第56話 オーガス森林
よし、じゃあ早速オーガス森林に行くとしますかね。
しかしオークキング6体とはラッキーだったな。イグルも言っていた事だが、なるべく大侵攻が起きたときのために、levelは上げれるだけあげておいた方がいい。
そこでオークキングだ。今の俺には倒すのは比較的容易く、経験値もうまい。
できる事なら今日でlevelを100代にはしたいところだな。
そんな事を考えているうちに門まで着いた。
するといつもの門番さんが、
「おや、ユーマ様お出かけでしょうか?」
「はい、少しオーガス森林に」
俺がオーガス森林へ行くと言ったら門番さんは一瞬驚いたような顔をしたあと、少し納得したような顔になる。
「そうですか。オーガス森林に……ユーマ様の実力なら心配するのは無駄なのかもしれませんが、どうかお気をつけて。」
ふむ、この人も勘のいい人だな。
俺が今の時期にオーガス森林に行く理由に気付いたのだろう。
「心配してくださりありがとうございます。大丈夫、さっさと用事を済ませてすぐ戻ってきますよ。では行ってきますね」
そう言い俺は門番さんに軽く手を振り、フロックスを後にする。
おそらく大侵攻は起こったら、あの門番さんは死ぬだろうなぁ。よし頑張ろう。
気合いを入れなおしオーガス森林まで全速力で走っていく。
全速力で走った甲斐あって数分後には、
「よっしゃ、着いた着いたっと」
さて、早速オークキング狩りだ。
たしか調査の結果だと6体だったな。それくらいなら運が良ければ今日で終わるだろう。行くか。
俺はオーガス森林に中に足を踏み入れていく。
すると入ってすぐに、
「ん? あれは普通のオークか。しかし数が尋常じゃないな。ここだけで20体くらいいるんじゃないか?」
まぁいい、見つけたからには狩るだけだ。
俺はアイテムボックスからデーモンリッパーを取り出し、気配遮断を使う。
さて、
「いくか」
俺はオークの群れのできるだけ外側にいるやつから狙いを定め、首を切り取っていく。一匹仕留めては少し離れて、また近づいて首を斬る。その繰り返しだ。
これだけ数がいると、適当に振り回した攻撃にあたる可能性もあるから割と慎重にだ。
しかし、
「ブオオオ!?」
「ブブブオオオオオオ!!」
「ブオオォ……」
あいつら、見事に同士打ちしてるなぁ。まぁ割と狭い空間でこれだけの数がいるんだ、そりゃ適当に攻撃振り回せば味方にも当たるわな。
まぁ楽でいい。俺は同士打ちで倒れ込んだオークの首もついでに落としながら攻撃をしていった。数十分後、
「よし、終わりっと」
簡単な作業だったなー。俺がそう思って少し休憩していると思わぬ幸運が訪れた。
「ブオオオオオオオオオオオ!?」
大きな雄たけびをあげながら、何かがこちらに向かってきている。あれは、オークキングか!俺はとりあえず気配遮断を使ったまま近くの草場に隠れる。
「ブオオオオオ!!」
オークキングはオーク達の死体を目のあたりにすると、その体を抱き上げ大きな雄たけびを上げている。どうやら仲間がやられて悲しんでいる様子だ。
ふむ、魔物にもそういった仲間意識ってのはあるもんなんだな。
まぁいいや、とにかくラッキーだ。
仲間がやられて悲しんでいるなら、すぐに仲間に会わせてあげよう。
俺は悲しみで雄たけびをあげているオークキングの背後に回り、
「死ね」
俺はデーモンリッパーを首に向かって横一線に振るう。
すると俺の足元にオークキングの首が転がり落ちてくる。
「よし、オークキング一匹目だ」
この調子であと5体やりますか!
しかし、こいつらにこれだけ仲間意識があるなんて意外だったな。
それならオークを手あたり次第に殺し、オークキングをおびき寄せるのも悪くない手かもしれない。
最終手段として考えておこう。
「まぁとりあえず普通に探すかね。お、levelもちょっと上がってる!この調子で100までいきたいものだな」
その後数時間の間、俺は狩りを続けた。
その結果、
「はぁ、どうしても最後のオークキングだけが見つからねぇ……」
数時間狩りを続けた結果、俺はオークを数百体、オークキングを5匹目まで倒すことに成功していた。しかし6匹目がまったく現れん!どういうことだ!
「はぁ、どうしたもんかね」
まぁじっとしていても仕方がないか。
そう思いとりあえず適当に探し回っていた。
すると横道から魔物が現れ、
「ブオオオオオオ」
あーオークか、はずれ。
俺はオークが叫び声を上げている隙に近づき首を落とす。
ていうか攻撃する前に叫び声上げてどうするよ、自分で隙作ってるだけじゃん。
その後数十分探し続けてやっと、
お、何かくる! この感じはオークではない!
「やっときたか! とっとと首落としてやるよ!」
俺は前方から走ってくる物体に向けてデーモンリッパーを振るおうとする!
あれ、でもこいつオークキングにしては少し小さいような、でもオーク顔だよなぁ。そんな事を考えていると、
「ひいいいいいいいいい! 首狩り!!」
あれ、なんか人間の言葉が聞こえたんだけど、しかも俺の事首狩りって。
俺は悲鳴を上げたオークらしき生物の顔をよく見てみる、すると、
「あれ、あなたはたしか……マルブタさん?」
この人、たしかギルドで俺に絡んできた人だよな。
けど本当にオークそっくりだなぁ、ちょいと鑑定させてもらおう。
{鑑定}
マルブタlevel30
力 28
体力 34
素早さ57
幸運 71
{スキル}
剣術level1 逃げ足level1
{称号}
なし
ああ、やっぱり人間だ。
そんな事を考えているとマルブタさんが、
「ひいいいい! オークキングから逃げてきたと思ったら、今度はもっとタチの悪い首狩りに会うなんて! 今日はついてなさすぎる!」
なんか、随分ひどい事言われてるようなきがするぞ。
ていうかギルドで侵入禁止なはずなのに、なんでいるんだか。
しかしマルブタさん、今気になる事いったな、
「マルブタさん、いまオークキングから逃げてきたって言いました?」
「そうだった! 早く逃げねえと追いつかれる!」
「ふむ、残念ながらもう遅いようですよ」
俺とマルブタさんの目の前にオークキングが現れる。
今まで見た中でもかなり大きい方だなこいつは。
しかしこれは運がいい、思わず顔に笑みが浮かぶ。
「ぶひいいいいい! もうだめだ! 俺はお終い」
「すみませんマルブタさん、少し下がっていてくださいね」
そう言い俺はマルブタさんの体を掴むと後ろに放り投げる。
「ひいいいい! なんだなんだ!」
「マルブタさん、このオークキングは俺が処分するので、死にたくないならそこでじっとしておいてください。下手に動かれると守れないかもしれませんからね」
俺がマルブタさんにそう言うと、マルブタさんはすごく驚いたような顔になっていた。
「お、お前俺を助けてくれるのか? ギルドであんな形で絡んだ、こんな顔の俺を」
「ああ、あの事ならもう気にしていませんよ。それに助ける助けないに顔なんて関係ないでしょう」
そう、普段の俺ならマルブタさんの顔がどんなにイケメンやかわいい顔をしていても助けていたかは分からない。しかし!俺は今非常に機嫌がいい! あれだけ探してもいなかった6匹目がこんな形で目の前に現れるとは! マルブタさんには感謝しかない。ていうかマルブタさん顔の事気にしてたのか……
「ではオークキングを始末してくるのでじっとしていてくださいね」
「あ、ああ分かった」
さて、オークキングだ。
後ろにマルブタさんがいるので気配遮断はもしもの時以外は使わないようにしよう。まぁそれでも今の俺なら、
「ブオオオオオオオオオオオオ!」
「いくぞ」
オークキングは先に攻撃を仕掛けてくる!
ああ、なんか先制攻撃なんて受ける機会あんまなかったから新鮮だ。
心の中でそう考えながらも俺は慎重に攻撃をよけていく、
「その程度の速さじゃ、俺には当たらないかな」
「ブオオオオオオオオオオオオオ!」
さらに攻撃にスピードを上げるオークキング。
だが、それでも、
「まだ遅い」
俺はオークキングの攻撃の隙間を通って、オークキングの懐に入り込む。
懐に入ってしまえばオークキングは攻撃の手段がほとんどなくなる。
オークキングは苦しまぎれに、
「ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
ああ、たしかスキルの雄たけびだっけか。
前はこれでしばらく動けなくなったんだよなぁ。
しかし今の俺に効果はほとんどない、
「終わりだ」
俺は雄たけびを上げ続けているオークキングの首を一撃で落とす。
首が俺の足元に転がり、雄たけびは空しく消えていった。
よし、これでオーガス森林の上位種は全部殺したっと。
少しステータスの確認をしたいとこだが、後ろにマルブタさんがいるのでやめておくか。後ろで固まっているマルブタさんに声をかける、
「マルブタさん終わりましたよ」
俺がそう声をかけてもマルブタさんの返事はない。
どうしたのだろうか?
「マルブタさん?」
「ニキ……」
「ん? 今なんて言いました?」
するとマルブタさんは一気に顔を上げる。
その顔は歓喜の表情だ。
「あんな事をして、しかもこんな顔の俺を助けてくれるなんて、俺……感動しました! これからはアニキって呼ばせてください!」
こうして俺に弟分ができたのであった。
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