謎の男
「すみません。誰かいますか〜?」
そいつは俺が想像していた人物像とはかけ離れていて、そいつは平凡的で町ではよく見かける服装をしていたがその容姿は決して普通ではなかった。切れ長の目に黒いツヤツヤの髪が似合っていて優しいイケメンを現実で表したようなやつだった。俺はこんな店にこんな時間入ってくるなんて怪しいヤツだと思って少し警戒していたが、ましてや顔がいいとなるとその警戒心が倍に増す。目付きが悪く髪もボロボロな俺からするとそいつの容姿は憎いほど羨ましくて、好きになれない。
「あのぉ店長さん?大丈夫ですか?」
そういえば接客を忘れていた。こいつがあまりにも怪しいせいだ。警戒を怠らずに相手にそれが伝わらないように普段笑わないせいで上がりきらない口角で笑顔を作る。いわゆる営業スマイルというやつだ。
「すみません。えっと今日はどうされたんですか?」
あまりの警戒の強さにそいつが普通の客だとは思えず要件を聞いてしまった自分を責める。
「あの、このポスターを見かけてこの店で働きたいなと思って!」
そいつは曇りなき眼でこちらを見ている。指は1枚の紙を指していて、そこには大きくバイト募集中と書かれていた。身に覚えがない。俺じゃなくてこの店の先代店長、つまり俺の親父が作ったポスターなのだろう。
「すみません。今はもうバイトを募集してないんですよ。」
「えっそうなんですか?どうしてもここで働きたいんですけど、、、どうしても無理ですかね?」
そいつは寂しそうな顔をして言った。しつこいなと思いつつしっかり返事をする俺は本当に偉いと思う。
「もう新しいバイトがいるんでねぇ。本当に申し訳ないです。」
とっさに嘘をついたけど察してくれるだろう。
「そうなんですね。お仕事中にお邪魔しました。」
そう言いながら男は帰って行った。以外と諦めが良くて助かった。察しの良くて諦めの良い奴は好きだ。どうやら俺の杞憂だったようだ。このまま何も起きなければいいな。さて残りの仕事も早く終えて昼食を頂くとしよう。やっぱり人生はこそこそ生きていくのが一番の策なのだよ。なんて思いながらコンビニで買ったあんぱんを頬張る。
誤字がないことを願います、、、
ちなみに主人公の店長君は思い込みが激しいです。