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THE ORION  作者: 黒羽感類
Season One 学院編
26/72

VSガブリエル

「さて、次はガブリエル! お前の番だ!」

「よっしゃあ! 一発で俺も倒すぜ!」

意気揚々と前へ出るガブリエルにアネッテは

「ガブリエルの魔道具はなに?」と聞いた。

「俺のはこれ!」

ガブリエルは三角錐の魔道具を見せるとテピベラは言う。

「それはツノという魔道具だ」

「そのまんまだよなぁ」

「ガブリエルは体術が得意だったな」

「はい! 俺は体術をいかして魔法を使いたいんだ!」

「なら使ってみろ。ツノを体のどこかにつければいい」

「ツノっていったら頭か」

「あんまりおすすめはせんな」

「じゃあ、手とか?」

「そうだな拳のように使ってみろ」

ガブリエルは拳に装着する。

「よし! ゴブリン、やろうぜ!!」

ガブリエルとゴブリンは握手をして位置につく。

ガブリエルは構える。






テピベラが「はじめ」と言うと即座にゴブリンは殴り掛かる態勢に入った。

ガブリエルがゴブリンに向かって拳を撃ち抜くために腕を引くと、スイッチをオンオフするような感覚を覚える。

ガブリエルは一瞬で理解した。

何が起こるかはわからないが拳を振り抜けばツノに内包された魔法が発動する。と。

ゴブリンが目の前に来て棍棒を振り上げる。

ガブリエルは棍棒が振り下ろされるタイミングで拳を解き放つ。

ツノの先端から魔力が螺旋状に包み込んでいく。

するとツノと右腕が回転を始めた。

ドリルのようになったガブリエルの右腕、拳は棍棒に接触し穴を開けた。

穴の空いた棍棒を見たゴブリンは汗をかきながら唖然としている。

「こりゃあすげーや!!」

ツノを眺めるガブリエル。しかし、あることに気づく。

ツノの先端が欠けていた。

「ええ! ツノがやべぇ!」

動揺するガブリエルを見て、テピベラは口を開く。

「それは強力だが、耐久性が低いんだ」

「えぇ! 使えないじゃん! これぇ!」

「ガブリエルよ。敵に突っ込むことだけが、戦いではないぞ」

殴る蹴るをひたすら繰り返しても勝つことは出来ない。

テピベラの言葉をガブリエルはそう解釈した。

「なるほどな。考えろってことか! 俺は格闘だけじゃないぜぇ!」






再びガブリエルが仕掛けようと踏み出した時、ゴブリンの様子がおかしいことに気づく。

ガブリエルは立ち止まる。

(なんだこの違和感)

ゴブリンは穴の空いた棍棒を砕き始めた。

「なにしてんだ」

棍棒は細かい破片となって地面の上に落ちた。

「おいおい。大事な武器壊して、俺に勝てるとでも?」

ゴブリンは欠片の上に手をかざして「オーカオーカオーカ」と唱えた。

すると棍棒の欠片に魔力が宿り、宙に浮き始めた。

ゴブリンは顔を上げて、ガブリエルに向かって手のひらを突き出し「オーカァ!!!!」と叫んだ。

その合図と共に棍棒の欠片はガブリエルに向かって弾け飛んだ。

「うおおお!!」

ガブリエルは飛び込むように避けてなんとか直撃を回避できたが、欠片の一つが頬をかすめて、血が垂れた。

「ちょっえっえっえ!? 魔法使うのかよ!」

「当たり前だろ。魔法使うのはお前らだけじゃない。敵も使うだろ」

「そりゃそうだけどさ。まさかゴブリンが使ってくるとは思わないじゃん」

ガブリエルはゴブリンの出方を考える。

(近接技に対して、中距離攻撃で威嚇して近づけないようにってか)

ガブリエルは立ち上がって言う。

「もう一度言う。俺が格闘だけじゃないってとこ見せてやる!!」





ガブリエルは回転させたツノを地面に突き刺す。

すると砂埃が立ち始める。

砂埃は広がっていき、二人ごと包む。

ゴブリンは視界を奪われ、ガブリエルを見失う。

砂埃の中を黒い影が動いているのに気がつく。

ゴブリンはすかさず棍棒の欠片を黒い影に向かって飛ばす。

しかし、手ごたえがない。

気付くと黒い影はゴブリンの周りを移動していた。

常に背後に現れる黒い影。

ゴブリンは影を察知するとすぐに影の方へ向いて背後をとらせないようにした。

黒い影は出たり消えたりを繰り返してゴブリンをイラつかせる。

我慢できなくなったゴブリンは欠片に呪文を唱える。

地面にあった残り全ての欠片が浮き上がる。

そしてゴブリンは全方位に欠片を弾け飛ばした。

またしても手ごたえはない。

息切れするゴブリン。

棍棒の欠片はもうない。

そこへ、背後から迫る黒い影。

ゴブリンは疲れで対応が遅れた。

その瞬間ゴブリンのみぞおちにガブリエルの拳が炸裂する。

「ぼーぼえるぅぅぅぅ!!!!」

ゴブリンの叫び声が響く。






ようやく砂埃が晴れると、そこには気絶しているゴブリンとそれを見下ろしているガブリエルがいた。

「おお!! ガブリエルの勝ちだぁ!!」

四人はガブリエルの元へ駆け寄る。

「あったりめぇよ」

「ガブリエル。ツノは?」

「砂埃たてるために全部使った」

「ええ!! 武器をそんな使い方するなんて勇気あるねぇ」

「まあね」

目覚めて起き上がるゴブリンにガブリエルは言う。

「ありがとな。欠片を飛ばして位置を教えてくれて。おかげで見失わなかったぜ」

ゴブリンは不満そうに「ぐぅぅ」と言った。

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