「不死身の男」
「短い話ばかりですが、油断すると泣いたり笑ったりします。」
1分で読める話も、3分で考え込む話も。
気軽に読めて、ちょっとだけ深い。
そんなショートショートを詰め込んでいます。
矢田は交通事故に遭った。
目覚めると病院のベッドだった。医師が驚いた顔で言う。「奇跡です。致命傷だったのに、一晩で完治している」
退院後も不思議なことが続いた。ナイフで指を切っても瞬時に傷が塞がる。高熱もすぐ下がる。
「俺は不死身なのか?」
矢田は恐る恐る、より大きな危険に身を晒してみた。高所からの落下、感電、毒物。すべて無傷だった。
彼は確信した。自分は死なない体になったのだ。
だが、ある日気づいた。鏡に映る自分の顔が、まったく変化していない。
それどころか、去年の写真と見比べても同じだ。十年前の免許証の写真とも。
矢田は震えた。過去の記録を辿ると、三十年前の卒業アルバムの自分も、今と同じ顔をしていた。
「俺は…いつから、こうなんだ?」
その時、玄関のチャイムが鳴った。白衣の男が立っていた。
「実験体No.4771、矢田!記憶リセットの時間だ!また事故に遭ってもらうぞ!」
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
次回もまた、ちょっとした物語をお届けします。
よろしければ感想などもお待ちしています。




