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16.教会の裏切り者




「あら……そう、それは初耳ね」


 王国内にある小さな町のとある酒場にて、私は軽い息を吐いた。

 空のグラスを軽く揺らしながら、誰もいないテーブル席にて、独り言のように口を開く。


「リライト……ね」


『リライト』

 神聖統一教会としては、やはり黙っていなかったようね。

 予想よりも遅かったけれど、私への抑止力となる敵対勢力を確立させたみたいだ。

 しかしながら、その組織に神級聖女の参加はないという。

 一級、準一級聖女で固めた組織、確かに強力な人員を採用しているとは思うが、私が相手をする分には、問題にはならないだろう。


「……いい情報を聞いたわ。また何かあれば、教えてちょうだい」


 客観的に見れば、私が壁に向かって呟いているように見えることだろう。

 けれども、私はちゃんと会話していた。

 魔法を使い、遠くにいる人間との会話を成立させる。

 高度な魔法だから、数多くの人には扱えないもの。


 ……それこそ、会話の相手が訓練された聖女とかでなければ、成立しない魔法でもある。


「それはそうと、そっちの調子はどう?」


『普通です。聖女としての役割を日々こなしているだけですから。ノクタリア様は、色々と動かれているみたいで……こちらでも、結構、話題になっていますよ』


 頭に直接聞こえてくるのは、綺麗な女性の声。

 酒場の誰にも聞こえていない。


 私は、その声の主に対して、静かに告げる。


「私が『上級国民』に制裁をしていることよね……教会はどれくらい把握しているのかしら?」


『どれくらい……うーん? 案外、分かっていないことも多いと思いますよ。現に、この前、ノクタリア様が制裁を下した奴隷商の男は、未だに見つかっていないようですし』


「そう……教会の調査力は、思っていたより未熟なのね」


 私の存在を認識し始めただけなのね。

 まだ警戒する段階でも無さそうに思える。


『でも、『リライト』の規模はどんどん拡張されるみたいですし、ノクタリア様も気を付けた方がいいですよ』


「ええ、心に留めておくわ」


『それがいいです。あっ、私も『リライト』所属になったんで、内部情報が欲しい時は、いつでも連絡くださいね!』


「ありがとう。そうさせてもらうわ」


 席を立ち、私は酒場を後にする。

 支払いは、テーブルに置いてきたので、特に心配はいらない。

 町中をゆっくり歩きながら、私は声の主との会話を継続する。


「それで、次の標的になりそうな人は見つかったかしら?」


 次の標的とは……つまり、私の制裁対象となりそうな『上級国民』のことである。

 私個人の情報収集能力では、限界がある。

 だからこそ、教会の内部情報を簡単に引き出すことのできる聖女の協力者がいると、色々と便利なのだ。


『そうですねぇ。王都にいる『上級国民』の多くには、『リライト』所属聖女が護衛に付いているので……郊外にいる悪徳領主辺りが、罰しやすくていいかなって思います』


「なるほど……」


『私のオススメは、バオレン=フォン=ドミトレスク子爵ですかね。領民に重税を課しながら、自分たちは随分と贅沢な暮らしをしているらしいので……それから、人身売買にも、関与してるって噂があります!』


 ドミトレスク子爵領……ここから近い場所にあるわね。

 それに、あの領地は年々活気が薄れていると、巷でも話題になっている。領民が、重税を課されて、苦しい生活を強いられているのなら、そうなるのも納得だわ。


「なら、今回は、そのドミトレスク子爵に制裁しようかしら」


 弱者を平気で苦しめ、その罪悪感すら感じない屑を野放しにしておくことは、私の信義に反する。




 ──バオレン=フォン=ドミトレスク……制裁決定ね。






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