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プリズンギャング

2008年 西東京

 路地裏に一人の外国人が駆け込んでくる。「はあ、はあ・・・やった!やっとだ・・・俺は王だ!」そう言いながら彼は路地裏に面する雑貨屋の扉を叩く。

 扉が開いて無精ひげの外国人が顔を出す。中東系の顔をしている。彼らはペルシア語で会話を始めた。(よお!兄弟、奴らから奪ってやったか?)(ああ。仲間は全員殺したよ。これで俺等はギリシャ人の連中からヤクを買い占めることができるぜ!)(ああ、奴らに連絡しよう)

 二人が中に入ると、無精ひげの外国人が数人煙草を吸いながら事務所の机で談笑している。そのうち、入って来た男を見た数人が喜びの声を上げる。(よお!兄弟、やったか?)(ああ!やっぱ日本のハングレはたいしたことねえな。)(おいおい、そんなこといってると奴らにカタナで切られちまうぜ!ガハハハハ・・・)

 豪快に笑う彼らはイラン難民出身の泥棒だ。車や宝石、家電や携帯電話を盗みそれらをブラックマーケットに流している。そしていま駆け込んで来た男は半グレと組んで参加した宝石強盗において仲間を裏切り、宝石を独り占めして逃げて来たところだ。

 仲間たちが大量の宝石をみてよだれを流す中、店の扉につけてある呼び鈴が鳴る。

 「おい、閉店って看板があるぜ!俺等外国人でも読める文字が読めねえのか!」と怒鳴りながら表向きは雑貨屋の店主として知られている男が表に出ていき・・・怒声が響く(いてえ!こいつ、いきなりナイフを・・・)

 (何だ!)(分からねえ!もしかしてお前が利用した連中なんじゃ・・・)(おい、俺は逃走車係を始末して逃げて来たぜ!バレる筈がねえ・・・)

 パニックになった皆はバットを握って表になだれ出る。

 そこには柄の悪い3人の半グレがいた。彼らもバットを持っており、店の中はすぐ乱闘現場と化す。そして奇声を上げながら侵入者たちは容赦なくイラン人の頭を殴りつけ、次々に殺していく。

 その頃、事務室の中では先ほど裏切ってから逃げて来た強盗が必死に宝石をかき集めていた。自分だけでも逃げようという算段だろう。

 だが彼が裏口を開けた途端、裏からナイフを持った二人の半グレが現れる。そして表で仲間を全員始末した3人も入ってくる。

 5人に囲まれたイラン人強盗は冷や汗を流しながら、「返す!返すよ!すまなかった!」と叫ぶ。だが冷徹に一人の男が言う。「あんたが殺した逃走車係、俺の後輩なんだけどな。」「本当に、すまなかった!この雑貨屋の権利書もやろう!それから・・・ヤク売ってくれる連中紹介するよ!」そのとき、入り口が開いて「俺等咆寂 (ほうせき)に喧嘩売ってただで済むと思ったのか?」と言いながら顔中に入れ墨が入って男が入ってくる。彼は半グレ達に「俺を通せ。」と命令し、イラン人強盗に近づく。「さてと・・・」彼はイラン人強盗の目にライターを近づけ・・・着火した。「ぎゃ~!」目が焦げた強盗は泣き叫ぶ。「ハハハ・・・下衆野郎が!もっと悲鳴上げろ!」とその男は狂気的に笑いながら今度はライターをイラン人強盗の口に投げ入れた。その様子を見て、半グレ達でさえ怯えているようだ。

 そのとき、彼のポケットの携帯電話が鳴る。「ふん!」のたうちまわるイラン人を見下ろしながら男は携帯を耳に当てた。「へい、もしもし!ああ、梅田さん!ええ、いま馬鹿な雇われにヤキ入れてたところです・・・ええ、もうすぐ始末できるんで動けますけど?へい、へい・・・ハハハ、そりゃあ楽しみですね!ヤクザとやり合えるなんて腕が鳴りますぜ!」

 電話を終えた男は言う。「てめえら、こんな雑魚にかまってる暇ねえぞ!ボスから命令だ。原山太闘会を潰せとさ!ヤサ戻って準備するぞ!」


2日後  東京 東東京

 東東京は善輪会二次団体の原山太闘会の事務所がある場所だ。

 この街は伝統的な建物が並び、観光地としても人気がある場所だ。

 だがこの静かな町は今、騒々しさに包まれている。「キャー!」と悲鳴が上がり、とある食堂の扉がガラの悪い男達にけ破られる。またその一つ通りを挟んだ向こう側では、寺の庭で暴走族達が和尚をボコボコにして大笑いしている。さらに、通りには騒々しく音を立てながらバイクが走っていく。

 そして事務所でもほうぼうから連絡が絶えず来ている様子だ。「分かった。今俺が使ってるゾクの連中を派遣する。」「何!?あんたの娘がさらわれたのか!?」

 電話対応する組員達の様子を見て落ち着かない様子で部屋を歩き回るのは、原山太闘会理事長代理の長嶋だ。「クソ!何がどうなってやがる!いよいよ半グレ達が動き出しやがったか!」

 そこにノックがあり、会長の韮澤が入室してくる。「すまねえ遅くなったな長嶋。実はちっと横浜任侠正道会の連中と会ってきてな。奴らの善輪会内のスタンスを聞いたんだが今回は横浜に火の粉が飛ばねえように抗争には参加しねえとさ。てよお・・・随分事務所が騒がしいな。」「実はですね、今朝からこの街でガラの悪い半グレや族の連中が暴れまわっているようでして・・・」「何だと!?」「ケツ持ちをしてる店等から連絡が途絶えねんです。」「何が起こっとるんだ!?」「分かりやせん。先ほど笹山に連絡したので、調べてくれるとは思いますが・・・」


翌日 神奈川県 鬼斬町

 今、鬼斬町の有名な高級料亭はその店と懇意にしている任侠組織鬼斬鉄拳会の貸し切り状態だ。大部屋で飲み会が行われているようだ。

 「さてと・・・善竜会との抗争前に少し息抜きしとけよな。今日はとことん飲めよ!」と鬼斬鉄拳会の若頭大日方が言うと、組員から歓声が上がる。鬼斬鉄拳会は会長の別府を襲撃され、さらには若頭の大日方を本家である善輪会の副会長を務める原野に破門されるなど悲惨な出来事が重なり組員の間には暗い雰囲気が漂っていた。それを払しょくしようと会長代行の大日方が今回の宴会を企画したのだ。

 だがその宴会に不穏な影が忍び寄る。料亭の警備を行っている筈の警備員達が何と胸元から携帯が許可されていない筈のピストルを取り出して隣室に入っていくと同時に料亭の給仕係の服を着た、しかし柄の悪い男達が部屋の前で待機した。彼らは無線機で会話しており、何者かが「突撃だ!」と無線で命令を下すと同時に給仕係が入り口のふすまを開ける。「おや、どうされた?」と大日方が問うと同時に給仕係は刃物を抜いて「てめえらもおわりじゃあ!」と叫んで居並ぶ組員達に襲い掛かる。

 と同時に隣室の警備員たちが部屋を仕切っている扉を押し倒し、弾丸の雨を降らせた。

 それと呼応するように裏口からはガスマスクを付けた男達が押し入り、催涙ガスで従業員を攻撃した。

 この襲撃により、事務所番を任されていた下部組織の構成員を除き鬼斬鉄拳会はほぼ壊滅状態に追い込まれた。会長代行の大日方も死亡してしまった。


翌日 獄界町

 「へい、今向かいます。下衆どもを東東京から追い出せばよいのですね?」と星山は答えた。

 相手は原山太闘会の事務局長だ。原山太闘会は武闘派揃いの小原一家の力を借りて、街に進出してきた半グレ集団を追い出そうとしていた。

 半グレ集団については、情報屋の笹山が既に彼らは巨大半グレ集団閻魔爛弩の構成組織、咆寂の傘下にある不良集団や暴走族であることを調べていた。


 咆寂の頭目は悪名高い半グレであった。顔中入れ墨を入れているその男は香我美という名で、過去に強姦や暴行の罪で少年院に入っていた時期がある。少年院の中でなんと彼は他の不良少年を集め、不良グループを結成した。また彼らの中から少年院を出た者は院外で他の不良を傘下に付けて組織力を拡大した。

 院外も併せて500人程度もの不良を配下においた香我美は少年院の中から命令を下した。「暴走族を配下に付けろ!」その命令は院外の幹部達に届き、彼らは暴走族にも喧嘩を挑む。そして簡単に暴走族を支配下に置くことが出来た。

 こうして圧倒的暴力で勢力を拡大した香我美は巨大なプリズンギャング「ミラーズ」の結成を宣言し、そのボスに収まる。

 出所後もミラーズの勢力を拡大させた香我美は、強盗活動にも参加することになる。彼はあらゆるものを暴力を通じて手に入れて来た。咆寂に入った際もその強盗チームのボスを殺し、自分が取って変わったのだ。

 そのような彼の暴力性に目を付けたのが梅田達「ステゴロ四天王」だそうだ。梅田達は香我美を自身のチームに勧誘したそうだ。

 それによりミラーズが表向きは解散したものの、咆寂の支配下で存続しているようだ。

 

 「くそ!凶悪な連中を送り込んで来たもんだな。」と星山は舌打ちをしながらも若頭の皆山に組員を招集させた。そして言う。「上からの命令だ。俺等は原山太闘会のシマを守るため凶悪な半グレ集団咆寂を潰す!」


5時間後 東東京

 「へへ・・・てめえら、よくやったな!あの寺は原山の前会長の墓がある。つまりな・・・奴らとはズブズブの寺ってこった。この金品は・・・恐らく寺が奴らから預かっていたものだろうな。これで奴らの大きな資金源を断った俺等のチームは香我美さんの直属組織にしてもらえるかもしれねえなあ!」

 と空き地に手下達を集めてはしゃぐのは咆寂の傘下にある暴走族連合の総長だ。

 そのとき、空き地に別の一台のバンと別の暴走族が侵入してきた。「あん?草山の連中か?あいつらは同じ咆寂傘下とはいえ信用できねえな。俺等から手柄をかっさらおうってことか?」と叫ぶ総長。

 だがバンからは大勢の黒スーツの男がマシンガンを手に飛び出して来た。その後ろからついてきた暴走族の連中はナイフを手に逃げ惑う咆寂系暴走族に襲い掛かる。

 「総長、奴らは烈火隊です!」と手下の一人が叫ぶ。「何!?くそ、原山が傘下の連中を呼びやがったな!俺は撤退するぞ!」と言いバイクにまたがる総長であったが、「逃がさねえよ!」という声が聞こえると同時に前方から車いすに乗った男が現れる。星山だ。彼は総長の乗るバイクのタイヤを撃ち抜くと横転した総長の足を素早くピストルで撃ちぬいた。そして野太い声で言う。「おい、あんたらのボス香我美はどこにヤサを築いた?言え!」

 こうして原山太闘会および小原一家と最恐の半グレ集団咆寂との抗争が始まった。

 


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