2限目
「こっちのページは触らないでちょうだい」
「あ、ああ」
・・・なんということだ。やってしまった。
今、俺は隣の席の美少女と、机をくっつけて授業を受けている。
全く。
このような事態になったのは全て俺の責任である。
朝から入れたはずの、数学の教科書。
なんと、学校に着いたら無かったのだ。
答えは簡単で、ただただ俺が入れてなかったのだ。
あぁあぁ。もう、気づいた時には真っ青。
別のクラスの奴に借りようかと思ったが、あいにくそんなに友人はいないし。
数少ない友人のクラスは、体育で、教室には鍵がかかっていた。
おかげで
「ちょっと、この消しゴムのカスはあなたの物よ。カスは消しゴムのカスくらい処理できるでしょう」
「いやお前、俺をカスに仕立てあげるなよ!?」
この様だ。
全く、この少女は、美少女なのに残念な美少女だ。
口から出るのは罵詈雑言。
地獄から出てきたのでは無いかと、疑いたくなる。
黙っていれば、綺麗なのになぁ。
綺麗なのに・・・
「うるさいわよ」
「いや俺は何もいってねーよ」
「あなたのシャープペンシルがノートに数字を刻む音よ。耳障りね」
「静かに書けってのか?」
「あなたがセクハラまがいのことを考えていたのは分かっているのよ」
「なんですと!?」
恐ろしい女だ。心を読まれている???
「ふん、馬鹿ね。目は口ほどに物を言うのよ?このゲスヤロウ」
「数学を教えてやってるの人に、ひどい事言うよな・・・お前」
「こっちが教科書を見せてあげてるのよ。まぁ、どうせ友人が少なすぎる可哀想な人だもの。救いの手を差し伸べるのは当たり前よ」
「優しい人っぽい事言ってるけど、めちゃめちゃ悪口だからな!?それ!」
「あらそう。知ってるわよ、カスさん」
「カスさんって何だよ。尊敬してんのか貶してるのか分かんないぞ?」
「貶していないわよ。貶す価値もないわ」
「・・・」
あぁ、あと15分で授業終了だ。
俺のメンタルは耐えきれるだろうか。
「時計を見ていないで、シャープペンシルを進めなさいよ」
「・・・はい」
だめだな。保健室行きかもしれない。