは?
朝食のトースト、牛乳、ソーセージと目玉焼きを食べながら、会話が弾む。
「桃ちゃん。ごはん食べ終わったらゲームしよ」
「なんのゲームしてるんだ?」
父が話に乗ってきた。
「レトロゲームで、お父さん知ってる?、異世界冒険譚キュンキュン」
「あー!、懐かしい!、大学の時にお母さんと凄くやった」
「それな、懐かしいな」
祖父が言った。
父母、祖父母は四人でテレビを前にして白熱して盛り上がった記憶を思い出した。
「そうなんだ!、じゃあ皆んなでやろ!」
桜子が椅子から立ち上がる。
桃子がワッと泣き出した。
突然のことに他の五人は一瞬固まり、うろたえた。
「どうしたの?」
桜子は心配して、桃子の腕を優しくそっとつかむ。