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「完璧な傘」
「短い話ばかりですが、油断すると泣いたり笑ったりします。」
1分で読める話も、3分で考え込む話も。
気軽に読めて、ちょっとだけ深い。
そんなショートショートを詰め込んでいます。
矢田は雨の日、不思議な傘屋を見つけた。
「当店の傘は絶対に濡れません」店主が自信たっぷりに言う。
矢田は半信半疑で一本購入した。確かに雨粒が傘に当たる前に消えていく。科学の粋を集めた逸品らしい。
通勤も買い物も快適だ。豪雨の日も、矢田だけは涼しい顔で歩ける。
数日後、矢田は気づいた。喉が渇く。水を飲もうとしても、口に入る前に水が消える。
慌てて傘を閉じた。途端に激しい渇きが襲った。病院に駆け込むと、医師は首を傾げた。
「体内の水分が著しく減少している。まるで数日間、一滴も水を摂取していないような…」
矢田は震えた。傘は雨だけでなく、あらゆる水分を遮断していたのだ。
店に戻ると、もぬけの殻だった。張り紙が一枚。
「完璧な傘は、完璧にすべてを防ぎます」
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
次回もまた、ちょっとした物語をお届けします。
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