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二話 冒険の始まりだ!

新田が次に目を覚ましたのは、見渡す限りの木々の中……何処かの森だった。


ここが異世界なのだろうか?まあ、何処だろうとこれが第二の人生のスタートなのは間違いないだろう。ひとまず今日泊まれる宿……最悪野宿するにしても安全な場所を探さなければ。


「ヨイショ……いたたたたた!」


身体を起こそうとした新田は、全身の痛みに気が付いた。


(あぁ、あの時か。にしても酷いな、あのイムとか言う奴)


新田は仕方なく、仰向けの姿勢のまま痛みが引くのを待つ事にした。


暫くそうしていると、何処からか話し声が聞こえてきた。聞き耳を立ててみると、どうやら冒険者なる人物達が討伐依頼を受けた魔物を探しているらしい。


(えっ!?魔物っ!?)


魔物の存在に恐怖した新田は身体を強引に動かし、すぐさま声のした方向に走った。そのような依頼を引き受ける程、実力のある人物の近くならば安全だと思ったからだ。


「炎技……ファイアーボール‼︎」


すると突然、目の前を巨大な火の玉が通過した。


火球の通り過ぎていった方向を見ればそこにはこんがりと焼けたこれまた大きな猪のような生物が横たわっている……推察だがこの生物は討伐対象の魔物で、冒険者達はこれに勝利したのだろう。


だとすると、こちらには冒険者が……


そう思い新田が火球のきた方向へと目を向けると、イマイチぱっとしない見た目をして首を傾げている黒髪の青年と、その背後から彼を化け物でも見ているかのような表情で凝視する高身長な美男と美女の姿があった。


「嘘だろ……中級冒険者でも油断すれば敗北するあのドスファ……ゲフッ、ゲフッをギルドに入ったばかりの冒険者が一撃で仕留めるなんて……これが転生者の力なのか……!」


「小林、凄い……!これならこの森に潜んでいると言われる最強の魔物にも勝てるかもしれないわ!」


「あの〜、俺はガルドさんとヨルムさんの言った通りに魔法を打ってみただけなんですけど……もしかして俺、また何かやっちゃいました?」


小林と呼ばれた青年は更に首を横に傾け、ガルド、ヨルムと呼ばれた二人組の男女は驚いた時のお手本のような表情を続けている。


あの二人を見ているとこっちまで顎が疲れてきた……まあそれはともかく。魔物を倒したのはこの小林と言う青年で間違いないだろう。


「あれ?そこにいるのは誰?」


小林達がこちらに気が付いたようだ。先程の技の威力も考えると彼を怒らせない方が良い。新田はやや慎重にゆっくりと、彼等に歩み寄った。


「ど、どうも。僕は新田って言います」


「俺の名前は小林。アラタ……もしかして君も転生者?」


小林はそう言う。少々無愛想だが悪い人物ではなさそうだ。


「多分、そうです。変な答えですみません、でも僕さっきこの世界に来たばっかりでよく分からなくて……と言うか、『君も』って事は小林さんも……?」


「うん、俺も転生者だよ。そっかそっか、じゃあ、良かったらとりあえず街まで送ろうか?」


「は、はい!よろしくお願いします!」


こうして新田はガルド、ヨルムとの挨拶も済ませた後に、彼等と共に街へと歩き出すのだった。


『小林と同じ転生者ならば強いに違いない。いっその事このギルドに迎え入れてはどうか?』とガルド、ヨルムに激しい勧誘を受ける最中、新田は考えていた。


(僕にも小林さんみたいな力があるんだとしたら……異世界って、ひょっとすると最高の場所なのかも!)


彼の脳内では欲望に着色されたいくつもの幸福なる妄想が飛び交っていた事だろう。


しかし、彼を侮蔑するのだけはどうかやめて頂きたい。そんな妄想が出来るのもこれから起こる出来事を知らない、今だけなのだから……

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