政策
この、どうしようもない世界にある、ひとつの政策。
――西暦、5000年。
この世界は、とても平和だ。
人間と魔物が共存することになるなんて、3000年前の人類は考えもしなかっただろうか。
西暦3000年、魔物が出現した。
当然人類は怖がり、どうすれば倒せるか、とまで考えた。が、魔物は意外にも優しく、人間と魔物は話し合い、共存していくことに決めた。
しかし、やはり人間と魔物では生活も何もかもが違い、とうとう西暦4000年、地球を取り合って戦争が起きてしまった。
それから50年経つと、リシュという政治家がある政策を提案した。
その政策により、人間と魔物は和解し、今に至る。
しかし、この平和は、その政策だけで保てている。
その政策が無ければ、人間と魔物はまた1000年前のように戦ってしまうだろう。そして、また、悲劇を繰り返すのだろう。
そして、その政策の原文が、これだ。
************人間と魔物が争わないようにするには、どうすればいいか。
答えは簡単。
絶対的な、『悪』があればいい。
誰もが絶対に嫌うような、極悪非道の、悪。
これがあるならば、人間と魔物は一致団結して、悪をどうやって倒そうか、と考える。
自分たちで争う暇など無くなるだろう。
そして、この『悪』の存在だが、人間か魔物、どちらでもいい、今生きている中で、一番危ない犯罪者を連れてこよう。
悪に選ばれた者には、人間と魔物の身体と精神を自由にできる権利を与える。
つまり、選ばれなかった者達は、いつ自分が殺されてもいい状況下に置かれるということだ。
どうだろうか。
これなら、永久に人間と魔物が争うことは無くなると思う。
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