第6話 初戦闘
「……さてと、とりあえずステータスの確認はすんだ」
次はどうするか考えた、ここは森の中だ、安全とは言いづらい。
とりあえず森をでよう。そう思い歩きだそうかと思った瞬間。
視界の端からなにかが飛び出してきた。
目に入ったのは元の世界にいたウサギのようにみえた。
「おっとウサギか、こっちの世界にも似たようなものがいるんだな」
ちょっと頭をなでてやろう、そう思い手を伸ばしたその瞬間。
「ガウゥゥゥ」
「え……」
いきなり大きく口を開けてその大きなキバで俺の手にかみつこうとしてきた。
「こ、こいつ……!」
俺はとっさに腕を全力で引っ込めてなんとかそれをよけることに成功した。
「そうだった!ここは異世界だ、なにをやっているんだ俺は!」
自分の考えの甘さにいら立ちながら、冷静に生き残る方法を考える、まずは。
「鑑定!」
ラビッツ level3
HP 55
MP 10
力 4
体力7
素早さ13
幸運2
スキル なし
称号 なし
まずい、力と幸運はこっちのほうが上だが体力と素早さが負けている、、
特に素早さの差はまずい。
ラビッツという魔物は大きなキバをみせながらこちらを逃がすまいとにらんでいる。
「当然だけど逃がさないつもりか、、」
どうする、どうすればいい、どうすれば。
初めての生死がかかった戦いで俺は恐怖に陥っていた。
武器はない、、持っているものは財布だけだ、、
攻撃に使えそうなスキルもない、、どうすれば。
そんなことを考えていた瞬間、ラビッツが口を大きくあけながらとびかかってきた。
「ガガガゥゥゥ」
必死によけようとしたがあっちのほうが素早さは上だ、俺の太ももの一部がかすってしまった。
「ぐぁあああああああ」
あまりの痛みに叫んでしまった、仕方がない、こちとら平和な世界の引きこもりだ。怪我など数えるほどしかしていない。痛みに慣れていないのだ。
「はぁ……くっ」
まずい、この足では次はよけられない、どうすれば!!
そんなチャンスをこの魔物が逃すわけはない。
ラビッツは再度大きな口をあけて俺の体めがけて飛びついてきた。
「ガアアアアアアアアア」
だめだ、、これはよけられない!!
ここで終わるのか・・・せっかく2度目の人生だっていうのに、
そんなのはいやだ!俺は生きたい!
もう目の前にラビッツはきている!
いちかばちかだ!
「気配遮断!!!」
渾身の思いでそのスキル名を叫んだ、、
時がとまったかのようにラビッツが止まる。
「ガウ? ガウウ?」
きょろきょろと周りを見はじめた、さっきまでいた獲物がいなくなってとまどっているようだ、その後何事もなかったかのようにラビッツは立ち去って行った。
「……助かった、のか」