居場所
光の月とまで言われる晴天の五月の昼時にも関わらず、人は肌を晒してあるいている。夏場紫外線ばかり気にしている彼女でさえ、暖かくなりはじめのこの日を楽しもうとしている。知らぬ間に肌には沢山の光が刺さり、体を痛みもなく傷つけていると聞いたのはいつのことだったのだろう。
口の中が切れ、顔が腫れて、足のひん曲がった状態でアスファルトに身を投げている僕の周りには人だかりができている。他のところも怪我をしているのだろうか。あまり良く分からないが、何か僕の周りで僕を助けようと必死になってくれている人もいるようだ。
頭の上で輝く太陽ばかりと目があって、全然他のことなんて見えないが、大量の視線だけは分かる。
はてさて僕はどうなるのであろうか。
何だか目を開けているのが億劫になった。気持ちが悪いけれど気分はいい。
目を閉じる前に彼女を一目みたいなと思ったけれど、確認するのが怖くなるだけだったので目を閉じた。
目蓋がこんなに暖かくて明るいとは知らなかった。
そういや、おなかすいたな。
さようなら。
またね。
ゆっくりおいでね。