第70話 ストン森林へ
……朝、か。
ふむ、どうやら昨日は色々考えているうちに、寝てしまったいたようだな。まぁぐっすり眠ることができたので問題ないな。
さて、そろそろ起きるとするか。
俺はベッドから起き上がり、いつものように軽くストレッチ、よし、体に特に異常はない。いつも通り絶好調だ。さて次は、
「よし、服を着るとするか。さすがに昨日と同じような目にサリーをあわせるわけにはいかないからな」
正直、俺の体を見て恥ずかしがっているサリーは非常に可愛らしかった。しかし、さすがに何度も同じ目にあわせるのはサリーが可哀想だからな。今日は早めに服を着ておくことにしよう。
「よし、これで準備万端だ」
よし! サリーよいつでも来るがいい! そう俺が思っていると本当に部屋の扉を叩く音が聞こえ、
「ユーマさん、そろそろ朝ごはんの時間ですよー」
丁度サリーが俺を起こしに来てくれた。しかし凄いなサリーは。昨日といい今日といい、ほとんど俺が起きて少し経った丁度いい時間にきてくれる。なんだろうな、サリーは特別なスキルでも持っているのだろうか。まぁそんなわけないか。
まぁいい、とりあえず扉を開け、、
「おはようサリー」
そうサリーに朝の挨拶をすると、
「あ、はい、おはようございますユーマさん。そろそろ朝ごはんの時間なので準備ができたら食堂に来てくださいね。では私はこれで失礼します」
そう言ってサリーは一階に戻っていった。
しかし、なぜだろうか。今日はちゃんと服を着ているはずなのに、サリーは俺の上半身を見ると、少しがっかりしたような表情になっていたような気がする。まぁ気のせいかもしれないがな。
「まぁいいか。とりあえず朝飯を食べにいくとしよう」
そして俺は部屋を出て、一階に歩いていく。
ふむ、結構混んでるじゃないか、そう思い空いている席を探しているといつもの声が、
「おーいユーマ! こっちだ」
いつものイグルがいた。
俺のために席をとっていてくれたようだ。毎度の事ながらありがたい、俺はイグルの正面の席に腰を下ろす。
「おはようイグル。しかし、今日は妙に混んでないか? まだ朝早いっていうのに」
「多分、みんなストン森林での魔物の駆除作戦に行くためだと思うぜ。なんせ倒した魔物の素材の分の金はみんなで山分けだからな。割といい金になるんだよ。まぁサボッてるやつは当然貰えないがな」
「ああ、なるほど。そういえばイグル、そのストン森林での駆除作戦なんだが、今日は俺も付いて行っていいだろうか? ゴルド森林の件が昨日で終わってしまってやることがなくて暇なんだ」
俺がそうイグルに言うと、イグルは若干興奮したように、
「おおお! ユーマが来てくれるのかよ! そんなもん大歓迎に決まってんじゃねえか。おめえが来てくれれば百人力ってもんだぜぃ。けどいいんかよ、お前なら一人でほかの場所いったほうが稼げると思うぜ。なんせ山分けだからな」
「いいさ、特に金目的で行くわけじゃないんだ。言ってしまえばただの暇つぶし程度さ」
「そうか! なら朝飯食べ終わったら一緒にギルド行こうぜ」
「ああ、分かった」
その後、俺とイグルは朝飯を食べ終えジニアを出てギルドへ向かった。しかし、考えてみれば誰かと一緒にギルドに行くなんて珍しいな。いつもギルドに行くときは一人だったからな。そんな事を考えているうちに、ギルドに着き、扉を開け中に入っていく。すると、
「ア、アニキじゃないっすか! 今日はどうしたんですか!? アニキはゴルド森林に行ってるって噂だったんですけど」
ギルドに入った直後、マルブタが俺を発見したようで近くに寄ってきた。うーむ、昨日のイグルの話を聞いたからなのか、マルブタのこの顔に少しだけ愛着がわいてきた気がするぞ。まぁそれは置いといて、
「ああ、実はゴルド森林の件は昨日で終わったんでな。今日はお前らと一緒にストン森林の方に行くつもりだ」
俺がそういうと、
「ほ、本当ですかアニキ! アニキが付いてきてくれるなら怖いものなしじゃないっすか!」
そして周りの冒険者までも騒ぎ出し、
「お、おい首狩りもストン森林に付いてくるんだってよ」
「まじかよ、魔物全部首狩りに持ってかれるんじゃねえのか?」
「いや、どうせ魔物は全部山分けなんだ。むしろ首狩りがどんどん倒して行ってくれた方が楽できるってもんだろ」
「それによ、首狩りの戦いを目の前で見れるってことじゃねえか! 俺はそれだけで興奮してきたぜ!」
ふむ、まぁみんな俺が付いていくことに関しては好意的みたいだな。まぁ俺が倒してもどうせ山分けになるんだから、そりゃそうか。
そしてそんな事を考えているうちに、奥の扉から、
「なんだこの騒ぎはおめえら! ちょっとは静かに……ってユーマじゃねえか!」
グレンさんだ、相変わらず元気な人だな。
「どうもグレンさん。実はですね、ゴルド森林の件が終わって暇なので、ストン森林での駆除作戦に付いていこうと思いまして」
「ほう! おめえがが来てくれるのなら今日で後始末も終わりそうだな! しかしいいのか? 素材は全部山分けになっちまうが?」
「ええ、構いませんよ」
「そうか。なら大歓迎だ。ほれ、駆除作戦の依頼書だ」
そう言ってグレンさんは一枚の紙を俺に渡してくる。
「おめえは昨日参加してないから一応説明しとくが、その依頼書が駆除作戦に参加したっていう証明になるからなくすんじゃねえぞ。もしそいつをなくしちまったら魔物の報酬が受け取れねえからな」
ああ、なるほどね。
「じゃあ早速行くとするか!合流地点は昨日と同じストン森林の入り口付近だ! 遅れたやつは置いていくから覚悟しとけよ。よし出発だああ!」
「「「「おおおおおおおおおおおお!!」」」」
それを合図にギルドにいた冒険者はストン森林を目指し、ギルドから次々と出ていく。さて俺達も行くとしますかね。そして俺とイグルとマルブタは門までやってきた。するとイグルが、
「はぁ、しかしまたストン森林までいくのだりぃなぁ。割と近いっつって一時間そこそこはかかるからなぁ。もっと楽で速い方法があればいいんだけどな」
そこにマルブタも、
「そうっすねぇ、まぁのんびり行きましょうよ。ねぇアニキ?」
ふむふむ、そうかそうか。イグルは手っ取り早くストン森林に行きたいわけだな。それならいい方法がある。
「なぁイグル、マルブタ。俺に一ついい考えがあるんだが。うまくいけばほんの数分でストン森林に着くことができるぞ。しかもお前らはほとんど疲れない」
それを聞いたイグルとマルブタは、
「まじか! そんな事できるなら早めに言ってくれよな。で? どんな手段なんだ?」
「……アニキ、まさか」
ふむ、どうやらマルブタは気づいたようだな。
まぁマルブタはすでに体験済みだからな。
「そうだなぁ。まぁ簡単なことさ。俺がお前らを担いで」
そう言いながら俺は片方の腕でイグルを担ぎ、もう片方の腕でマルブタを担ぐ。
「ストン森林まで全速力で走ればいいんだよ! いくぞ!」
そして俺は全速力で走り始める!
最初の数十秒はイグルとマルブタが騒いでた気もするが、それもすぐに収まり静かになった。うむ、二人とも解ってくれたようだな。
その後数分間、俺は全力で走り続け、
「よーし、着いたぞ。マルブタ、イグルもういいぞ」
俺がそう声をかけてもマルブタとイグルから返事はない。おいおい、もしかして、あまりに快適すぎて寝てしまっているのか。そう思い俺は少しだけ乱暴に二人を地面に下ろす。すると、
「……あれ、アニキ」
おお、マルブタが先に目を覚ました。
そしてその後すぐに、
「あれ……ここどこだ、俺はフロックスにいたはずじゃ……」
よし、イグルも無事目を覚ました。
「よお二人とも、おはようさん。無事ストン森林に到着したぞ。速かっただろ?」
俺がそういうと、二人は俺の事を呆れたような顔で見てくる。
そして、
「なぁユーマ、たしかにめちゃくちゃ速かったけどさ、今度同じような機会があったら、もう少しスピードを下げてくれると助かる。頼むわ……」
「アニキ、俺からもお願いするっす……」
ふむ、少しだけ飛ばし過ぎてしまったようだ。
仕方ないな、帰りはこの半分くらいの速さにするとしよう。
ちなみに冒険者すべてが集まったのはそれから約一時間後だった。うーんこれなら別に急ぐ必要はなかったかな
最後まで読んでいただきありがとうございます。
それから評価やブクマなどいつもありがとうございます。
これからもこの調子で頑張っていくのでよろしくお願いします。




