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第90話 心配

 護衛依頼を終え、ゴレイ山脈から帰還した翌日、

 俺は窓から差し込む明るい日差しで目を覚ます。


「……ん、もう朝か」


 まだ完全には目が覚めていない、半分寝ているような状態の目で窓から外を見てみると、どうやら日が昇ってから少し時間が経ってしまっているようだった。 

 

 ふむ、少し寝すぎてしまったようだ。まぁおそらく一日寝ていなかった影響だろう。体力的にはまったく問題なかったのだが、やはり精神的には疲れていたという事だろうか。


 まぁいいか。色々考えるのはこれくらいにして、とりあえず起きるとしますかね。そう考えベッドから体を起こして、いつものストレッチを始める。

  

 そしてストレッチをしながら今日の予定について考える。


「さて、今日は何をしようかね。まぁいつも通りゴルド森林にでも行ってレベル上げかな」


 そう考えた直後、ある事を忘れていた事に気付く。


 そうだ、たしかゴレイ山脈から帰ってきたら、ミナリスさんに魔法の扱い方を教えてもらう約束をしていたじゃないか。やばいやばい、すっかり忘れてしまっていた。よし、準備が終わったらミナリスさんの部屋に行ってみるとしよう。


 その後数分ほどで準備を終え、ミナリスさんの部屋へと向かう。

 そして扉を軽くノックしながら、


「ミナリスさん、話したい事があるのですが、今大丈夫でしょうか?」


 そう声をかける。

 すると返事はすぐに返ってきて、


「その声はユーマか。うむ、入ってええぞ」


「そうですか。では失礼しますね」


 許可を貰えたので扉を開け中に入っていく。

 

 するとミナリスさんはベッドにちょこんと座っていた。ふむ、見た目だけなら非常に可愛らしいのだが、中身は婆さんなんだよなぁ。まぁそれはそれでありだが。

 

 そんな事を考えながらミナリスさんの事を見てみると、


「ユーマよ、いくらわしが可愛いからといってあまりジロジロ見るのは感心せんぞ」


 そうニヤニヤしながら言ってくる。

 

 ふむ、150歳超えた婆さんが自分の事を可愛いとはよく言ったもんだな。たしかに可愛いけどさ。見た目だけはね? まぁそれはともかくとして、女性に対してジロジロ見ていたのは確かに失礼だったな。謝っておくとしよう。


「申し訳ありません。今度からは気を付けます」


「うむ、許そう。さて、では本題に入るとするか。今回ユーマがわしの部屋にまで来て話したい事というのは、前に話した魔法の扱い方の事でいいんかのう?」


「はい、その事です」


「やはりそうか。結論から言うが、すまんがわしにも用事があって今すぐ教えるという事はできそうにない。おそらくは2~3日後なら大丈夫なはずじゃ」


 ほう、あのミナリスさんに用事か。一体どんな用事なのだろうか。まぁ俺が気にすることじゃないか。


「そうですか。分かりました。では三日後に改めて話を伺いにきますね。それでは俺はこれで失礼します」


 最後にミナリスさんに軽く頭を下げ部屋を出ていく。


 さて、少し遅くなってしまったが朝食を食べにいくか。そう考え食堂に向けて歩き出す。そして食堂に入るといつもの俺を呼ぶ声が聞こえてきたのでそちらに向かう。


「よおユーマ、今日はお前にしては珍しく遅かったじぇねえか」


「ああ、すまん。少し起きるのが遅れてな」


「イグルさん、アニキは昨日ゴレイ山脈から帰ってきたばっかりっすよ。むしろもっと寝ててもいいくらいっす」


「おっと、そうだったな。すぐ帰ってきたもんだからすっかり忘れちまったてたぜ」


 その後、俺が席についてすぐにサリーが朝食を三人分持ってきてくれた。ふむ、三人分って事はイグルとマルブタは俺が起きてくるまで朝食を食べずに待っていてくれたというわけか。。俺は心の中で二人に感謝しながら朝食を食べ始めた。


 それから数十分後、俺達三人は朝食を綺麗に完食し、のんびり話をしていた。


「そういやよユーマ、お前今日は何する予定なんだ?」


「ん、まぁいつも通りゴルド森林に行ってレベル上げってとこかな」


 俺がそういうとイグルとマルブタは呆れ半分、心配半分のような顔になり、


「はぁ、お前って本当にレベル上げ好きだよなぁ。まぁお前が大丈夫ならいいんだけどよ、たまには休息をとるってのも大事だと思うぜい?」


「そうっすよ。たしかにアニキは人間半分やめてるような凄い人ですけど! そんなアニキでもたまには休んだ方がいいですよ!」


 二人の顔を見る限り本当に俺の体を心配してくれているようだ。


「まぁ本当にきついと思ったら素直に休息とるから大丈夫さ。二人とも心配してくれてありがとな」


 その後も少しの間三人で話を続け、結果三人でギルドへ向かう事になった。


 そしてジニアを出て数分後、ギルドへ到着して中に入っていく。

 

「じゃあユーマ、俺はC級の依頼を見てくるからまた後でな」


 そう言ってイグルはC級の依頼掲示板の元へと歩いて行った。

 俺は残ったマルブタに、


「それで、マルブタは今日は何をするんだ?」


「俺っすか? 今日は可愛がってる新人冒険者の依頼についていくつもりっす! あ、丁度こっちに来てるっす。あいつっすよ!」


 ほう、どれどれ。俺はマルブタが指を指した方向を見てみる。すると、俺の目にマルブタと瓜二つ、いや、若干マルブタよりマイルドな顔をしているかもしれない少年がこちらに向け走ってくるのが見えた。そしてマルブタの前まで来ると、


「お待たせしましたっす兄貴! それで兄貴、こちらの方は一体どなたで?」


 マルブタによく似た少年が俺を見ながらそう質問する。


「よくぞ聞いてくれたっす、こちらの方は俺にとって命の恩人で、俺がこの世界で一番尊敬する人物! つまり俺のアニキっす」


 マルブタによく似た少年は俺の方を向いて、


「おお、あなたがあの兄貴の兄貴でしたか! これは失礼しました。俺はハンブタって言います! これからどうぞよろしくでっす大兄貴!」


 そうしてハンブタ君は俺に向かい頭を下げる。ふむ、礼儀正しい子だな。感心感心。


「丁寧にありがとな。俺の名前はユーマだ、よろしく頼む」


 そうして手を差し出し、ハンブタと握手を交わした。

 

 その後、マルブタとハンブタはEランク依頼を受けてギルドから出ていった。ちなみにマルブタにこっそり聞いた限り、マルブタとハンブタに血縁関係はないらしい。つまり赤の他人というわけだ。それであそこまで似るなんて凄いな。


 さて、そろそろ俺も依頼を見に行くとするかね。そう思い依頼掲示板の元へと歩いて行く。すると、早速一つ気になる依頼を見つけた。


「Bランク依頼、グロースラビッツの討伐。報酬は金貨6枚」


 依頼の目的地は、ファリス森林。


 俺がこの世界に来て、最初に降り立ったあの森だ……






最後まで読んでいただきありがとうございます。

それから評価やブクマなどいつもありがとうございます。

これからもこの調子で頑張っていくのでよろしくお願いします。

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