第57話 目標達成
オークキングとの戦闘を終えて数分後、
俺とマルブタさんはオーガス森林から出るために出口へ向かっていた。
そういえば、
「そういえばマルブタさん」
俺がそう声をかけるとマルブタさんは、
「はい、なんでしょうかアニキ!」
ちなみにマルブタさんは俺の事をアニキと呼んでいる。
普通に呼んでくれといったのだが、なぜか譲らなかった。
「マルブタさんはなんでこの森にいたんですか? ギルドの告知見てるのなら分かってると思いますが、いまこの森はギルドの許可がない限り侵入禁止ですよ」
「まじですか! 昨日ギルドで依頼を見ていた時はそんな告知なかったから気づかなかったっす」
ああ、なるほどね。
おそらくあの告知がでたのは今日だ。
それならマルブタさんは知らなくても無理はないな。
「なるほど。大体理解しました」
「ならよかったっす! あとアニキ俺の事はマルブタって呼び捨てでいいっすよ。あと話し方ももっと軽めでいいですよ!」
んん、そう言われてもな。
目上の人と話しときは基本敬語になっちゃうんだよな。
「そう言われてもですねぇ。マルブタさんって年齢はいくつなんでしょうか?」
「俺ですか!? 俺は今年で19っす!」
は?
「え? 29ですか?」
「やだなぁ! 今年19っすよ!」
嘘……だろ……
その顔で俺より年が6つも下とか、この世界の人は老け気味なのか!
ま、まぁ年下なら俺も敬語はやめておくか。
「なるほど。なら俺も敬語はやめて気軽にいくとするよ。よろしくなマルブタ」
「はい! よろしくっすアニキ!」
その後俺とマルブタは軽い雑談を交えながら、出口に向かっていった。
その道中、
「マルブタ、ストップ。オークだ」
道の先からオークが一匹歩いてくるのが見えた。
まぁ始末するか。俺がそう思いアイテムボックスから武器を出そうとすると、
「アニキ! このオークは俺に任せてください!」
そう言い腰の剣を抜き放ち、俺の目の前に出てくるマルブタ。
まぁ以前オークのステータスを見た限り、マルブタの方が強いはずなので負ける心配はないだろう。とりあえず任せてみるか。
「マルブタ、油断するなよ」
「分かってます!」
そう言いマルブタはオークに向かい走り出す。
ふむ、以前ギルドで見たときから思っていたがかなり早い。
マルブタは一瞬でオークの正面までたどり着き、
「おりゃ!!」
マルブタの横切りが綺麗にオークの腹の辺りに入った!
しかし、
「ブオオオオオオオオオオ!」
やはり一撃で仕留めるのは無理だったか。
マルブタのステータスを見たときから思っていたことだが、見かけの割りに素早い代わりに、こいつは見かけの割りに力がない!
そんな事を考えているとオークがマルブタに向かって拳を振り上げている!
「ふっ!」
しかしマルブタは冷静だ。
一瞬でオークの間合いから遠ざかり、攻撃をかわす!
そしてまた最初のように近寄り、
「おりゃ!!」
最初攻撃を加えた場所とほぼ同じ位置に横切りを放つ。
なるほど、マルブタの戦闘スタイルはヒット&アウェイか。
見た目では想像のつかない、堅実な戦い方だ。
そしてその行動を繰り返す事数回、オークはその場に崩れ落ちた。
するとマルブタはどこか誇らしげな表情でこちらを見て、
「アニキ! どうでしたか!」
「ああ、正直いっていい意味で予想外だったよ。まさかここまでやるとは思っていなかった。やるじゃないかマルブタ」
俺がマルブタの戦いぶりをほめると、マルブタは本当にうれしそうだった。
「やった! 俺人にほとんど褒められたことなんてなかったからめちゃくちゃうれしいっす!」
まぁよく考えれば一人でこの森に来るくらいだ。
これくらいの実力があっても不思議ではないな。
「よし、じゃあ出口に向かうとするか」
「はいっす!」
そして数十分後、俺とマルブタは無事オーガス森林から出る事ができた。
さて、俺だけならここから全速力で走れば数分でフロックスに戻る事ができる。しかし今回はマルブタも一緒だ、さてどうしようかね。
「マルブタ、今から走ってフロックスまで帰ろうと思うんだが大丈夫か?」
それを聞いたマルブタは少し不安そうに、
「走ってですかい、ちなみに休憩なんかは?」
「なしだ」
「すいませんアニキ! 俺体力がないので無理っす!」
だろうなぁ。
ステータスを見た限りマルブタは体力があまりない。
仕方ないな。
「よしマルブタ! お前はじっとしているだけでいい」
「へ?」
俺が何を言っているか理解できていなさそうなマルブタの体を片手で背負いあげる。ふむ、この程度の重さなら気にならんな。
「ア、アニキ!?」
「よし、いくぞ」
そう言い放ち俺はマルブタを背負ったまま全速力で走り始める。
たまに、
「ひいいいいいいいいい!!」
マルブタの悲鳴が聞こえてくる気がするが、まぁ放っておこう。
そしてマルブタを背負い走り始めて数分後、
「よし、到着だ。マルブタ着いたぞー」
俺がそう呼びかけてもマルブタからの返事はない。
仕方ないと思いその場でマルブタを地面に落とす。
すると、
「は!? ここは!」
「お、眼覚めたか。フロックスに着いたぞ」
こうして俺とマルブタは無事フロックスに到着し、門をくぐり街の中に入っていく。さて、オークキングの事についてギルドに報告にいくとするか。
「じゃあマルブタ、俺はギルドに報告にいくから」
「アニキ、今日は本当にありがとうございました。この恩は一生忘れません! 何か困った事があったら言ってください。全力でお手伝いしますので!」
「ああ、頼りにしてるよ。じゃあまたな」
そう言い俺とマルブタは別れた。
さて、ギルドに向かうとするか。
数分後、
「着いたっと」
無事着くことができたので扉を開け中に入っていく。
ふむ、朝に見た時より人が大分減っている気がするな。
まぁいい、そう思いメルさんに話をしにいく。
「こんばんはメルさん。今日は少し疲れたので報告だけしておきます。オーガス森林の件はすべて片がつきました」
俺がそういうとメルさんはかなり驚いたようで、
「うそ! ユーマ君が出発してからまだ一日もたってないのよ!」
ふむ、信じ切れていない様子だ。
まぁ仕方ない、俺はアイテムボックスの中からオークキング6体分の頭をチラっと見せる。
「うわ、ユーマ君って本当に何者なの? こんなの一日でやるなんてそれこそSランクやそれ以上の力がないとできないわよ!」
「なら俺にS相当の力があるって事にしておいてください。あと一つだけ聞きたいんですが」
「はぁ、もうユーマ君の事で驚くのも疲れたわ。それでなにかしら?」
「ストン森林とゴルド森林の調査はまだ終わってませんか?」
「そうね、ゴルド森林の方はまだかかりそうだけど、ストン森林のほうは明日には調査終わると思うわ」
「なるほど、なら明日また来ますね。では自分はこれで。メルさんも仕事頑張ってくださいね」
こうして俺とメルさんの話は終わりギルドから出る。
さて、今日はもうやる事はなくなったな。ジニアに戻るとしますか。
それから数分、ジニアに着き部屋まで戻っていた。
そしていつものようにベッドに横になる。
「ふぅ、少しだけ疲れたな」
今日も色々あった。
オークキングを殲滅したりマルブタと再会したり。
まぁマルブタは思っていたよりずっといいやつだった。きっとこれから良好な関係を築いていけることだろう。
そうだ! マルブタといえば、
「ステータスの確認をしていないな」
早速してみよう!
目標の100に届いているだろうか、緊張しながらステータスを開く。
佐藤悠馬level102
HP700/700
Mp450/450
力 300
体力 300
素早さ200
幸運 540
{スキル}
経験値20倍
スキル経験値20倍
鑑定level10
気配遮断level8
気配察知level2
短剣術level6
魔力操作level2
火魔法level3
水魔法level1
風魔法level1
回復魔法level3
毒抵抗level1
麻痺抵抗level1
料理level1
アイテムボックスlevel4
話術level3
{称号}
異世界転移者
引きこもり
ラビッツハンター
駆け出し魔法使い
駆け出し料理人
むっつりスケベ
首狩り
天然たらし
「おお! 目標の100levelをいよいよ超えたぞ! こいつはかなり嬉しいな!さて、各能力だが、力と体力が共に300になったか。約オークキングの3倍くらいになったな。これならサイクロプスにもいい勝負できるんじゃないだろうか。素早さは相変わらず他の能力に比べれば低いがそれでも200だ。幸運については言うことはないな。あとはスキルが少しずつ上がっているな。短剣術がlevel6になったのはでかい!」
ふぅ、やはり今日の成果はかなりでかかったな。
まさか一日で100を超えるとは!
少し不謹慎なような気もするが、オークキングのお陰だな。
さて、そろそろ夕食の時間だな。
その後俺はいつものようにイグルと夕食を食べ、部屋にもどり横になる。
「さて、メルさんの話だと明日ストン森林の調査の結果がでるっていってたな」
なら、明日はストン森林に行くことになるだろう。
コカトリスの討伐以降行っていないので場所を覚えているか少しだけ心配だ。
そんな事を考えながら、俺は眠りに落ちていった……
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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これからもこの調子で頑張っていくのでよろしくお願いします!