第20話 バリス村
しばらくすると門番のガントさんはようやく落ち着いてきたようだ
「ふぅ すまねえ少し興奮しちまったぜ!」
少し・・ではなかったような気もするが
「しかし坊主お前ほんとにあいつらを倒したっていうのか?
いや疑ってるわけじゃねえんだ けどなお前みたいな坊主がやつらを倒せるとは
少しだけ意外でな」
まぁ疑問に思うのもしかたないだろう いきなり俺みたいなやつが盗賊3人とも倒してきましたよっていって信じてくれるやつはそういないだろう・・
しかしだこのおっさん、、さっきから俺のことを坊主坊主と・・俺はもう成人なんてとっくに過ぎた25歳だっていうのに・・
「あの盗賊3人ですがおそらくやつらは無事逃げられたことで安心して油断していたみたいですね、そこを魔法で仕留めたってわけです。
あとこれでも信じられないのならアイテムボックスにあいつらの死体が入っているので実際にお見せすることもできますよ。
最後に俺はもう25歳なので坊主ではありません 佐藤悠馬という名前がちゃんとありますので・・」
ガントさんは油断していたところを俺が倒したと聞いて少しなっとくしたようだ
「なるほどな、油断していたやつらに一人で森に入れるお前ならたしかに勝てるかもしれないな。 しかしお前貴重な魔法が使える上にさらに貴重なアイテムボックスまで使えるって見た目とは違ってすげえやつなんだなぼう・・・
いやユーマ! お前が25歳ってのは少し信じづらいがたしかにあいつらに一人で勝てるやつを坊主なんてよべねえな!」
ふむ どうやらこの世界では魔法は貴重な存在だったようだ
しかもアイテムボックスはさらに貴重 これはなるべく隠していったほうがいいか・・ 余計な騒動を持ち込むかもしれないからな 当然必要な時はまよわず使うだろうがむやみやたらに使うのはやめておこう
「信じてくれてありがとうございます それであいつらの死体どうしましょうか?確認したいというならここで出してしまってもいいのですが・・」
ガントさんは少し不思議そうにしながら
「そりゃ一応確認だけでもしておきたいところだな けどどうした なにか問題でもあるのか?」
「まぁ 問題ってほどではないんですけどねぇ・・ 少々グロテスクなことになっておりまして・・ 簡単にいえば首から上が吹き飛んだ状態なんですよ・・」
ガントさんはそれをきいた瞬間若干引いたような顔をした
だがそれも一瞬で
「ああかまわねえさ これでも門番なんて危険な仕事してんだ
こんなこといいたくはねえが死体は見慣れてる みせてくれ」
それなら・・と俺はアイテムボックスの中から二人分の死体を取り出した
それをみたもう一人の若い門番は小さく悲鳴らしき声をあげていた
しかしガントさんは少し驚いたようだがそれだけだった
「ほう・・ ここまでとは思わなかったぜ ユーマおめえいったいどんな魔法つかったんだよ・・ ん? 盗賊は3人いたようだがもう一人はどうしたんだ?」
「残りの一人はなんというかもっと派手にやってしまいまして・・
なんというかその・・死体なのかわからないほどにばらばらになってしまいましてですね・・・」
俺がそういうとガントさんはさすがにかなり引いたような顔をしていた
仕方ないじゃないか! ファイアボールがあんな大きくなるなんて思わなかったんだから!・・・
「お・・おうそうか・・ そういうことならしょうがねえな・・ああ・・」
それからガントさんはすぐ気を取り直し
「よし 確認はすんだぜ でこいつらの死体もう一回アイテムボックスの中にしまっておいてもらっていいか? さすがにこれをこのままにしておくと騒ぎになりそうだ・・」
俺はアイテムボックスの中に二人を収納した
「ありがとな! さて俺は盗賊の心配はなくなったってことを村長に伝えていくがユーマはどうする? 宿屋を探すんだったら俺のオススメの宿屋を紹介してやるが?」
「ほんとですか!? ぜひ紹介してほしいです!」
ガントさんは笑みを浮かべながら
「よっしゃ! それならここからまっすぐ道沿いに歩いて行って
6件ほど先にある宿屋がオススメだぜ!
値段も安いがなにより飯がうめえ!」
飯がうまい?! そいつは最高だな
だが先に聞いておくことがある
「すいませんガントさん その宿すごく惹かれるのですが・・
お値段はいくらほどなんで?」
「ああ 一泊2銅貨で飯付きなら3銅貨だな!
一泊分くらいの金くらいなら俺がおごってやろうか!?」
飯付きで3銅貨か それなら大丈夫そうだな
「いえ それなら大丈夫そうです! ありがとうございます」
ガントさんは安心したように
「おう! それならよかった じゃあ俺は村長に報告にいってくるからまた後で会おうぜ ああそれといい忘れていたんだが・・」
いい忘れていた? いったいなんだろうか
ガントさんは笑顔を浮かべながら言った
「ようこそバリス村へ! 歓迎するぜ」