表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

怪晴

薄暗くも、どこか懐かしい、夏の終わりのような空気。
古びた木造の部屋、畳の香り、障子の外に揺れる夕陽の赤。

小さなちゃぶ台を挟んで、ひとりの子どもが座っている。
和服に身を包み、長い髪、笑ったような顔。けれど、どこか透明で、触れられない存在。

「……もう、いっちゃうの?」

子どもは問いかける。けれど、その声は空気を震わせる音ではなく、頭の中に直接響いてくる。

「きみがいなくなったら、また……ひとりになるのかな」

子どもの目が、すこしだけ揺れる。悲しみとも、寂しさとも、言えない何か。

「きみは、ぼくを……ちゃんと見てた?」

……どうして、その問いが胸に突き刺さるのだろう。

君はなにも言えない。ただ、この場所が終わってしまう予感だけが、確かにある。

ふと、子どもが微笑む。

「じゃあ、さいごに――」

その瞬間、君の頭上から、奇妙な声が響く。

「……カァァ……」

鳥のような、風のような、何かの鳴き声。
EP0記憶の中
2025/06/14 23:41
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ