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THE ORION  作者: 黒羽感類
Season One 学院編
34/72

引力と魔法

「さて、サレン・ダーツ。アナタの魔法に必要なことはなんですか?」

アネッテへの指導後、三人のもとへやって来たクリファはそう言った。

サレンは、既に何かを企んでいる表情で応えた。

「時間です。それと、クリファ先生。マメガキの苗木を貰えますか?」

クリファはサレンの迷いのない返答に快く応じた。

「よろしいでしょう。演習場の倉庫に置いてあります」

「ありがとうございます」

「お次は、レンダ・サコリ」

「僕は探し物があるので、しばらく森の中を散策します」

「わかりました。二人は考えがあるようなので演習場から出ないことを条件に自由に行動することを許可します」

「はい!」

「それとサレン・ダーツ」

クリファがサレンに何か一言二言言った後、サレンとレンダは森の中に消えていった。






二人を見送ったクリファは一人で体術の練習をするガブリエルに言う。

「では、ガブリエル・ヘルトブルク。アナタのプランを聞かせなさい」

ガブリエルはクリファに向きなおり姿勢を整えて応える。

「はい! 俺は得意な体術と魔法を合わせたいです!!」

「なるほど。では、近接戦闘を行いながら引力でマナを集めるトレーニングを始めなさい」

「戦いながら引力を発するのはかなり神経使いますね」

「それに加え、手を開かずに拳でマナを集めるのです」

ガブリエルは拳を握り、やる気を滾らせた。

「わかりました!! 先生!! お手合わせ願います!!」

「よろしいでしょう。構えなさい」

ガブリエルとクリファは戦闘態勢に入る。

「来なさい」

クリファがそう言うとガブリエルは一瞬躊躇ったが、拳をクリファに向けて解き放った。






ガブリエルの拳は簡単にクリファの左手に受け止められるが、攻撃を止めず、連続で拳を入れていく。

クリファは涼しい顔でガブリエルに語り掛ける。

「まったく引力がでていませんよ。もっと引力に意識を」

これまで引力は、体の動きを止めて集中することで発することが出来ていた。

しかし、兵士を目指す者にとって動きながらの引力操作は、必須である。

(引力! 引力!! 引力!!!)

ガブリエルが引力に集中しようとした瞬間、クリファの一撃がガブリエルの左の頬にきまる。

ガブリエルは衝撃のあまり、倒れそうになるがなんとか耐えた。

「今のは死んでたわね」

(しまった! 引力に気を取られて、動きを止めてしまった)

ガブリエルは戦闘態勢に再び入り、クリファに拳を向ける。

クリファは言う。

「最終的には無意識に引力を発せられるようにしなさい」






ガブリエルの育ての父は愛国心が強く、ガブリエルが兵士になるために学院に行くと伝えた際は、泣くほどに喜んだ。

育ての父は、辺境の村で体術を教える仕事を兼務していた。

治安を守るために派遣されるはずの騎士が、この村にはやって来なかったからだ。

自分達の力で村を脅威から守らなければいけないと立ち上がったのがガブリエルの育ての父だった。

育ての父は「失礼があってはいけない」とガブリエルに自分が知りうる限りの体術を教えたのだった。

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