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ショートショート集  作者: 桜餅 詩音


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2/6

「記憶販売店」

「短い話ばかりですが、油断すると泣いたり笑ったりします。」

1分で読める話も、3分で考え込む話も。

気軽に読めて、ちょっとだけ深い。

そんなショートショートを詰め込んでいます。

矢田は繁華街の奥で「記憶販売」という看板を見つけた。

店主は言った。「当店では不要な記憶を買い取り、必要な記憶を販売しております」


矢田は即座に売却を決めた。失恋の痛み、恥ずかしい過去、後悔の数々。店主は丁寧に買い取り、代金を支払った。


「では、何か購入されますか?」


矢田は棚を眺めた。「初恋の甘い思い出」「成功体験」「幸福な家族の記憶」…魅力的な商品が並ぶ。

「これをください」矢田は「完璧な人生の記憶」を選んだ。


翌朝、目覚めた矢田は満ち足りた気分だった。素晴らしい人生を歩んできた実感がある。


だが、ふと鏡を見て凍りついた。鏡の中の自分は、明らかに二十歳は老けていた。


「記憶は時間と共に」店主の声が蘇る。「五十年分の記憶には、五十年分の対価が必要なんですよ」


矢田は震える手で、カレンダーをめくった。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

次回もまた、ちょっとした物語をお届けします。

よろしければ感想などもお待ちしています。

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