奪われた大切。
そこにあるのは、何年か前に建てられた西洋風の館。あそこで最近相次ぐ事件。それは――――――。
人として大切な何かを、奪われるという事件・・・・・・・・。
僕の友人もその事件の被害者になった。彼は、心臓を奪われていた。その死体はとても見れるようなものではなかった。それは、冷たい風の吹く、夜のことだった。
だけど、彼と僕は、そのときまでずっと一緒にいたのだ。事件を解決しよう、と館に潜り込んでいた。しかし、ほんの一瞬の隙に、彼とは離れ離れになっていた。
次にあったときには、もう・・・・・・・・。
僕は、犯人を突き止めることに決めた。敵を討つ。
そして、今までの事件を調べてわかったことがある。
集められたものを全部あわせれば、一人の“人”ができる。
あの館の大広間に立つ。シンとした冷たい空気が流れる。
今夜、犯人を暴く。
数分待つと、来た。足音が聞こえる。
スッと顔を上げると、そこには、たどたどしい足取りで、こっちに歩み寄る女がいた。その顔をよく見ると、皮膚を繋ぎとめたような痕があった。
あぁ、なるほど。これが犯人の正体か。
「お前、まだ何か欲しいの?」
そうやって問いかけると、女はゆっくり口を開いた。
「アンタの心が欲しい・・・」
「心?」
「アンタの中なる優しい心が欲しい・・・」
そう言いながら女は手を伸ばし、僕の首に冷たい指を食い込ませた。
「へぇ」
「欲しい・・・、欲しい・・・」
冷たい指が、皮膚を引っかき、血が出てくる。
「でも、優しい心を取ったら、残るのは醜い心だけだよ?」
手に持っていた包丁を、高く振り上げた。
血にまみれた地面。色が違う目を見開いた女が、床に横たわっている。
その女の体の中にある心臓を、鷲掴みにする。乱暴に取り出すと、空高く掲げた。
大切なもの、奪い返したぞ。




