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自分なりに生きる

作者: 微風
掲載日:2024/03/29

急な休日出勤で連勤が続いた代わりに、偶然、急にちょっと長い休みをもらえた。

ストレスにストレスが重なり、キャパオーバー。

いつもどおり、友達に急に連絡して、日帰りの旅行を計画した。


行き先は自宅から2時間半ほどの自然の中。

山、川、温泉…完璧なロケーション。

到着するまでの道中も旅行の醍醐味。

”遠くに行く”、”知らない場所に行く”というとてつもない開放感で、

前日からワクワクが止まらない。(小学生か。)


友達とはいつもどおり現地集合。

限界を迎えた私の代わりに計画を立ててくれた。感謝。


このプチ旅行で、とても大きな実りがあり、それを忘れたくなくてここに記録する。

ずっと、自分は何もできないと思っていたけど、そんなことないかも。と思えた宝物。


===========================


乗り換えで移動していたら、前を歩く人のリュックから何か落ちた。

雨が降っていたことを思いだし、傘だ。と直感。

目の前に落ちたため、反射的に声を掛けるより先に手が出る。

いつもそう。私は準備してから声を掛けることが苦手。

拾い、渡すのはいいが、声を掛けるのが少しためらう。


すると、私が傘に手を伸ばすのと同時に


「落としましたよ!!!」


と私の隣のマダム。

と同時に傘を拾う私。

マダムの方を振り向く落とし主。

しかし、傘を持っているのは私。


「あっ、ありがとうございます」と落とし主。


無事傘が手元に渡り、ほっとすると、

「すごいわね。先に手がでて。」とマダム。

「つい先に行動しちゃうんです。声掛けてくださって助かりました。ありがとうございます。」

「いえいえ」


1分くらいの出来事だった。

でも、この1分の中で、なぜかとても大きな幸せを感じた。

私が苦手な事を得意とする人もいるし、私が得意なことを苦手とする人もいる。

当たり前だけど、とても深く府に落ちた。


その後は現地に向かい、友達と無事に合流。

自然を愛で、楽しむいつもの素敵な時間。


「そろそろお昼にしよう」と、有名な郷土料理屋さんに入店。

11時半からの開店で11時39分の到着も、満席。まさかこんなに人気店だとは。


「まあ、急ぐ旅じゃないし、ゆっくり待とうか。」賛成。

軒下でTHE日本というお座敷風のベンチに座って待つ。この時間も好きだな、と思いつつ。

すると、

「あっ、待ってるよ」

マダム3人来店。すると、友達、

「11時30分から開店なので、きっと皆さん今入ったばっかりだと思うんで、ちょっと待つかもしれません。」

とマダムたちへ。

「あらぁ。そうなのね。ありがとう」

とマダムたち。

それをきっかけに世間話が始まる。


「学生さん?」

「いえ、社会人です」

「でも今年入社くらいでしょう?」

「いえ、もう4年くらい働いてますw」

「あらっ!そうなの!今が一番楽しい時ねぇ。」

「おいくつ?」「そんなに色々聞いちゃ失礼よ」「きっと私たちの孫と同じ位よね」


何でも無い話だったけど、心から明るく笑えた。

久しぶりに、全く知らない人との会話を手放しで楽しいと思えた。


いつも職場に来る人たちとの会話は、どんなに常連さんでも、

私にとっては「仕事」で、どんなに楽しく職場で雑談をしても、やはり「仕事」なのだと自覚した。


季節限定のメニューを見て、

「○○にしようかしら。」とマダム。

「あ、それ夏だけみたいですよ。

冬だと牡蠣があるみたいですけど…って春のメニューもある…今って冬ですかね?春ですかね?」

と友達。

おお…確かに…wwwwwと私とマダムたち。

「メニューお決まりですか?」と店員さん。

何も決めておらず焦る私たち。また来ますね、と店員さん。


「あ。今が春か冬か聞き忘れた。」

全員爆笑。


ちゃんと、次に店員さんが来たときにマダムが「ほら!聞くんでしょ!」といってくれて、

聞いてみたら今は春だった。


その後すぐに呼ばれ、マダムたちとは分かれた。

「パワフルだったね。」と友達。

「うん。元気だったね、でもとても素敵だなって思った」

「あ、長く付き合ってるんだなって感じ?」

「うん」


多少のことでは絶対に嫌いにならない、側に居ることが当たり前の関係がそこに確実に存在していて、

こちらまでなぜか安心した。そんな人と出会えることも、関係を保つことも素敵だ。


その後は、温泉に入ったり、ゆっくりして帰った訳だが、

帰りのバスで読んだ小説もとても良くて、自分を取り戻せた感じがした。

この思い出があれば、こういう思い出があれば、きっと日々を乗り越えられる。

帰り道は真っ暗で、スーツを着た人たちが足早に私を追い越していったけど、

駅の改札の音や、電車の発着音も、笑顔で幸福感に包まれて、その場にいる私がいた。


ふと、この気持ちはいつかも経験したことがあると思いだし、

それは恋人と離れた後の時間だったとすぐに思い出した。

恋愛をしなくても、同じような気持ちになることができるんだと、とても驚いた。

きっと、それくらい素敵な、尊い時間だったのだと、幸福ながらも冷静に考えて、

余韻に浸りながら帰宅した。


それでは、また。



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