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Intermezzo : 皮肉なお城のひそひそ話

またしても、大分間があいてしまって、恐縮しかりです……。

今回のIntermezzoは前回とPrologueとは違う人間の視点で書かれています。

たらたらと、お馬鹿な三人が繰り広げてきたこのお話ですが、

ここいらでようやっと、流れが変わってくるかもしれません。

どうか、気長にお待ちくださいませ。

Intermezzo II


「こんなはずじゃなかった」

 

 何度、その言葉を聞いたのだろう。


 生まれたときから、その言葉に囲まれていた気がする。


 自分のせいではないのに。


 そう、これは自分のせいではない。


 なのに、皆、あたかもこれは自分の責任であるかのように言うのだ。 口をそろえて。


「計算外だった」

と。


 拳を握りしめて、怒りに震えたこともある。 人知れず、涙が頬を伝うままに空を仰いだこともある。 知ったことではないと声を荒げてしまいそうになるのを、口唇から血が滲むほどに噛んで、自分を律したこともある。 言葉で反抗する代わりに、わざと周囲を困惑させるような行為に及んだこともある。


 すべて、徒労に終わった。


 いま、心に残るのは、ただただ、ひたすらの、虚無感。


 それとも、自分は「すべて」を試していないだけだろうか。


 「すべて」出し尽くせば、何かが変わっていただのだろうか。


 不毛極まりない、「たら」と「ねば」の世界の中で、自分は、何を見つけられるというのだろうか。 それこそ、非生産的で不毛だ。


 そんな役立たずの自分を、鏡の中で自虐的に笑う自分を嘲り、一笑にふしてみせても、やっぱり何も変わらないのだ。


 「こんなはずじゃなかった」


 気付けば、その言葉を口にしていたのは、自分だ。


 なんて、皮肉な。


 自分を笑い飛ばすのにも疲れ果てて、周囲を振り回すのにも嫌気がさした頃、あれに出会った。


 それを、ひとは何て呼ぶのだろう?


 運命?


 それとも、人生の仕組んだ、新たな狂言?


 どちらでも構わない。


 何故?


 それは、誰かに理解してもらわねばならないことではないから。 誰かに説明しなければならないものではないから。


 それはとても、滑稽な狂言だったから。 それはとても、自分におあつらえ向きの運命だったから。


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