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第83話 買い出し

  

 

 次の日、

 俺はいつも通りの時間に起床し、食堂でイグルと朝食を食べていた。


「ふぅ~ やっぱり朝はサリーちゃんの作った朝食に限るなぁ。これを食べてやっと一日が始まるって感じがするぜ」


「たしかにな。サリーの作った朝食を食べると力が湧いてくる気がするよ」


 ちなみにサリーは俺たちの朝食を作り終えた後、自分の部屋に戻っていき出かける準備をしている。おそらく着ている服などを選んでいるのだろう。


 そんな事を考えているとイグルが話かけてくる。


「そういやよ、おめえサリーちゃんとの買い出しが終わった後はどうすんだ? まぁさすがのお前でも明日から遠出なんだからゆっくり休むか」


「いや? いつも通りゴルド森林に行くつもりだが?」


 俺がそう言うと、イグルは若干呆れたような表情になり、


「はぁ、本当におめえって戦闘好きだよな。案外おめえとグレンさんって似てるかもな」


 ……は?

 俺とあの戦闘狂が似ている……だと?


「おい、ちょっと待てイグル。お前は俺とあの戦闘狂のどこが似ていると言うんだ。たちの悪い冗談はよしてくれ。俺はどちらかと言うと戦闘なんてあまり好きではないんだ。そう、俺は比較的平和主義者なんだよ。分かってくれるな?」


「あ、ああ。たしかにあのグレンさんと一緒にしちまったら失礼だよな。俺が悪かった」


 うむ、イグルも分かってくれたようだ。


「それにな、今回ゴルド森林に行く目的は少し魔法の練習がしたいだけだ。それが終わればすぐに戻ってくるさ。それとゴレイ山脈までの移動についてはいい方法があるから問題ない。すぐに着くさ」


 俺がそう言うとなぜかイグルは少しだけ青ざめた顔になり、


「お、おいユーマ。おめえの言ういい方法ってのは、アレだよな?」


「ああ、アレだな」


「それでよ、たしかおめえに護衛頼んできたのって、サリーちゃんの友達なわけだから女の子だよな?」


「ああ、女の子だな」


 俺がそう肯定してやると、

 イグルの顔はさらに青ざめていき、


「ユーマ、一応聞いておくが、さすがに女の子なわけだから、かなり遅めに走るんだよな?」


「そうなるだろうな。さすがに俺もその辺りは配慮するさ」


 そう言うとイグルは少しだけ安心したように、


「しかし、それなりのスピードは出すつもりだ。じゃないと俺が担いで走る意味がないからな」


 再びイグルは少し青ざめ始めた。

 中々に忙しいやつだな。

 すると突然イグルが、


「ユーマ、できる限りゆっくりだ! おめえは普通に走っても十分速い! ゆっくり走るくらいで丁度いいんだ。分かったな?」


 おおう、イグル君かなりの迫力だ。

 これはかなり気合入ってるね。


「あ、ああ分かったよ。できる限りゆっくり走る事にする」


「おう、そうしろそうしろ。……これ以上俺たちみてえな被害者は増やしたくねえからな」


 最後イグルは何か呟いたようだがよく聞こえなかったな。

 その後、何事もなかったかのように朝食を平らげ、


「よしユーマ、俺は先に依頼に行ってくるぜ」


「ああ、怪我しないようにな」


 イグルはジニアから出ていき、そのまま食堂で数分待っていると、サリーが慌ててこちらに向かってきた。こんな事言うのはあれだが慌てている姿も可愛いな。

 

「ユーマさん遅れてしまいすいません!」


「いや、大丈夫。ほとんど待っていないさ」


 俺がそういうと、サリーは少し安心したようだ。


「本当ですか。それならよかったです」


 さて、改めてサリーの服装を見てみると、


「サリー、その服はこの前の」


「そ、そうです。この服ユーマさんが似合っているって言ってくれた服です! 今日ユーマさんと出かけるって事で着てみたんですけど、どうですかね?」


 ふむ、答えはきまっているだろう。


「ああ、文句なしに可愛い。やっぱりサリーに凄い似合ってる」


 俺がそう言うと、サリーは顔を真っ赤にして俯いてしまう。しかし、その表情は嬉しい気持ちが我慢できないのか、かなりニヤニヤしている。

 放っておいたらずっとそのままニヤニヤしていそうなので、声をかけることにする。


「サリー、そろそろ買い出しに行こうか?」


「そそそうですね! そろそろ行きましょう!」


 これは落ち着くまで時間かかりそうだなぁ。


 


 その後、食料の買い出しは順調に進んでいった。

 たまに店員のおばさんなどに、


「おや、彼氏と買い物かい? いいね若いもんは」

 

 などと言われサリーがめちゃくちゃ恥ずかしがっていたが、可愛かったのでよしとしよう。

 そして買い物も終わりに差し掛かったころ、

 

「あ、すいません!」


 サリーが誰かにぶつかってしまったようだ。

 ふむ、たしか最初にサリーと買い物に来たときもこういう事あったよなぁ。前回はこの後、変なイチャモンつけられたんだよな。今回はそうなる前にサリーの前にでようとすると、


「こっちこそ申し訳ないっす! どっか怪我とかしてないっすか?」


 ほう、今回ぶつかった相手は随分と紳士のようだ。しかし、この喋り方どっかで聞いたような。そう考えながらサリーの隣まで歩いて行くと、


「やっぱりマルブタか」


「ん? おお、アニキじゃないっすか! こんなところで会うなんて奇遇ですね!」


「ああ、たしかにな」


 そう、サリーがぶつかって相手はマルブタ君だった。

 するとマルブタが、


「てことはこの女の子はアニキの彼女さんですか! 凄いっす! めちゃくちゃ可愛いっす!」


 べた褒めである。

 サリーが若干恥ずかしがっている。

 

 そしてマルブタは何かを思い出したように、


「あ、自己紹介忘れてたっす。俺の名前はマルブタっていいます。僭越ながらアニキの弟分をやらせてもらってます」


 するとサリーも、


「マルブタさん、よろしくお願いしますね。私はサリーといいます。ユーマさんも泊まっている宿屋ジニアで働いています。よろしければマルブタさんもどうぞ。それと、まだユーマさんの彼女ではないです」


「おお、アニキが泊まっている宿っすか。それなら今度からそっちに泊まる事にするっす」


 ふむ、やりおるわサリー。

 さりげなく客を一人ゲットしやがった。

 

 それから少しだけマルブタと話をして、


「じゃあアニキ、また今度っす!」


「おう、またな」


 俺とサリーはマルブタと別れた、

 するとサリーが


「マルブタさんってちょっとだけ顔は怖いけど、凄くいい人でしたね!」


「ああ、そうだな。あいつはいいやつだよ」

 

 思わぬ場所でマルブタの頑張りを目にしたのだった。

 しかし、あいつ本当にジニアに来る気なのかね。


 その後、少しだけ買い物をして、ジニアまでサリーを送っていった。


「ユーマさん、今日はありがとうございました! 凄い楽しかったです」


 いやいや、

 どう考えてもお礼を言うのは俺の方だろう。


「こっちこそ食料の買い出し付き合ってもらってありがとなサリー。そうだ、今度一緒に買い物にでも行ったら、お礼にサリーの好きな物買ってあげるよ」


「ほ、本当ですか」


「ああ、これでも割と稼いでいるんだ。なんでもこい!」


「ふふ、楽しみにしておきますね! 

 では私は仕事があるのでこれで失礼します。

 夕食作って待ってるので、ユーマさんも早く帰ってきてくださいね」


 そう言い残しサリーはジニアの中に入っていった。よし、これでまたサリーと一緒に出かける口実ができたな!


 さて、サリーも送り届けたことだし、俺もそろそろゴルド森林に向かうとしますかね。 


 


 


読んでいただきありがとうございます。

これからもこの調子で頑張っていくのでよろしくお願いします。

最後にブクマや評価ポイントなどいつもありがとうございます。

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