第7話 森林
……とりあえずの危機は去った、と考えていいのだろうか。
「ぶはぁああああああ」
気配遮断を使っている間は息をとめていた。
危機から解放されて初めて吸った空気は最高だった。
「死ぬかと、思った……」
とりあえずは自分は助かったのだ
「このスキルの、お陰だな」
気配遮断、まさかここまで有能なスキルだとは思っていなかった。
「あの距離にいて気づかれない、しかも相手は生き物だ。匂いすらも遮断するのだろうか、もしそうだとしたら……」
とんだチートスキルだなこれは、使いようによってはほぼ無敵だ。
levelにより気づかれるという弱点もあるがlevelが上がりさえすればそれもなくなる。
「そうだ、スキルなんだからMPを使うはずだ」
とりあえずステータス確認だな。
「ステータス!」
佐藤悠馬 level1
HP 30
MP 15
力 5
体力5
素早さ2
幸運20
「ふむ、20減っているな。気配遮断を使っていた時間はざっと20秒、なら1秒につき1消費ということか」
将来的に見ればおそらく1秒1消費はまったく問題ないだろう。
ただ今の俺はlevel1でMPが最大でも35しかない。
つかり最高でも気配遮断は35秒しか持たないことになる。
「これは……きついな」
これは早めにlevelを上げておいた方がいいな。
経験値20倍だからすぐ上がるだろう。
MPもまだ余裕があるから気配遮断もあと少しなら使える。
問題は、
「武器がないこと、だな……」
さすがに気配遮断で気づかれることなく後ろに回れたとしても、
武器がなければ倒すことができない。
素手で戦おうにもMPはあと15、15秒で倒しきれなかったらアウトだ。
色々考えたがまずは、
「とりあえずここを離れよう。さっきのやつがここに戻ってこないとも限らない
森を抜けるのもそうだがまずは夜になる目に隠れられる場所をみつけておきたい」
俺は周りを警戒しながら歩き始めた。
夜の森は間違いなく危険そうだからな。
しばらく歩き続けているとさすがに俺も腹が減ってきた。
「くぅ さすがにあの戦いのあと休みなしで歩いていると腹へるなぁ。
かといって何も食べるもんはないからなぁ。
ん、なんだありゃ……リンゴ?いや色が違うな」
目の前には紫色のリンゴのようなものが結構な数が生えていた。
「これは、うまそう。いやここは異世界だ、前世での経験なんてあてにはならない さっきのラビッツでわかったはずだ。もしかしたら毒なんてこともある。しかし食べたいな……なんかいい手段は」
そこで俺は閃いた!
「あ、鑑定つかえばいーじゃん。鑑定!っと」
{パプゴ}
ファリス森林の入り口付近に生えている果物。
非常においしく多くの人に食べられている。
なお毒はない。
「おおお、これは食べれそうじゃないか!」
食べれると分かったとたん俺はそのパプゴにかぶりついた。
「おおうめえええええええ!見た目はリンゴだけど味はぶどうだなこれは!噛むごとに甘みが口の中にあふれてくる!こいつはいける」
うお、もうなくなっちまった。だけどパプゴはまだまだある!
「ここで食べておかないと今度いつたべれるかわからない!食べれるだけ食べておこう」
俺は周囲に最低限の警戒をしつつパプゴを食いまくった。
「ふぅ、さすがに満腹に近いな!しかもなんか元気がでてきたぞ!」
俺は不思議に思いステータスを開いてみた
佐藤悠馬level1
HP 40
MP 25
力5
体力5
素早さ2
幸運20
「おおお HPとMPが回復してるじゃないか。なるほど、この世界では食事でHP MPは回復するのか!」
寝ることでしか回復しないと思っていただけにこれは収穫だ。
「よし、もてるだけパプゴはもっていこう。そこまで重いわけでもないし。魔物とあっちまったら気配遮断を使えばいい!」
「腹も膨れたし隠れ家探しもどるとするか!」
俺は予想外の収穫に心躍らせながら隠れ家探しを再開した。