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夢であれ

「、お_さ!」




何も感じなかったはずの暗闇の中で、声が聞こえた。

「お_うさ!」

何を言っているのかは分からない。しかし、その声はどこかで聞いたことがあった。懐かしいと思うほど前ではないはずだが、しかしこれは確かに聞き覚えのあるものだ。


(この声は……)


「起きてください! お嬢様!」


「ん、んん……」


「お嬢様! お目覚めですか!?」


「お、おはよう。……ってあれ?」


私は目をこすりながら体を起こす。

そして、私の顔を覗き込んでいた人物と目が合う。

「え? あ、あなた……は」

「ど、どうされましたか?」








私に声をかけたのは、見たこともない女性だった。いや、どこかで見覚えが……。

「……あ」

私の頭の中で1つの記憶が弾けた。



くらりと、目眩がする。






「(ありえない、絶対、ありえないはず、なのにっ)」



この子は

「ど、どうされましたか!? お顔が真っ青ですが……!」


「____ちょっと立ち眩みがしただけ、……」

とにかくそんなありえない状況に置かれていることに気が付き、私は目を白黒とさせる。ついでに頬をつねる



眼の前にいる彼女は、どう見ても……





乙女ゲーム「フィリシティ・カラー」に登場するキャラクター『シャーロット』役割は俗に言うヒロイン。腰下まで伸ばされた銀髪は彼女が動く度にサラサラと流れ、宝石のような青い瞳に長いまつ毛、小さな顔についている朱色の唇。それに似合わないほど、とっても細い体系。


可愛い系というよりは美人系の彼女は、「フィリシティ・カラー」の中でも人気の高いキャラクターだった。


「(……な、なんでっ!? なんで私、ゲームの世界にいるの!?)」


そう、私は乙女ゲームのヒロインのシャーロット、、、、、をシンデレラの継母のごとく使い果たす悪役令嬢である。しかし、なぜ私がゲームの世界にいるのか……。


私の前世である私の名前は、牧野瑠海ほうのるうな。今の名前は「ルーナ」……。


いや、冗談キツすぎでしょ、、? そんな非現実的なことがあって、、いやまぁ最高ではあるけれど、推しを見れるってことは


「(流石に、夢?)」


、、、、いや、夢じゃないはずよ、私の頰につねった痛みが残っているし。


「お嬢様?」


「っ、な、何よ」


私は慌てて取り繕う。


「お顔の色が優れないよう、ですが……」



「……大丈夫よ。ちょっと考え事してただけ」


「そう、ですか……、ではお食事の用意をするようにしてきます、ね。」


彼女は私に一礼すると部屋を出ていった。


「……ふぅ」


私は1つため息をつくと、改めて自分の状況を整理し始めた。


今の私の名はルーナ・ルイス・バーウィッチ。年齢は11歳、乙女ゲーム『フィリシティ・カラー』での悪役令嬢だ


私は、主人公であるシャーロットの「メインストーリー」の第一攻略者、婚約者のレオンハルトに適当に愛想を振り向いてさぁおしまいと心を開かず、周りの従者をいじめ抜くルーナ、


レオンハルトがこの公爵邸に訪れた際に、シャーロットはレオンハルトに救われたりなんやかんやあって、

婚約者である王太子レオンハルト・ハーヴェストに婚約破棄を宣言されて断罪されるという役どころだった。そしてその後平民へと転落するといった運命を背負っているのである。


ちなみにメインストーリーじゃない他の攻略者を攻略する場合も、私はなんやかんやあって悪事を暴かれ基本死ぬか奴隷か、メインストーリーの平民落ちが悪役令嬢にとって一番いいルート説も提唱されていたはず、、……が、そんなことは今はいい。


問題は私がなぜゲームの世界にいるかだ。しかもメインキャラの悪役令嬢として。

.......考えても思い浮かばないので、取り敢えずそのことは頭から放り投げた


乙女ゲームでのルーナというキャラは、ピンクブロンドの肩下ボブに小ぶりな丸顔、、、、、という可愛い感じのキャラなはずなのに、目が鋭く常に誰かを睨んでいるので、うん。


ルーナは美しい銀髪のシャーロットを妬んでいじめまくり、挙句の果てには主人公であるシャーロットにナイフを向けたりなんだりして断罪される、なんてルートもあるが、十分綺麗だと思うのだけれどね……。


まぁ!何はともあれ、悪役令嬢としての運命を回避しなければならない!うん!!

レオンハルトと婚約する直前。つまりゲームが始まる6年ほど前で、





「お、お嬢様、お食事を持ってまいりました、、」


怯えたメイドは、ガタガタと震えながら食事を私のもとへと運んできた。

私はそんな彼女を一瞥すると、






「(、なんて返答すればいいんだろうっっっっ!)」

話し方とか分かるわけない

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