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THE ORION  作者: 黒羽感類
Season Two ダヴィ編
63/72

フィモスの民

仙人との体術のみの実戦を二週間行った五人は仙人と共にとある場所へ向かうことになった。

仙人は家に残るカシアスに言う。

「それではカシアス。ケルベロスとテピベラをよろしく頼むぞ」

「はい! 師匠!」

「テピベラ、カシアスの言うこと聞けよ」

オリオンの言葉にガブリエルが同調する。

「そうだぞ! テピベラ。ケルベロスに喧嘩うるなよ」

テピベラは不満そうな顔で言う。

「お前ら俺をガキだと思ってんのか?」





仙人は五人の準備が整ったことを確認すると

「さぁ、みんな! 5日で着くぞ! ついてこい!」と言って走り出した。

五人は置いていかれないように走り出した。

この一ヶ月半の修行で体術のみならず体力やアジリティも成長した五人は走ってオリュンポス山へ向かうことになった。

「これも修行のうちだね!」

サレンはやる気に満ちた顔で言った。

仙人と五人は一日中、休むことなく走り続け、夜には交代制で見張りを立てながら仮眠をとった。

そして5日目。

五人と仙人は目的地であるオリュンポス山麓に到着した。

「ここがオリュンポス山?」

「神聖な場所と聞いていたけど、かなり山からの威圧感が感じる」

緊張感が高まる五人に仙人は言う。

「君等はここで待っておれ」

「はい」

知らない場所で不穏な気配がする中、不安であったが仙人の言うことを五人は受け入れた。





仙人は麓にある森の中へ入っていった。

仙人が去ってから暫くして、五人はあることに気付く。

ガブリエルは言う。

「なぁ、見られてないか?」

オリオンは応える。

「うん。かなり多い」

「どうする?」

「仙人はまだ戻ってこなさそうだね」

「アタシらで対処するしかないっしょ」

アネッテは言う。

「オリオン!」

「わかった。俺がやる」

そう言うとオリオンは大声で隠れているであろう者達に語り掛けた。

「誰だ! 隠れているのはわかっている! 俺達は仙人の指導のもとここへやって来た!用があるのなら出てこい!」

すると木の影から、十五人の上半身裸の男達がぞろぞろと出てきた。

男達はオレンジ色の塗料を顔と体に塗っていた。

五人を囲んで男達が少しずつ近づいてくる。

敵意とまではいかないが警戒されているのをアネッテは感じた。

ガブリエルは他の四人より少し前へ出る。

「なんだお前ら! やんのか!」





その時だった。森の中から凛とした声がしたのは。

「やめなさい。アナタたち」

五人と男達は瞬時に森の方を見た。

森の中から一人の青年が出てきた。

彼もまた、上半身裸でオレンジ色の塗料を塗っている。

ただ、他の男達と違うのは頭に二本の太い角があることだった。

青年は五人の前へ出て、笑みを浮かべた。

「お待ちしておりました。リウ御一行様」

お辞儀をした青年の背後から「待たせたのう」と言って仙人が現れた。

「仙人! この人達は?」

「彼らはのう。フィモスの民じゃ」



                 ◇◇◇



「うわっ! めっちゃうまそう!!」

森の中にあるフィモスの民が暮らす村には木の上に建てた家が多くあった。

その中でもひときわ目立つ巨木の上には普段は会議や祭りを執り行う広間がある。

そこで仙人と五人はたくさんの御馳走でもてなされた。

レンダは言う。

「あのう。こんなに食べ物を頂いてよろしいのですか? ええと・・・」

角の生えた青年は言う。

「ワタシのことはイゲティスとお呼びください。皆さんはリウ様のお弟子さんと聞いているので友人も同然です」

ガブリエルは言う。

「イゲティスぅ! お前偉いのか? イゲティスの一声でさっきフィモスの民の人達の動きが止まったぞぉ!」

「はい。ワタシはフィモスの民の長です。そしてこの角は・・・」

イゲティスは二本の角に手を掛けて「長である印なのです」と言って角を頭から取った。

その行動に五人は驚愕する。

「ええええ!!! それとれるのぉ!!??」

「痛くないのかよぉ!!!」

颯爽とイゲティスは応える。

「はい。これは飾りですので。伝統でつけているにすぎません」

食事会は五人に癒しと驚きを届けた。

そんな五人を見てイゲティスは満足に思った。



                  ◇◇◇



食事会が落ち着いたところでイゲティスは仙人に問う。

「リウ様。今回お越しいただいたのは・・・」

仙人は真剣な表情になり応える。

「ああ。例の件についてだ」

仙人のその返事にイゲティスは身を乗り出す。

「ついに着手していただけるのですね」

「うむ。しかし、対処するのは儂ではない」

「では、どちらの方が?」

イゲティスは仙人の視線が五人に向けられていることに気付く。

「まさか! この子達が!?」

「そうだ。オリオン、アネッテ、ガブリエル、サレン、レンダ。この五人に行ってもらう」

「なっ!? なんと!? リウ様! 奴らがどんな魔法使いか理解されているでしょう!」

「もちろん。そもそも儂の調査で発覚したことだ」

イゲティスの困惑した声に五人は事の重要さに気付く。

ガブリエルは言う。

「ん? なんの話?」

取り乱したことを恥ずかしがるようにイゲティスは落ち着いた声で五人に言う。



「皆さんにお話ししなければならないことが幾つかありますが、まずはワタシ達。フィモスの民が何者なのかを話す必要がありますね」

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