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タナカ ハジメの冒険  作者: 長野 学
アバロン編
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第40話 入学

 編入試験は実技と座学があったが、どちらも問題なく解くことができ、合格した。


 今日が初めての登校日だ。

 制服に着替え、家を出る。


 ちょっと緊張する。

 こちらの世界に来て初めての学園生活だ。

 俺の灰色の青春を、取り戻すことができるかもしれない。

 友達100人できるかな!


「ハジメ=タナカです。よろしくお願いします」


 朝、教室に行き、自己紹介をした。


 3年7組が俺のクラスだ。

 1学年は10クラスあり、1クラスに100人程の生徒がいる。

 俺の経験してきた学校からすると、人数がかなり多い。

 教室というよりも講堂といった風情だ。


 クラス内だけで友達100人達成可能。

 これは頑張りがいがあるな。

 と思ったが、挨拶をしたときに気づいた。


 教室の誰もが、俺より幼い。

 15歳くらいじゃなかろうか。

 ……そりゃそうだ。

 俺なんか以前の世界なら、とっくに義務教育を終わってるような年齢じゃないか。

 こっちの世界でも、学校に通うような年じゃない。


 おざなりな拍手が響いた後、俺は席に着いた。

 担任からいくつかの連絡があり、ホームルームは終了。

 皆、わいわいと親しげに会話をしながら授業開始を待っている。

 遠巻きに俺に視線を送る者はいるが、話しかけては来ない。


 ああ、この感覚は覚えがあるな。

 随分と久しぶりに感じる。

 中学1、2年の頃の教室だ。

 俺はずっと、空気のような存在だった。


 この世界では、裕福な家庭の子供は、6歳から12歳まで幼年学校に通うそうだ。

 その後、その子の資質に合わせて、騎士養成学校か、魔術学院に通わせるのが一般的らしい。


 つまり、この魔術学院に通い始めるのは12歳。

 3年生なら15歳というわけか。

 皆、年下なわけだ。

 俺は高校で3留くらった人みたいな居心地の悪さに耐えつつ、頑張るしかないらしい。


 魔術なんて、大人になってから習いたい人も多いんじゃないかと思ったが、そうでもないんだな。

 大人になったら、日々の生活に追われて向上を求める余力がなくなる。

 どこの世界も、そんなものなのかもしれない。


 そんなことを考えていると、担任が戻ってきて、授業が始まった。


 まぁいい。俺の目的は勉強だ。

 友達なんていらない。

 人間強度を保つのだ。


 ……寂しくなんかないやい。



 ―――――



 それから授業を聞いて、昼休みに学院を見て回り。

 1人で昼飯を食べ、午後の授業を聞いて、帰宅した。

 ……そして、思った。


 やばい。

 授業が全然分からん。


 なんということだ。

 中途半端な時期に編入したため、授業は1年の行程の半分ほどを終了している。

 その続きからの授業なため、ある程度は覚悟していた。


 だが、予想以上だった。

 正直ナメていた。

 所詮は魔術の授業だろう。

 イメージがどうとか、抽象的なトレーニングをするに違いないと。


 違った。

 出てきたのは、見たこともない計算式だった。

 訳の分からない記号と数字を黒板に羅列され、授業は終始ちんぷんかんぷん。

 最後に例題を解かされたが、何を問われているのかすら分からなかった。


 参った。

 かなり本腰を入れて立ち向かう必要がありそうだ。

 帰って教科書を最初から読破するしかない。

 まさか異世界に来て、こんな勉強らしい勉強をする羽目になるとは。


 ただ、今日は打ちのめされて辛いので、明日からにしようかな。


 いやダメだ。

 今日からするのだ。


 治癒魔術までは使えるのだから、俺が分からないのは半年分の授業範囲だけのはずだ。

 中級魔術の教科書を読み込めば、きっと分かるようになるはず。


 家で、頑張って教科書を読むことにした。




 ーーーーー




 そして迎えた朝。


 ちくしょう。

 こんなにがんばったのに、10ページくらいしか進まない。

 授業では、もう300ページくらいまで終わってるというのに。

 これじゃ、今日の授業もわけが分からないまま聞くことになる。

 わけわけらんことを延々と聞かされて、延々とわけわからんのは辛いんだ。


 はぁ。

 今日はもう休もうかな。

 いったん教科書を授業のところまで読み終わってから登校のほうがいいような気もしてきた。

 そんな考えが頭をよぎる。


 でもなぁ。

 昨日挨拶したばっかりだしなぁ。

 編入2日目にして行かなくなったら、変な目で見られそうな気もするなぁ。

 出席も進級に関わるらしいしなぁ。


 ……迷った結果、折衷案でいくことにした。

 授業には出るが、内容は聴かない。

 教科書を最初から読むことに専念する。

 分からない授業なんて、聴いても無駄だろう。

 それでいくしかない。


 俺は重い脚を引きずりながら、魔術学院へと向かうのだった。

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