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THE ORION  作者: 黒羽感類
Season One 学院編
24/72

試練

ある日、テピベラから招集がかかり、五人は授業後、指定されたまやかしの森のとある開けた場所に集められた。

まやかしの森にまともに入るのはこれが始めてである五人は、テピベラによって放たれた光る物体に導かれ、集合場所にたどり着いた。




そこには、二本足で立つテピベラが前足を胸の前で組んで待っていた。

五人の姿が見えると「強くぅなりたいかぁ!!!!」と叫んだ。

五人は驚いただけで、まったく返事をしないのにテピベラはイラつきもう一度同じ言葉を叫んだ。

五人は付き合い「おー」と言うがテピベラは納得いかなかった。

「おいおいおい! 頼むぜ! その程度のテンションじゃあ試練は突破できないぜ!」

「おっ! やっぱ試練か! 早くやろうぜ!」

テピベラはしかめっ面で「いやだめだ」と言った。

「なんでだよぉ」

「これから行う試練はとても危険だ。下手すれば死人がでるかもしれない」

「そんなに過酷なんですか?」とアネッテが反応するとテピベラは「当たり前だ! 馬鹿チン!」と言って五人の頭を小突いた。

「大賢者からの試練が温いものなわけないだろ! わかったらもう一度かけ声だ!」

と言ってテピベラは再び叫ぶ「お前らぁ! 強くぅ! なりたいかぁ!!!!」

今度は全力で「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」と五人は叫んだ。

テピベラは満足げに「よろしぃ」と言った。

(ふっ。一度やってみたかったんだ)





テピベラは五人を並ばせ五人の前をうろちょろ歩きながら話始める。

「さて、これからお前達に魔法を使ってもらう」

「魔法? 引力ですか?」

「違う。魔力が込められている本格的な魔法だ」

「でも、僕達はまだ使えませんよ」

「わかっている。だから、ある物を使う」

「ある物?」

「だが! その前に! もう一度、お前達が魔法を学ぶ理由を言ってみろ」

「なんだよ。まだ試練始めねぇのかよ」

「大事なことだ。魔法を使うということがどれだけ危険で覚悟がいることか。さあ、言ってみろ! 半端者は試練を受けさせない!」

「ったく。しょうがねぇなぁ」

オリオンは思い出す。先日自分の引力操作が未熟なために、他の四人を罰に巻き込んでしまったことを。そして一歩間違えれば、学院自体を危険に晒してしまうかもしれなかったことを。

オリオンは言う。

「今のままじゃ、引力でまた皆に迷惑をかける・・・。戦争のせいで父さんと母さんが死んだんだ。村を守るんだ。あんなこと他の誰にも味わって欲しくない。だから、俺は魔法を学ばなければいけないんだ」

オリオンのその言葉にアネッテ、ガブリエル、レンダ、サレンも続く。

「戦争のせいで村がなくなった」

「戦争のせいで本当の親の顔も知らない」

「戦争のせいでお父さんはおかしくなった」

「戦争のせいで悪い人が増えた・・・・・・だから」

五人は言う。

「戦争を止めたい!!!!」





五人の心からの叫びにテピベラは思った。

この五人の期待に応えなければならないと。

イエスタデイに五人の指導役を頼まれた当時は、テピベラの性質上「めんどくさい」「やりたくない」「お家で寝ていたい」と駄々をこねたが、イエスタデイの命令を断れないテピベラは止むおえず依頼を受けた。

しかし、五人の思いを知って「来てよかった」と思った。

テピベラは五人に「あい! 承知した!」と応えた。




(これ、一度言ってみたかったんだよなぁ)



         ◇◇◇



「さて、お前達にこれから、ゴブリンとサシで戦ってもらう」

「戦闘ですか!?」

「あぁそうだ」

「さすがに、引力だけで魔物と戦うのは無理があるのでは?」

「だぁれが引力だけで戦うと言ったぁ?」

「じゃあ、ある物ってのは」

「そう。魔道具だ」

テピベラは五人にそれぞれ魔道具を一つずつ渡した。

「いいか。この魔道具を使って、三日以内にゴブリンを倒せ!」

「三日以内!?」

「そうだ。この試練でお前らには、魔法に指向性を持たせるということがどんなことかを頭と体で学んでもらう」

「魔法を体感しろってことかぁ」

テピベラは頷いて言う。

「引力でマナを集めて魔力にする。それを自分の想像する能力へと変換する。そのために先人たちがどうやってきたか、そしてなにより、魔法を使っての戦闘がどんなものかを学ぶべきだ」

「わかりました。やりましょう!」

五人の顔が引き締まる。

「お前らに渡した魔道具は『小さな箱』『不思議なスティック』『葉っぱ』『ツノ』『呪いの人形』の五種類だ。各々が抱える問題に合わせて選択した。試練の意図を掴み、力にしてくれ!」

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