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奪われた大切。

作者: 万里
掲載日:2010/02/23

 そこにあるのは、何年か前に建てられた西洋風の館。あそこで最近相次ぐ事件。それは――――――。

 

 人として大切な何かを、奪われるという事件・・・・・・・・。


 僕の友人もその事件の被害者になった。彼は、心臓を奪われていた。その死体はとても見れるようなものではなかった。それは、冷たい風の吹く、夜のことだった。

 だけど、彼と僕は、そのときまでずっと一緒にいたのだ。事件を解決しよう、と館に潜り込んでいた。しかし、ほんの一瞬の隙に、彼とは離れ離れになっていた。

 次にあったときには、もう・・・・・・・・。


 僕は、犯人を突き止めることに決めた。敵を討つ。

 そして、今までの事件を調べてわかったことがある。

 集められたものを全部あわせれば、一人の“人”ができる。


 あの館の大広間に立つ。シンとした冷たい空気が流れる。


 今夜、犯人を暴く。


 数分待つと、来た。足音が聞こえる。

 スッと顔を上げると、そこには、たどたどしい足取りで、こっちに歩み寄る女がいた。その顔をよく見ると、皮膚を繋ぎとめたような痕があった。


 あぁ、なるほど。これが犯人の正体か。


「お前、まだ何か欲しいの?」

そうやって問いかけると、女はゆっくり口を開いた。

「アンタの心が欲しい・・・」

「心?」

「アンタの中なる優しい心が欲しい・・・」

そう言いながら女は手を伸ばし、僕の首に冷たい指を食い込ませた。

「へぇ」

「欲しい・・・、欲しい・・・」

冷たい指が、皮膚を引っかき、血が出てくる。


「でも、優しい心を取ったら、残るのは醜い心だけだよ?」


 手に持っていた包丁を、高く振り上げた。


 血にまみれた地面。色が違う目を見開いた女が、床に横たわっている。

 その女の体の中にある心臓を、鷲掴みにする。乱暴に取り出すと、空高く掲げた。


 大切なもの、奪い返したぞ。

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