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第52話 Aランク

ん、朝か。


どうやら昨日はあのまま眠ってしまったみたいだな。

昨日は色々あったからな。サリーの事があったり、昔の事を思い出したり。

だけど何か、前へと進めた気がする。


「よし!今日も一日頑張っていきますか!」


そう大声を出し一気にベッドから降りる。

すると廊下にいたのだろうか、サリーが、


「ユ、ユーマさん! いきなりどうしたましたか? 何かあったんですか!?」


「あ、いや、なんでもないんだ。大声だしてごめん……」


少し恥ずかしかった。


それから数分後、

俺は食堂でサリーの作ってくれた朝食を食べていた。


「うん、今日もうまいな! やっぱりサリーは料理上手だ」


俺がそうサリーに言うと、サリーは物凄いうれしそうであった。


「うれしいです! そういえばユーマさん今日の予定とかあります?」


予定か、あるとすれば昨日疲れて報告を忘れていた、オークキングの事についての報告くらいのものだな。すぐ終わる用事だ。


「そうだな。少しだけギルドに行く用事があるけどすぐ終わるよ。」


俺がそういうとサリーが嬉しそうに、


「そうですか! ならその後に私と一緒に買い物に行ってくれませんか!?

少し買うものが多くなりそうで私一人じゃ持ちきれないかもしれないんです」


ああ、要するに荷物持ちってとこね。

けどまぁサリーには世話になってるしそれくらいなら全く問題ない!

それに、ただの買い物だとしても、サリーと二人で出かけるのも楽しそうだ……


「ああ、俺でよければご一緒させてもらうよ。ギルドの用事が大体数時間くらいで終わると思うから、それが終わったら呼びに来るよ」


「わかりました! じゃあ私準備してくるので失礼しますね!」


そういいサリーは去って言った。

準備って、いまから数時間も後なのに。

ま、まぁ女の準備は長いってどっかのテレビで言ってた気もするからな。

とりあえず朝飯を冷める前に食べてしまおう!


数分で朝飯はすべて俺の胃袋に収まった。


「ふぅ、うまかった。」


引きこもっていた頃は朝飯など滅多に食べなかったのだが、この世界にきてからはほとんど食べている。

朝飯をしっかり食べておくことで一日元気に過ごすことができる。

さて、買い物もあるので急いでギルドに行こうとした瞬間、


「お!ユーマじゃねえかー。今日も依頼かー」


イグルだ。こいつはいつも朝早いな。


「よおイグル。おはよ。ギルドには行くけど依頼を受けるかは分からないな」


俺がそういうとイグルは、


「へぇ、おめえが依頼受けねえなんて珍しいじゃん! なんか用事でもあんの?」


「ああ、ギルドでの用事を済ました後、サリーと一緒に買い物にいくのさ」


俺がそういうとイグルは驚愕したような顔になり、


「なにぃいいいい! おめえそれってデートってやつじゃねえのかよ! 羨ましいぞこの野郎!」


「まぁ実際はただの荷物持ちだと思うけどな。」


ああ、依頼といえば昨日は随分イグルにも世話になったな。

あの短期間でバキルを見つけれた事は間違いなくイグルのお陰だ。

しかもあの後、イグルは俺を待っていてくれた。

正直にいうのは恥ずかしいが、こいつと一緒に飯を食べると楽しい。

少しはお礼しておかないとな。

バキルの報酬は白金貨1枚、つまり。


「イグル」


「ん? どうしたよ急に真面目な顔になりやがって?」


「手、出せ」


俺がそういうとイグルは何言ってるんだこいつといいたげな表情をして、しかし素直に俺に向かい手を出してきた。

俺はその手に金貨を5枚乗せる。

それを見たイグルはかなり驚愕したようだ。あせっった表情で俺に話かけてくる。


「は? は? おいユーマなんだよこの大金は!」


「そいつは昨日のバキル討伐の報酬だ。全部で白金貨1枚だったからな。それの半分の金貨5枚はお前のもんだよイグル」


「何言ってんだよ! 実際に倒したのはユーマだろ!? 俺は何もしてねえじゃねえか!」


「いや、昨日お前がいなければバキルを見つけるのはもっと時間がかかっていただろう。もしかしたら探している間に新たな被害者がでたかもしれない。あの短期間であいつを見つけることができたのは間違いなくお前のお陰だよ。」


「けどよ!」


「その金貨5枚はお前の物だよ。絶対にな」


俺がそう強くいうとイグルはやっと納得してくれたようだ。


「ちぇ、わかったよ! ありがたく受け取らせてもらうぜ! けどなんかスッキリしねえからユーマ、今度俺と飯でも食いにくぞ。その時はこいつでおごってやるよ」


「そいつは楽しみだな」


あ、一緒に飯を食べに行くと言えば、グレースさんも俺に飯おごってくれるって話をフロックスに来る途中の旅で話してたな。

すっかり忘れていた、今度しっかりおごってもらおう。

ふふ、グレースさんの金なら食べまくってやるぜ。


「お、おいどうしたユーマ? 随分あくどい顔になってんぜ」


「いやなんでもないよイグル。じゃあ俺はギルドに用事があるからまたな」


そう言い俺とイグルは別れた。

そしてジニアから出て、ギルドへ向かい歩いていく。

ギルドには数分で着くことができた。

そして扉を開け中に入っていこうとすると、何かにぶつかった。


「おいおい! 痛いじゃねえかこのガキが!」


ぶ! なんだこの豚みたいな顔のやつは。少し前にギルドで絡んできたゴリラみたいなおっさんもひどかったけど、このオークもどきも酷い顔だ!


「ああ、おいなに黙ってんだガキが!」


「あ、ああすみません。少し気が動転していました。ぶつかってしまって申し訳ないです。」


「てめえ! このマルブタ様にぶつかっておいて謝ってすむと思ってんのか! 金だせよ金をよぉ!」


おいおい! ゴリラといいなんでこうも変な名前のやつが多いんだよ!

ついついわらっちまうじゃねえか!


そんな事を考えていると周りからひそひそと声が聞こえてくる、


「おい、あいつ首狩りに絡んでるぜ」


「ああ、なんて命知らずなやつなんだ」


「死んだな、あいつ」


おいおい、いつから俺はそんな物騒なやつになったんだよ!

すると次はメルさんが、


「ユーマ君ー やっちゃっていいわよー」


やっちゃっていいわよじゃねえだろ。

ギルド受付そんなことでいいのかよ。

それが聞こえていたのだろうか、いきなりマルブタが震えだす。


「え、首狩り、ユーマ? え?」


マルブタの顔がどんどん青くなっていく。

ちょっとかわいそうに思えてきたぞ。


「ま、まさか。あの残虐非道、逆らうやつは容赦なく首を落としていく、あの首狩りのユーマ?」


おい、いつから俺はそんなむちゃくちゃなやつになったんだよ!

俺だって殺すべき相手とそうじゃない相手の区別くらいついてるわ!


「すすす、すみませんでしたああああああああ」


そう言いマルブタ君は俺に土下座した。

やっぱりこの世界で土下座って結構有名なのね。


「ああ、大丈夫だ。まだ怒ってないから」


「ひぃいいい! すみません殺さないでください! 金ならいくらでも払いますから!」


「だから、まだ怒ってないから殺さねえよ。でさ、とっととそこどいてくれる?俺ギルドに用事あるからさ。通行の邪魔なんだよね」


「すすすすいませんでした!!」


そう言い残しマルブタは信じられないスピードでギルドから離れていく。

あいつ、あんな素早く動けるのか。やるじゃないか。

さて、気を取り直してオークキングの報告しないとな。

そう思いメルさんの元へと歩いていき話しかける、


「こんにちはメルさん。少し話がしたいのですがよろしいでしょうか?」


「こんにちはユーマ君。話って何かしら?」


メルさんはニヤニヤしながら聞いてくる。

この人どんな話だと思っているんだか。


「昨日、またオークキングがでましてね。その相談ですよ」


俺が小さな声でメルさんにそう伝えると、メルさんは一瞬で真面目な顔になり、小声で話しはじめる。


「ユーマ君。ギルドマスターのところに行くわよ」


「わかりました。」


俺とメルさんはギルドマスターの部屋に向かっていく。

すぐに部屋に着き、メルさんが声をかける。


「すみませんギルドマスター。急用です」


「入れ」


俺とメルさんは部屋の中に入っていく。

いつものようにグレンさんはイスに座っているが、その顔はいつにもまして真剣な顔だ。いつもこういう顔でいればギルドマスターとしての威厳もあるんだけどなぁ。そしてグレンさんが口を開く、


「よくきた。早速何があったか聞こう」


そして俺は昨日、オークの森でlevel上げをしていた帰りにオークキングを見つけて始末した事を報告する。

するとグレンさんの顔が一層険しい顔になる。


「たった二日で二体のオークキングだと……俺がギルドマスターになってからそんな事始めてだぞ。何かよくない事が起きる前兆でなければいいが」


グレンさんは真剣に何か悩んでいるようだ。

そして一つの話を俺に切り出す。


「ユーマ、この件はすぐに判断をだせねえ。悪いんだがまた明日会いに来てもらってもいいか?」


「いいですよ。ではこれで俺が報告したい事はすべてなので帰らせてもらいますね。」


「ありがとな。あと最後にユーマ。お前忘れているようだが」


忘れている?何かあったかな?


「おめでとう。お前は今回の件でAランク昇格だ! まったく大した野郎だぜ。ギルドに登録してたった数日でAランクなんてな」


「ユーマさんおめでとうございます」


ああ、そういえばもう一回同じような手柄を立てればAランクに昇格なんて話あったな。すっかり忘れていた。

しかしこれで俺もAランクか、あっさりグレースさんの上に行ってしまった。

まぁここから先は簡単には上がらないだろう。

なんせ特別な試験な試験を受けないといけないらしいからな。


「ありがとうございます!」


グレンさんに礼を言い、俺とメルさんは部屋から退出する。

そして大部屋に戻ってきてメルさんが、


「じゃあユーマ君。冒険者カードの更新をするから少し待っててね」


「わかりました。依頼掲示板でも見てますよ」


そう言い俺は依頼掲示板に歩いていく。

そういえば、またグレースさんいなかったな。

あの人一体何してるのだろうか、少し疑問に思ったがまぁいいか。


さーて何か依頼でもあるかねぇ。

まぁ今日はサリーとの約束もあるので受けるつもりはないのだが。

ふむ、相変わらずオーク討伐があるなぁ。明日はこれを受けるか。

その後も俺は依頼掲示板をのんびり眺めていく。

そして、


「ユーマ君終わったわよ」


メルさんから声をかけられる。

どうやら冒険者カードの更新は無事終わったようだ。


「ありがとうございます」


「ふふ、これでユーマ君もAランクね! ユーマ君が初めて来たとき逸材だとは思ったけど、ここまでだとは思わなかったわよ。おめでとう。これからも頑張ってね」


「ありがとうございます。では俺はこれから用事があるので失礼しますね」


こうして俺はメルさんから冒険者カードを受け取り、無事Aランクに昇格することができた。


さて、少し早いかもしれないがサリーを迎えにいくか。

そう思い俺はギルドから出ていく。

ちなみに後日メルさんに聞いた話だがあの後ギルドは、


「「「「うおおおおおおおおおおお」」」」


「いよいよ首狩りAランクに昇格だってよ!」


「へ、俺は最初見たときからあいつはやるやつだって分かってたぜ!」


「けど本当にすげえよ! あいつ冒険者になってまだ数日だぜ!? このまま本当にssランクまでいっちまうんじゃねえか!」


「たしかに、以前は俺も無理だと思ったが、今ならいけるかもしれねえって思っちまうな!」


ちょっとした騒動になっていたらしい。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

それから評価やブクマなどいつもありがとうございます。

これからもこの調子で頑張っていきます!

最強の魔王と同時更新です。

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