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日本刀のアサシン

2007年 獄界町 

「おっす片山さ・・・」と小原一家副総長室に傭兵団長の河馬が入って来た。「さっさと米田と星山を殺せ!奴らを殺せば米田組は終わりだ。」片山は河馬を睨む。だが河馬は平然としている。「安心してもらいたいね、片山さん。犠牲は大勢だしましたけど・・・これで米田組の実力が分かりました。でも、面白いっすね。」「ああん?舐めたこと言ってんじゃねえ!米田組程度にてこずってるようじゃあ、俺が善輪会を支配したときにてめえと同盟は出来ねえ!」そう言って片山は机を叩く。「安心して下せえ。今あんたの目の前であいつを呼び出しやすから。」「あいつ・・・だと?まさか・・・」「ええ。いよいよ残狼を動かしやすよ。」と言い、河馬は笑う。それを受けて片山は怒りを治めた様子だ。「残狼ならいくら奴らだとても勝てねえ。それに最高戦力の星山は今、車椅子生活だ。」そう言うと片山はにんまりと笑う。


同時刻 横浜 中華街

 横浜の中華料理店で東京のチャイナマフィア八天黄会と中華街を支配するチャイナマフィアの会合が行われていた。

 「どんな代物だ?」と八天黄会幹部。「ああ、その前に金を見せろ。」と相手が答えた。「ふん、がめつい野郎だぜ。」そう言いながら幹部は後ろに控えていた部下に合図する。するとその女は一礼し、手に持っていたスーツケースをあけて机の上に広げる。「ほらよ。」そこには金塊が多く詰め込めらていた。「ふうん・・・よしいいだろう、ブツを見せてやれ。」と相手側も同じく店の店長に合図する。店長は従業員二人に指示を出し、二人は奥から大きなカートを引いてきた。「北朝鮮から贈答されたやつの横流し品だ。好きな奴を選んでもっていけ。」と言って横浜マフィアが指し示したのは銃や爆弾などの武器であった。

 そのとき、入り口側から慌てた様子の警備員が駆け込んで来た。「大変です!い、今襲撃者が・・・」そう叫ぶ彼は片腕が切られていた。切り口から血が出ている。「お、おい何事だ!?」店の店長が慌てて聞く。そのとき、その男の腹がいきなり裂けた。そしてその後ろから日本刀を引っさげた灰色の長髪男が姿を現す。その顔には張り付いたような笑みが浮かぶ。「外人はいなくなるべきだね。」そう言うと男は日本刀を振りかぶり、目の前にいた八天黄会の幹部を切りつけて殺した。「あ、あんた!」部下の女が慌てて銃を抜くも、その手は早くも切り落された。「く、くそ・・・やれ!」そう叫ぶと横浜マフィア幹部は後ろの護衛達を押しのけてマフィアを押しのけて裏口に向かう。「お、お前らでこの店を守れ。」そう言うと店長は壁から猟銃を取り、日本刀の男に向ける。「てめえ、誰にコナかけてんだよ!?」だが男は近くにいた護衛をひょいっとつかみ、その猟銃の銃口に投げつけて殺させると殴りかかって来たマフィア達を次々と切りつけて殺す。

 「おりゃあ!」厨房にいた従業員達は無謀にも肉切り包丁を持って切りかかるが、全員殺されてしまった。

 「た、助けてくれ・・・金は沢山やるし俺はこの店を放棄する。だから・・・命だけは・・・」中華料理店の店長は泣き崩れている。「そうかい。」男は笑みを維持したまま店長に近づき・・・喉元に剣を突き立てた。店長は血を吐いて死ぬ。

 男は血に染まった店内を見渡しながら、来ている袴の胸元から布を取り出して剣の血を拭う。「さてと・・・芳沢一家に任務完了報告を・・・ん?」男は取り出した携帯が振動したので目を止めた。「河馬くん?久しぶりの連絡だね。どうしたの?」「残狼か?実はな、お前に処理して欲しい案件がある。」「珍しいじゃん。この僕が出て行かなければならないほどの案件なんてさ。だいたい君が使っている雑魚どもで対応できるじゃん。」「あ、ああ・・・そんなに難しくないけどさあ、他の連中皆で払ってるから。頼める?」「いいよ、どんな案件?」「東京獄界町のヤクザ米田組を皆殺しにして欲しい。」


二日後 夜 獄界町

 「カシラ、上納金を計算してみましたがこりゃあ・・・大変ですわ。」と舎弟の高島が言う。「はあ・・・だろうな。どの店もサツに睨まれて俺らと距離を置きたがってる。こちらも回収にいけねえしよお。」と星山は溜息をついた。

 獄界抗争の警官が複数巻き込まれたことで、警察はヤクザへの監視を強めている。警官殺しの黒幕は小原一家であったが、警察や一般人からみたら抗争しているヤクザ組織両方が怪しい。警察ともめても厄介なことになるので、米田組としては大人しくしている方針であった。

 「まあいい。お前はもう部屋に戻って寝ろ。俺と勝田でここでもできるシノギを考える。」「へい、ありがとうございます。」「付き合わせて悪かったな。」と本部長勝田。

 高島は一礼して部屋を出た。星山と勝田、そして組長である米田のことが心配だが、下がしっかりしねえといけねえと思いながら高島は廊下を歩いていく。すると向こう側からこちらに歩いてくる人影が見えた。(ん?あれは・・・室谷の叔父貴か?しかし和装とは珍しいな)「叔父貴、こんな時間にどうしやした?」だがその人影は何も答えない。「叔父貴・・・?」人影は透き通るような低い声で言う。「そこ、どいてくれるかな?邪魔なんだよねえ。」(誰だこいつは!?)高島は警戒態勢に入り、銃を抜く。「てめえ、なにもんだ!」銃の引き金に手をかける高島だが、男はいきなり腰の手をやると何かを抜いた。「素人だね、君?」そう言いながら彼はものすごい速さで抜いたものを振り上げながら突っ込んで来た。そして窓から入る月光で振り上げたものが日本刀であることに高島は気づく。「‼」慌てた高島は反射的に引き金を引いた。「素人だなあ、本当に。欠伸がでちゃうな。」そう言うと何と男は弾丸を日本刀で叩き切り、高島の眼前に迫る。高島は慌てて転がりながら避けるがその背中に鋭い痛みが走る。「まあ全員殺す依頼だし、君も殺そう。」そう言って日本刀を振りかぶる笑顔の男を見て高島は「残狼・・・」とつぶやいた。

 残狼は本名不詳の殺し屋だ。顔は様々なところで目撃されているものの、その正体や居場所は何故か誰も知らない。残狼という自称で活動しているのだ。だがこの殺し屋の特徴として分かっていることとして、日本刀を使う殺し屋だということは伝わっていた。拳銃等の飛び道具が存在する現在において日本刀を主な武器として戦う彼は異色の殺し屋であると言えた。だがその実力は驚くべき程で、何と拳銃を持った集団に対しても無傷で攻撃を仕掛けるという。一説には刃桜傭兵団のメンバーだという噂もあったが、各地を回りながら単独で活動するのでその真偽は不明だ。だが今回彼が刃桜傭兵団の一員であることが判明した。

 「くそ・・・先には進ませねえ・・・」高島は倒れながらも拳銃の銃口を残狼に合わせた。だが残狼はにやり、と笑うとものすごい速さで日本刀を振り上げ、高島の両腕をを拳銃ごと切り落とした。「うっ!」激痛でうめく高島。「さあ、悪あがきはやめるんだ。」残狼はそう言って日本刀を振り上げた。そのとき、「わあお。」と残狼は後ろに倒れる。「てめえ、何しやがる!」勝田本部長が残狼に乗っかっていた。だが「あんたも殺されに来たんだな。」そう言うと日本刀を走らせる。「うおっ!」立った勝田は何と股間から血を流している。「お、おい・・・」星山が飛びだして来た。「カシラは組長室に!」「わ、分かった。」星山は拳銃を抜くと車椅子をこいでいく。

 「さあて・・・まずは君を殺そうかな。」そう言うと残狼は高島の首筋に刃を走らせた。高島は一瞬で絶命だ。「高島・・・クソ野郎!」勝田が叫んで両手から拳銃を取り出す。そして目の前の残狼に撃ちまくる。だが何と残狼は袴の後ろからもう一本日本刀を抜くと両手で持ち、弾丸を切りまくる。残狼には傷一つついていない。

 「くそ・・・」冷や汗を流しながら勝田は後退していく。そしていきなり残狼の日本刀を振り上げる動きが変わった。両側から刃を走らせ、勝田の両腕を切り落としてしまったのだ。「あ・・・」「終わりだねえ。地獄の閻魔様によろしく伝えておいてよ。」そう言って日本刀を振り上げたとき、廊下の奥から「待て!」と声がした。そこには星山がいた。「やめてくれ・・・これ以上仲間を殺すな・・・お願いだ・・・」星山は泣いていた。「カシラ!カシラは組長室へと行ってくださいと先ほど・・・」「頼む!あんたの雇い主は分かってる。シマはやると伝えてくれ。もう仲間がつらい目に遭うのはうんざりだ。」「か、カシラ!?」「ごめんなさい。僕はね、雇い主がシマ狙いかどうかなんて関係ないの。皆殺しにしてくれと言われているからさあ・・・」そう言うと残狼は再び日本刀を振り上げた。「ま、待て!殺すなら俺を先に殺してくれ!」そう言うと半ば勝田を押しのけるようにして星山が前に出て来た。「ほら、拳銃も捨てる。」そう言うと星山は拳銃を後ろに放り投げた。「なるほどねえ・・・じゃああんたの勇気に敬意を払おうか。おっさん、この車椅子の男を僕が切り刻む間逃げてよ。見逃してあげるかも。」「勝田!親父を連れて逃げろ!」「あんた、何言ってるんだよ!俺らのシマを渡すんじゃねえ!」「綺麗ごとをいうな勝田!極道はメンツじゃねえよ!メンツがつぶれても仲間が大事だ!早くいけ!これはカシラとしての命令だぞ!」「あんたがカシラとして命令しようが、親父がシマの受け渡しを了承しなけりゃあ俺はそれに逆ら・・・う・・・」そう言いながら勝田は倒れた。両腕からの出血多量で気絶したのだ。「あああ・・・残念だねえ。彼、逃げれないよ。」「くそ・・・だがあんたがこいつを殺すところは見たくねえ。俺をころしてくれ。」「臆病だなあ・・・」そう言って残狼は日本刀を振り上げ・・・痛みに身を引いた。

 「よくも大切な舎弟を舎弟をやりやがったな!」星山は怒りの顔で車椅子の手すりについているボタンを押しまくる。すると弾丸が次々と飛び出し、残狼の体に刺さりまくる。「くそ!」残狼は慌てて日本刀を振り上げるが、その腕に弾丸がめり込んだ。「ぶっ殺してやる!」と怒りの形相で現れたのは米田だ。米田は星山が先ほど後ろに投げた拳銃を奥で受け取り、前に出て来たのだ。米田の後ろから二人組員が現れ、勝田を担架に乗せる。

 「くそ・・・僕が・・・こんな計略に引っかかるなんて・・・」そう言うと残狼は窓を割って外に飛び出していってしまった。多くの血を流しながら


翌日

 「何だと!?役立たずどもめが!あん?ふざけんじゃねえ!俺らはもう前金を払ってるんだこの野郎!」「すまねえけどさ片山さん、こっちもこれ以上損失を出したくねえの。」と河馬。「お、おいだが残狼の野郎は生きてるんだろ?」「ああ。だけどさあ、あんたケチだからどうせ治療費払ってくれねえっしょ。すみませんねえ、刃桜傭兵団は手を引きますわ。」そう言うと河馬は一方的に電話を切った。片山は切れた電話機を見つめていたが、その顔は怒りに染まる。「くそう!」片山は電話機を叩き落とすと何度も何度も踏みつけた。

 

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