第34話 襲撃
……あの視線は一体なんだったのか。
まぁ今考えても仕方ないな。とっとと宿屋ジニアに向かうとするかね。
そう思いジニアに向かって歩き出そうとした瞬間妙なことに気づいた。
これは、跡を付けられているな……
4人……いや5人か。
おそらくギルドにいた連中だろう。あの時感じた敵意を今も背中に感じている。
これはそのままジニアに行くわけにはいかないな……
そう思った俺はわざとジニアとは反対方向に歩いていき、
人通りの少なそうな路地に入る。
ここなら誰かに見られる心配もないだろう。
さてと、
「おい!俺を尾行しているやつら出て来いよ!」
俺がそう叫ぶと五人ほどの男達が現れた。
ふむ。間違いないな、あの時ギルドにいたやつらだ。
そんなことを考えているとリーダーらしき男が口を開いた。
「ぎゃはは!お前わざわざこんな所に逃げ込んでくれるとは馬鹿なやつだな!」
なんか馬鹿っぽいやつだな。
「おいお前!もし全財産を俺たちに渡して黙って立ち去るなら殺さないでおいてやるぜ!」
ああ、俺の金目当てか。
しかしこいつらギルドにいたのなら俺がCランク相当だって知ってるはずじゃないのか?
なのにこういう手段で来るなんてもしかして相当強いのか?
とりあえず鑑定してみるか。{鑑定}
ダルムlevel11
力18
体力19
素早さ9
幸運2 {スキル}なし{称号}なし
よ、よえええええ……
ラルドはおろかラルドの子分だった二人よりも弱いじゃないか。
一応他のやつらのステータスも見てみたところ、
みなダルムより弱いやつらばかりだった。
なんでこれで俺に脅しなんてかけてきたんだこいつら……
「な、なぁお前ら、ギルドにいたんだから俺がCランクでしかもコカトリスを倒せる実力だった分かってるだろ?なんで喧嘩売ってきたんだ?」
そう俺は質問した。
なぜこの程度のステータスで俺を倒せる気でいるのか。
純粋な疑問である。
「ああ!あんなのインチキしたに決まってんだろうがよ!少し考えてみればわかる話じゃねえか!お前みてえなガキがコカトリスや赤目のラルドなんて倒せるわけねえ!」
「そうだ!そうだ!どうせあのグレースってやつに手柄もらっただけだろ!」
なるほどな。こいつらは俺が倒したって信じていないわけか。
まぁいい。でこいつらどうしようか……
さすがに冒険者をいきなり殺すってのはまずいかな。
まぁでもこいつら盗賊みたいなやつらだし殺しても……
「おら早く金だせや!」
「そういえばダルムさんこいつえらい可愛い女と親しそうに話してましたよ。そいつ俺らでやっちまうってのはどうでしょう!?」
「おおお!そりゃいいな!たしかにあの女は別嬪だった!おいガキ、条件追加だ!あの女もここに呼び出しな!早くしねえとぶち殺すぞ!」
よし殺すか。
そうと決まれば準備だ、
俺は気配遮断を使いアイテムボックスからナイフを2個取り出し両手に持ち、
「やるか」
俺はやつらに向かい全速力で走り出した。
やつらは俺がいきなり消えたことに驚いていた。
「なんだ!!!あいつどこに消えやがっ……」
遅い、
俺はとりあえず正面にいたダルムという男の喉を切り裂き沈める。
そしてそのまま横にいた男の首も同じように切り裂き、
そしてそのまま奥にいた二人の男に向けて走っていき、
両手のナイフで二人の首を同時に切り裂き沈めた。
残りは、一人だ。
「どどどうなってんだこりゃ!!」
まぁ気が動転するのも仕方がない。
なにせほんの数秒で味方が4人もやられてしまったのだから。
「す、すまねぇ俺たちが悪かった!もうこんな事は二度としねぇ!頼む命だけは助けてくれ!」
そういい土下座まで始めた。この世界でも土下座ってあるんだな……
しかしこいつ戦い始めるまでの威勢はどうしたんだよ。
まぁ俺の答えはきまっているのだが……
「無理だ」
そういい俺は土下座していた男の首を切り裂いた。
さすがに俺に対する暴言だけならまだしも、サリーに危害を加えると聞いて逃がすほど俺は甘くはない。
さてと、こいつらの死体どうしようか。
こんな奴らでも見つかると面倒になりそうだからなぁ。
アイテムボックスにしまっておくか。
いつか使う機会があるかもしれないからな……
そう思い盗賊の死体をアイテムボックスに納めこの場を後にした。
少し時間を食っちまったな。
気を取り直してジニアに向かうとしようか。
そう思い俺はジニアに向けて歩き出した。