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第104話 力加減

お待たせしました。4章開始します。



 グロースラビッツ討伐の依頼を終えバリス村を出発した俺は、フロックスに帰るために全力の半分程度のスピードで走り続けていた。

 

 それにしても、今回の依頼は色々な事があったな。

 特にシングと出会えたのは本当に幸運な事だったと思う。

 昔の俺と比較して何倍も辛い過去を持っているシング。それでも諦めずに頑張っている姿を見ているうちに、俺も勇気と元気を分けて貰えたような気がする。

 おそらくこの先シングが孤独に陥る事はないだろう。バリス村の人達に見守られ、きっと優秀な冒険者になる。その時は約束通りまた一緒に狩りをしたいもんだ。


「ただ、良い事ばかりではなかったのも事実だな」


 俺の頭に浮かぶのは魔人ランビリスの出現だ。

 何が目的でバリス村に侵入していたのか。奴の使っていた魔法とはどういう物なのか。そして魔人とはどういった存在なのか。俺では分からない事だらけだ。

 フロックスに到着したらミナリスさんに相談するとしよう。ランビリスの口ぶりから察するに、おそらくミナリスさんが魔人を知っているのは間違いないと思う。


 これはフロックスに到着してからも忙しくなりそうだな。

 そう考えため息をつこうとした時、数キロ先の前方が妙に騒がしいのを感じる。

 この周辺は人通りも少なく騒がしくなるはずもないのだが。

 そう不思議に思った俺は一旦走るのをやめて大木に上り前方へ目を凝らす。

 

 なるほど、4人組の男女が数十人の盗賊達に襲われているようだ。

 そして今の状況は4人組が圧倒的に不利。4人組のリーダーだろう赤髪の男が必死に指示を出しているようだが、数の暴力に押されてしまっている。

 大木の上に座りのんびり状況を観察した結果、このままだと確実に盗賊達が勝つだろうと確信する。流石に数が違いすぎるな。持ってあと数分といったところか。


 そうなってくると問題は4人組を助けるか見捨てるかだな。

 正直なところ、俺はもしあの4人組を見捨てて盗賊達に殺されてしまったとしても、俺は欠片の後悔もしないと断言出来る。少し可哀想とは思うけどね。

 我ながら随分と冷たくなってしまったものだと苦笑する。

 

「よし、そうと決まれば無視して進むとするか……いや、ちょっと待てよ」


 これは、もしかしていい機会なのではないか。

 ここ最近ゴールデンラビッツを乱獲した結果、レベルも能力も大幅に上昇している。それ自体は喜ばしい事なのだが、少し問題があるのも事実。

 この急上昇した能力を対人戦でどの程度扱えるか不安なのだ。もし相手を生け捕りにするような依頼があった場合、力加減を間違い殺してしまっては話にならない。

 その点、相手が盗賊なら加減を間違えて殺してしまっても何の問題もない。実験も出来てついでに人助けも出来る、一石二鳥というやつだな。

 

「そうと決まれば行くとするか。あと少しで決壊しそうだ」


 そう決めた俺は大木から勢いよく飛び降り、4人組と盗賊達が争っている場所へと向かい走り近づいていく。その姿を見た盗賊の一人が叫んだ。


「アニキ、変わった服装のガキがこっちに向かってきてます!」


 その報告に盗賊達のリーダーらしき男が機嫌の悪そうな表情を俺に向け。


「ああ、ただのガキじゃねえか。そんなもんお前らで始末しとけ! 俺はこの赤髪を早く殺して、後ろの女どもを切り刻んてやりたいんだからよ!」

 

 そう言い放ち盗賊達のリーダーは俺から目を離し赤髪の男との戦闘に戻る。

 そして俺と始末しろと命令を受けた盗賊達は、腰の短剣を得意気に振り回している。


「けけ、相手がガキだろうがアニキの命令なら仕方ねえよな。すぐに殺して―――」


 その男が最後まで言葉を発する前に、俺の貫き手が男の胸を貫いた。


「……何、が」


 俺の貫き手は男の体を容易く貫き、まだ温かさの残る心臓を抉りだす。

 そのまま、他の盗賊達に見えるように心臓を一気に握りつぶした。


「……がはぁ!!」


 心臓を潰された盗賊は口から大量の血を吹き出し、すぐに絶命した。

 俺は盗賊の体から腕を引き抜き、何かを確かめるように力を入れたり抜いたりする。


「この程度の力でこの結果か。心臓まで抉りだす気はなかったんだけどね」


 素手で心臓を抉りだすという行動に、盗賊達は勿論4人組の男女まで固まってしまっている。

 

「相手が脆すぎるのも原因なのか。まぁいいか。これから調整していこう」


 俺のその言葉に盗賊達は体を震わせ俺から遠ざかるように後退する。

 しかし盗賊達のリーダーらしき男だけが表情を強気に保ち、部下に命令を出す。


「お前ら、いくら相手が化け物でもたった一人だ! 俺達が何人いると思ってんだ! 数の暴力で押せば俺達が勝つに決まってんだろうが!」


 リーダーの言葉に盗賊達は戦う意志を取り戻したようだ。

 先ほどの言葉通りに数で襲おうと俺を大勢で取り囲もうとしている。

 そして俺は戦う意志を取り戻した盗賊達に小さな笑みを向けた。

 俺の方は対人戦の訓練のつもりなんだからさ。

 そうやって戦う意志を見せてもらわないと困るってもんだよなぁ。


「行けお前ら! さっさとぶっ殺せえええええ!」


 その声に反応するように盗賊達は一斉に俺に襲い掛かってくる。

 俺はその光景に笑みを浮かべたまま、その場から消えるように移動する。


「馬鹿な! やつはどこへ―――」


「お前の後ろだよ」


 目の前にいる盗賊が俺の言葉に反応して振り向く前に、盗賊の首を無理やり捩じ切る。

 俺のその行動に周りの盗賊は唖然とし、俺は捩じ切った首をその場に捨てる。

 捩じ切った首を飛び道具として使ってもよかったけど、今回は目的があるからね。

 

 というか、あれだけ大口を叩いた盗賊のリーダーは俺に向かってこなかったな。

 おそらく俺の事は部下に任せて安全な場所で決着がつくのを待っているのだろう。

 盗賊に良し悪しなんてあるわけないけど、なんか気に入らないな。

 よし決めた。あの男は最後に残して徹底的に実験してやろう。そうしよう。


「それでは実験を再開しようか。最期まで気を緩めないように頼むよ盗賊君」


 

活動報告にも書きましたがこちらは一旦お休みで、

新作を始めたのでそちらを見て頂けると嬉しいです。

https://ncode.syosetu.com/n3691gc/

俺の脂肪は変幻自在~神様から貰った二つのスキルでデブから最強へ成り上がる~

引きこもりアサシンもモチベが戻り次第更新したいと思います。

最後に、長い間放置してしまい申し訳ありませんでした。

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