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第31話 依頼


あの少女は一体誰だったのだろう。他人というには少しばかり似すぎていた。そういえばマリアさんがこの街に妹がいると言っていたな。関係しているのだろうか……



まぁこんなところで悩んでいても仕方がないか。グレースさんが待っているかもしれない、とっととギルドに行くことにしよう。



歩いて数分後、無事ギルドに到着することができた。



扉を開けて中に入ってみる。

ふむ、見た感じ酒場と似ているな。テーブルがいくつか置いてありその奥にはそこそこ美人な受付さんがいる。その横に掲示板のようなものがありおそらく依頼書であろう物が大量に貼ってある。


ギルドの中を色々観察していると見覚えのある人物が視界に入った。

先ほどぶつかったマリーによく似た少女だ。あの少女もどうやらギルドに用事があったようだ、偶然だな。あとで話を聞いてみるかな……



「おーいユーマこっちだこっち!先に盗賊に件を済ませるぞ!」


聞き覚えのある声が聞こえた。グレースさんだ。やはり俺より先にギルドに着いていたようである。


俺はグレースさんの元へと歩いていき。


「遅れてしまってすみません」


「いやかまわねえよ!それよりとっとと用事済ませちまおうぜ」


「そうですね」


そして俺は目の前の受付のお姉さんに、


「すみません盗賊を討伐したので報奨金をもらいにきたのですが?たしか名前は赤目のラルドだったかと思います」


すると受付のお姉さんは少し驚いたようだが隣にいるグレースさんを見て納得したようだった。


「あなたがあの赤目のラルドを倒した?ああグレースさんが倒したのね」


「いえ俺が倒しました」


「嘘はだめよ。君みたいなまだ冒険者にもなっていないような子に倒せるほどその盗賊は弱くないのよ」


なんだこの受付のお姉さん。まだ冒険者になっていないのは当たりだが、俺は事実を言っているだけなのに。そんなことを考えているとグレースさんが。


「おいあんた、こいつが赤目のラルドを倒したってのは事実だぜ。俺はあいつを逃がしちまった。それをこいつが倒してくれたんだ。」


それを聞いた受付のお姉さんは、


「も、申し訳ありません。急ぎ報奨金を持ってきます。しかしその前に討伐した証拠などはお持ちでしょうか?」


うーん。死体ならアイテムボックスにあるけど首から上ないんだよなぁ。そんなものここで出したら大騒ぎになりそうだ……


「ラルドの腕をみせてやれユーマ。あいつの腕には簡単にはマネできない入れ墨のようなものが入っているはずだ。それを見せてやりな」


なるほど。それを聞いた俺はアイテムボックスの中から器用にラルドの腕だけ取り出して受付のお姉さんに見せた。


「これは確かに確認しました。では報奨金を持ってきますので少々お待ちください」


これで大丈夫そうだな。


「グレースさん助かりました」


「こんなことくらいで礼なんかいうんじゃねえよ」


それから数分後受付のお姉さんは報奨金を持って戻ってきたようだ。


「お待たせしました。これが盗賊ラルドの報奨金2金貨となります。お受け取りください」


金貨!?初めて見たな。銀貨が銅貨10枚分ということはおそらく金貨は銀貨10枚分だろう。こんなに貰えるとは思っていなかったな。


「ありがとうございます」


これで盗賊の件は終わった。残りの俺の用事は……


「すみません。冒険者登録もお願いしてもよろしいでしょうか」


「やはり冒険者ではなかったのですね。冒険者登録の件ですがもちろん歓迎します。では名前とlevel、あとは職業などを教えてもらえるでしょうか」


ふむ、名前とlevelは問題ない。職業どうしようか。うーんアサシンでいいだろうか。職業アサシンって大丈夫なのだろうか……


「えーと名前はユーマでお願いします。levelは29。職業はアサシンで」


受付のお姉さんは少し驚いたように、


「えーと名前はユーマ様で、levelは……29!すごいですね。たしかにこれならあのラルドを倒したということも納得できます。そして職業が、アサシン?珍しい職業ですね。何が得意なんですか?」


「暗殺です」


「え……」


「あ、いや……えと剣士とかみたいに近距離戦闘が得意ですね!」


「そ、そうですかわかりました」



危ない危ない……



「はい。ではこれで必要なことは終わりです。数分後には冒険者カードができると思います。それまでに冒険者のランクなどの説明をさせてもらいます」


「わかりました」


「では。まず冒険者のランクというものはF~SSランクまでの8種類となっており冒険者を始める方はみなFランクからのスタートとなっております。そこから依頼をこなしたりそれ相応の成果を上げることによりランクは上がっていくことになります。Aランクまでは戦闘能力だけで上がっていくことができますがそこから先は特別は試験を受けることで上に上がることができます。ここまでよろしいでしょうか?」


「はい。大丈夫です」


「では続きを。もし依頼を連続で失敗したりするとランクが下がる場合などもございますので注意しておいてください。それからご自身のランクより1ランク上の依頼までは受けれますがそれ以上は受けれませんのでご理解ください。それと最後にユーマ様は盗賊ラルドをお倒しになる実力をもっております。なのでユーマ様が望むのでしたらランクをCまで上げることができます。どうなさいますか?」


ほう。みなはじめはFからだというのに一気にCまで上げるのか。それほどあのラルドという男は有名だったということだろうか。まぁ特に断る理由はないな。


「あげてくださるのでしたら是非お願いします」


「わかりました。では今日からユーマ様はCランク冒険者となります。冒険者カードができるまでしばらくお待ちください」



さて。用事は終わったな。冒険者カードができるまで何をするか……とりあえず依頼掲示板でも見てみるとするか。


俺は掲示板の前まで移動してまずFランクの依頼を見てみた。


ふむ、薬草採取に、家の引っ越しの手伝い。街の掃除に……お!スライム討伐!この世界にもやっぱりいるんだな!ちょっとテンションあがるな!


しかしさすが最低ランク微妙な依頼ばかりだ。

Cランクに上げてもらって正解だったなこれは。

さてCランクの依頼も見てみようか、そう思った時だった。


「なんで依頼を受けてもらえないんですか!」


そんな叫び声が俺の耳に入ってきた。てかこの声は……


「ですからもしそれをするなら最低でも冒険者ランクB程度は必要です。しかしいまこのギルドにいる唯一のBランクであるグレース様は武器が現在修理中。いまその依頼を受けれる冒険者はいません……」


「しかし、こんな事をしている間にもあの子は死に近づいているんです!お願いします!お金ならあるだけ払いますから!」


やはりマリーににたあの少女だ。しかしあの慌てようどうしたのだろうか。

近くにいたグレースさんに聞いてみることにした


「グレースさんいったいなんですかこの騒ぎは?」


「ああユーマか。いやこのお嬢ちゃんがなある依頼を受けてほしいらしくてな。しかしその依頼の難易度がBランク相当なんだ。でいまこのギルドにいるBランクは俺一人、だけど武器はないから依頼は受けられない。て訳でもめてるわけだ」


「なるほど。それで気になっていたんですがその依頼の内容とは?」


「ああ、コカトリスの討伐だ。正確にはコカトリスの心臓がいる」


なるほどね。まぁコカトリスは前にも聞いた通り毒で体を石にしてくる厄介な魔物だ。倒すには相当の実力がいるだろう


しかし気になるな、なんであの少女はコカトリスの心臓なんて必要なんだ……


「ああ、聞いた話じゃ親友が石化病らしくてな。珍しい病気なんだがいったんかかると治すのにある薬がいるんだ。でその薬を作るのにコカトリスの心臓がいるって話だ」


なるほどな。正直あの少女が赤の他人なら俺は放っておいたかもしれない。

しかし気になることがある。


俺はその少女のいる方向に歩いていき気になることをきいた。


「すまない。もしかして君はバリス村にいるマリアさんの知り合いだろうか?」


それを聞いた少女はかなり驚いた顔をしていた。


「マリア伯母さんの事を知っているんですか!?」



やはりか……



「ああ、少し前に世話になってね。それで君に話があるんだけど」



「なんでしょうか?すみません私今すごく急いでいるので手短に言ってもらえるとうれしいです……」



「君の依頼なんだけど俺が受けるよ」



「……え」



この少女があの家族の知り合いだというのなら放っておく訳にはいかない。

あの家族にはよくしてもらったからな……

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