第一話 永遠を願う
書きたい衝動に駆られ、なんとなく書き始めたものです。
更新はマメじゃないかもしれません。
作者の自己満足作品ですので悪しからず。
誰とて、忘れたい恋もあれば忘れられない恋もあるだろう。
心から愛した人がいて、今でもこの気持ちは変わらず、きっとこの先もそれが変わることはない。
気付けば、いつのまにか隣にいて、隣にいることが当たり前になっていた人。
そして、私にとって貴方がどれ程大切でかけがえのない存在であったのかを思い知らされる日が来てしまった。
貴方はゆっくりと私の心から去っていく。
そうして行き場を失った気持ちは募るばかりで、捨てることすら出来やしない弱い自分を自嘲する。
今となっては、自分を恨むことしかできない。
魔が差した、としか言いようが無い一瞬の気持ちの揺らぎが、私の全てを変えてしまったのだ。
この悲惨な結末も今となっては後悔しかあらず、溜め息を吐くばかりである。
少なくとも、失った時以上に悲しくて虚しく、こんなに惨めな気持ちになることは無かった筈だと悔やむも、時既に遅し。
手遅れなのを頭では理解していても、悔やまずにはいられなかった。
この先、私を待ち受けているのは後悔と自責の念に悔やむ日々だけである。
そこに生きていく理由すら見出せなかった。
好きなだけ振り回し、やりたい放題やった末に、結局のところ何一つ変えることすら出来ず泣き寝入りする私を貴方は滑稽と笑うだろうか。
波紋のように広がって揺れる想いは、深く、そして広く、私の中で渦を巻いていく。
今の私にはまだ答えが見つけられない。
クリスマスイブ。その日は、老若男女で街が賑わい、
プレゼントを抱えて両親に愛おしそうに見つめられている子供や、
楽しそうな学生たちが目に付いた。
自分にもあんな頃があったのだと思うと、なんだか微笑ましい。
「…いい加減、放してもらえないかしら」
「帰るつもりか?」
「そんなことないわ。私を疑うの?」
「今まで何度君の嘘に騙されたと思っている」
「騙される方が悪いのよ。そんなことも知らなかったの?帰って寝腐った方がいいわね」
「騙される方はどう考えたって被害者だ。可哀想だろう」
「何度も騙されるなんて、ある意味可哀想かもしれないわね」
男は何かを言いかけて口を噤んだ。
隣を歩く身長差の開いた小柄な女性の手を握っている。
「今年はイルミネーションが去年より綺麗だ」
「そうね」
「来年はきっともっと綺麗になる、楽しみだな」
「何それ、誘ってるの?」
「そう聞こえたか?」
「違うの?」
「さぁ、どうだろうな」
何それ、と女は笑う。
記憶を辿り、感傷に浸ってみる。
あの時の私はこの先もずっとこのままだと思っていた。
別に私たちは付き合っているわけでもないし、どちらが恋人宣言したわけでもない。
なんとなく一緒にいて、出かけたり食事をしたりと傍から見れば恋人のような。
それでも、お互い思っていることは同じだと思っていた。
だが、それが愚かな考えであったことに気付く時が刻々と近づいてくる。
私たちの未来に保証なんて無いのに、何故こんなにも穏やかに過ごしていられたのか、今となっては全く理解のできない過去の自分を、苦笑するしかなかった。
ここからのある程度の発展は考えていますが…。
話の結末をハッピーエンドにするかどうかは未だ未定です。
楽しんでいただければ何よりです。