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神様のカゾエカタ2

 少女はまだ、しかめ面のままだった。

「大体、なぜこの部屋には食べ物が一切無いのじゃ!」

「(ん?もしかしてこの子、、、)」

「自分の準備不足でした、すみません」

誠実さを全面に押し出した謝罪。

 それでも幼女は不機嫌な態度を崩さない。大石は最早どうすればいいのかわからなくなってきていた。

「そもそも何故ナニユエこの船はこんなに金物臭いのじゃ?」


 そういわれても現代の海上自衛隊の艦艇は、掃海艇を除いてほとんどが鋼鉄製である。はたかぜもその例に漏れないのでどこに行こうと金属臭はしてくる。

大石は気にしたことなど無いが、、、。

あきらめて大石は聞き流すことにした。

聞いていれば、

  腹が減った。

  団子が食いたい。

  どうせなら、みたらしより三食団子がいい。

  熱々の緑茶も欲しい。

「(、、、?やはりそうか)」

 この、お腹が空いているのか、、、。

不機嫌な理由がわかってしまえば、話は早い。

「では糧食に用意させます」

「ふふん、いい心がけじゃぞ」

 大石の言葉に幼女は初めて笑顔になった。

大石は艦内電話を糧食班に繋ぎ、三色団子を頼んでおいた。その待ち時間。


「そういえばなのですが、お名前を伺ってもよろしいですか」

「まさかわらわのことを知らぬと申すのか?」

 やはり会話に名前は必要と考え聞いてみたのだが、まさかの逆質問をされてしまった。

生憎アイニク親族の中に水色髪を持つ者はいない。東京都の原宿に行ったこともない。なのでいくら記憶を探ろうにも該当する人物はないのだが、、、。

「失礼と思いますが、どこかでお会いしたことがあるのでしょうか」

「、、、お主は知らなくて当然か」

 幼女に溜息を吐かれた。

「よく聞くのじゃぞ、妾はヘラ。ペガソス-ジャンヌ-ヘラと言う。ちなみにペルラース皇国の聖主、つまり神じゃ」

 それを聞いて大石は混乱する。

 神、それは人の信仰の対象として祀られる偶像が大石の認識だった。なのにその神がいま目の前にいる。そんなこと受け入れられるはずがないと頭では分かっているが、本能がそれを理解していた。

 

 この幼女否、ペガソス-ジャンヌ-ヘラは人智を超えた存在であると。

「では、ペガソス、、、」

「ヘラでよい」

「ヘラ様」

「様は要らぬ」

「わかりました。ヘラは、、、」

 事の核心にせまろうとしたそのときだった。

「艦長?何をされているのですか、、、」

 両手でトレーを抱えた女性自衛官が廊下に現れたのは。

「篠原、、、」

 髪はポニーテールにまとめる168cm、艦内つなぎに身を包む篠原一等海曹は上司が何者かと話している状況で冷静を保とうとしていたが、意思に反してトレーはカタカタと小刻みに揺れていた。

 とりあえず状況を説明しようと大石が決めた矢先、、、。

「お主がこの艦のオサなのじゃな!!」

 嬉しそうにヘラが大石に抱きついたことで状況は、


さらに悪化した。


 勢いよく飛びつかれて大石はバランスを崩して仰向けに倒れる。何とか頭部の強打だけは避けたが、ダメージが軽減された程度。

 それよりも動揺を隠せなくなっている篠原1曹に見つめられていることのほうがマズイ。

しかも傍目から見たら完全に幼女が腰あたりに乗っかっている状態で、、、。

 がしかしそんなこと一ミリたりとも気にしていないヘラは、とてもうれしそうに大石の肩を揺らしていた。

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