第19話 門番
盗賊との戦闘から1時間はたっただろうか、俺は若干の空腹とMP回復のためにパプゴを食べながらのんびり歩いていた。
「ふあ~、まだ森は抜けられないか、パプゴは入口付近に生息らしいからすぐ出らるかと思ったけど少し甘かったな。まぁ仕方がない、最悪日がおちるまでに森を抜けられればそれでいい。もしもの時は野宿になるがまぁ今のところこの森はそこまで危険そうじゃないから大丈夫だろう。」
しかしこの森は魔物はほとんどいないのか、数日間この森の中にいてみつけた魔物はいまだにラビッツだけだ、もともとあまり魔物は生息していないのかそれとももっと奥にいけば強力な魔物がいるのか……
そんなことを考えながら歩いているうちに森の出口らしきものがうっすらみえてきた。
「お!、やっと出口か……」
そのまま数分歩いて見事森を出ることに成功した。
「ふう~~、やっとこの森ともおさらばだな」
そうして森を抜けると目の前には草原が広がっていた
「うげぇ、まだ歩くのかよぉ……まぁもううっすら村はみえているわけだから数十分もかからずに着くか」
そこから数分歩いて無事村に着くことができた。
「おおお、ここがあの盗賊がいっていた村か。もっと小さいと思っていたが、案外でかいもんだな」
入口には門番が二人立っている、二人ともかなり緊張した顔だ。
「あの人たちが門番ってやつか、ずいぶん殺気立ってるな。まぁ当然といえば当然の話だな。あの盗賊の話から察するにこの村はやつらに襲われたばかりのはずだ、警戒しないわけがない」
とりあえず話かけてみるか、そう思った瞬間。
「そこの変な服装のやつ止まれ。おまえ何者だ。何の用でこの村にきた」
いきなりかなりの喧嘩腰だな、しかも変な服装……
まぁ俺が来ている服はこの世界にくるまでに来ていた服だ、この世界の人にとっては変な服装で間違いないだろう。
しかしこの村にきた理由か、異世界から転移してきて一番近かった村がこの村なんていったって絶対信じてくれないだろう、うーん仕方ないな。
「初めまして、俺は佐藤悠馬といいます。俺は2日ほどまえから魔物の討伐を目的にこの森を訪れており、今朝十分な数を倒し終えたので森を出て歩いていたらこの村をみつけました。この村に来た目的ですがさすがに野宿はつらいので宿を借りに来ました」
この説明で大丈夫だろうか、俺は嘘が苦手なのだ……
しかしこの説明で門番の方は警戒した顔を少し和らげほっとしたようだった。
「なるほど、そんな若いのに魔物の討伐なんてえらいじゃねえか! やるじゃねえか坊主!俺の名前はガントっていうんだ、よろしくな」
そういいながら手を差し出してきた。
俺も同じように手を差し出し握手をかわした。
「はい、よろしくお願いしますガントさん!」
これなら大丈夫そうだ。
「ところで坊主、お前ファリス森林で魔物の討伐してたっていったよな?」
「はい、それがどうかしましたか?」
「いや少し前この村は盗賊に襲われてな、そいつらは5人組で2人はなんとか冒険者の方が倒してくださったんだが、残りの3人が森の方向に逃げていったのよ。もしかしたらお前がそいつら見かけてるんじゃねえかって思ってな」
ああ、あの盗賊3人組のことか。すっかり忘れてたな。
「そいつらはガッシリ体系の顔にキズのある男と、痩せている二人組の男のことでしょうか?」
そういうとガントさんは少し驚いたように言った。
「おお、間違いねえそいつらだ! 坊主! そいつらがどこに向かったかわかるか?! また村を襲う気ならそいつらは放っておけねえ」
そういったガントさんの顔は鬼気迫った顔をしていた。
「大丈夫ですガントさん、あいつらがこれからどこに向かう気だったかはわからないけど、もう二度とこの村に来ることはできないと思いますよ」
ガントさんは不思議そうに、
「なんでそんなこと言いきれるんだ?」
俺はニッコリ笑みを浮かべながら答えた。
「だってその3人はもう俺が倒しましたから」
ガントさんはいきなりの俺の発言にぼーぜんとした顔になった。
しかし数秒後ガントさんの絶叫があたりに響き渡った。
「なにぃぃぃぃいいいいいいいいい!!!!」




