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THE ORION  作者: 黒羽感類
Season One 学院編
43/72

切り札

トカゲは一斉にオリオンに襲い掛かる。

オリオンは一体目の攻撃を何とか避け、他の二体を引力で抑えた。

「俺もいるって言っただろうが!!」

背後からアルガリドの蹴りが入り、オリオンは転がる。

(駄目だ。トカゲを反発で遠ざけようとしても二体までしか同時に相手ができない。何か俺も直接攻撃する手段があれば。相手の体へ直接攻撃を当てる)

その時、オリオンの視界に倒れた木が入った。

(あの木を俺の引力で当てれば・・・いや、違う!! 当てるのは木じゃない!!!)

オリオンは立ちあがった。

「来い。アルガリド!!」






三体のトカゲがオリオンに襲い掛かる。

オリオンは右手で一番端にいるトカゲを抑え込み、左手で反対側の端にいるトカゲを抑えた。

そのまま両端のトカゲを動かし、真ん中のトカゲを挟み込んだ。

トカゲはお互いぶつかり合って、少しずつ消滅し始めた。

アルガリドは驚いた。

(!? オリオンの引力操作のキレが増している!! さっきまでとは速さや精密性が違う)

アルガリドはオリオンを直接攻撃しに行くが、その気迫から近づくことが出来ない。

行ったらやられる。そう思わせる程にオリオンの引力は力を発揮していた。

(そうか。これだ! この感覚。想像したことが瞬時にできる!!)

攻撃への渇望から手に入れた感覚。

それは引力で何かを引っ張るのではなく、自分が持つエネルギーを対象に当てるという感覚。

(俺が感じている引力をそのまま相手に当てればいい。当たった瞬間自分の手のように対象を操れる)

真ん中のトカゲが消滅すると、そのまま二体のトカゲをアルガリドへ向けて振り下ろした。

トカゲは呆然とするアルガリドに覆いかぶさろうとするとアルガリドの胸ポケットから小人が出て来てカードを出した。

その瞬間、アルガリドは姿を消した。

二体のトカゲはそのまま地面に落ちて消滅した。

(瞬間移動?)






「いやぁ驚いたねぇ」

アルガリドはトカゲがただの水になった地面から現れた。

小人が出したのは、穴を掘る能力を持ったカードだった。

アルガリドは横目で壺を見る。

(まさかここまでやるとはな。早いとこ終わらせたいが、もう少し溜めねぇとオリオンを確実に仕留められない。それにかなり魔力のストックを削られた。引力でマナを引っ張りたいがその隙を与えてもらえるか? 無理だな。やはり、なんとか壺が満たされるまで粘って一発で仕留める!!)

アルガリドがオリオンに向かって走り出すと、オリオンはアルガリドへは向かわず反対方向へ走り出した。

「今になって逃げんなよ!!」

アルガリドは追尾の矢のカードを三枚だした。

オリオンは走りながら、引力で矢の方向を変えて全て地面に突き刺した。

水の虎一体と水の蛇三体を立て続けに出し、オリオンに向かって走る。

オリオンはその四体に対応すべく両手を突き出した。

その時、空から三本の水の槍が落ちてくる。

オリオンは冷静に虎と蛇を引力で引っ張り、盾にして槍を防いだ。

しかし、足元への注意が疎かになっていた。

アルガリドは地中から現れ、オリオンの足を掴み投げつけた。

続いて、胸ポケットの小人が斬撃のカードを発動する。

地面に打ち付けられることなく着地をしたオリオンは複数飛んでくる斬撃を半分程度受けてしまう。

(引力が間に合わなかった!)

ダメージを負ったオリオンだったがアルガリドの魔法に対する理解度が上っていた。

(使うカードによって消費する魔力の量が違う。おそらく翼を持ったトカゲが最も魔力を消費する。コストの概念があるのなら出せるカードには限界がある。コストを考えたら消費量が多くて一度攻略されているトカゲは出しづらい。それに今まで同じカードは最大で四枚しか出していない。そこにも限度があるのかも)






オリオンはまた走り出した。

「勝ち目がないと踏んだか!!」

火の弾がオリオンの背後に迫る。

(火の弾は四回目!!)

オリオンは振り向いて引力で方向を逸らした。

しかし、火の弾を追いかけるように斬撃も発動されていた。

オリオンは寸前のところで止めて、自分の周りで維持する。

「なんだ。返さないのか」

「返すさ」

アルガリドは斬撃のカードを取り出して、オリオンへ放つ。

オリオンは反発によってアルガリドへ斬撃を放つ。

オリオンとアルガリドの間で斬撃がぶつかり合うが、アルガリドは気付く。

オリオンが反発によって放った斬撃の方が勢いがあり、アルガリドの斬撃が押し負ける。

そのまま斬撃はアルガリドに切り傷を与える。

(攻撃が通った!! ほとんどの魔力壁を剥がしたんだ!!)

自分の攻撃で膝をついたアルガリドは立ち上がる。

「はっ!! こんなガキに攻撃を食らわせられるとはな。もういい。十分満たされた」

そう言うとアルガリドの背後にカードから光を吸収していた謎の壺が現れた。

オリオンに緊張が走る。

「この技は、怪物の一撃に匹敵する破壊力を持つ」

アルガリドは壺を持ち上げ、口を付けて中に入っている光を飲み始めた。

全ての光を飲み干すと壺はカードに戻った。

「避けられるのなら避けてみろ!!」

アルガリドはまるで人形のように首をカクカクとあらゆる方向に曲げたかと思うと、口を限界まであけて、オリオンの方を向いた。

するとアルガリドの口の中が光り始めた。

その光は球体となって、みるみる大きくなった。

(まずい!! 魔力の塊を放つつもりだ!!)

しかし、オリオンより後方にはオリオンがアルガリドを連れてくることを信じて準備をしているレンダとサレンがいる。

(避けられない!!)

アルガリドが魔力の塊を放った。

オリオンは引力を全開にして魔力の塊に解き放った。

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