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タナカ ハジメの冒険  作者: 長野 学
アバロン編
27/109

第27話 C級冒険者になる

 あれから2か月ほど。

 D級クエストをひたすらこなした。


 周辺の村に魔物が出ることは、結構な頻度であるようだ。

 まぁ、アバロンの周りには100以上の村があるので、1つの村で考えればそう多くはないか。


 それに、村人が魔物を何度か見かけた時点でクエストは組まれるので、被害にあった人間が多くいるわけではない。

 その分、目的の魔物が見つからず日が暮れることもあったが、そのような場合は、ギルドとの取り決めで村長の家に泊まらせてもらえるようになっている。


 倒した魔物は、ホーンビートル、グレイトボア、ホブゴブリン、アシッドスライム、ジャイアントバット、サンドクラブ、などなど。


 最初はかなりビビりつつ退治していたが、だんだんと余裕を持てるようになってきた。

 これまでのところ、ヒヤッとする場面はない。


 基本的に、魔術を放てばどの魔物も一撃だった。

 狙いを定めて放てば、避けられることはまずない。

 ジャイアントバットだけ、少し狙いからは逸れたが。

 それでも体の一部には命中し、2発目で仕留められた。


 ホブゴブリンは、ゴブリンと徒党を組んでいたので、周りのゴブリンも倒さなければならなかった。

 しかしあまり問題にならず、普段セーブしている魔術の規模を上げれば、まとめて倒すことができた。

 ゴブリンの討伐分もまとめてギルドに報告し、金を多めにもらうことができて、一石二鳥だ。


 一番苦労したのは、アシッドスライムだ。

 倒すこと自体は容易だったが、体が酸でできているため、その後の回収に手間取った。

 捕獲依頼だったので、持ち帰らなければクエスト達成にならない。

 ギルドから特殊な袋を貸与されていたが、それに入れるのも大変で、一度近くの村に戻って、スコップを借りてくる羽目になった。

 スコップは少し溶けてしまい、おわびとして持ち主に少しお金を渡した。


 これまでの経験を踏まえて、重要だと改めて感じたこと。

 それはやはり、敵に近づかせない、ということだ。

 たいていの魔物は、遠距離攻撃の手段を持っていない。

 なので遠くにいれば、俺だけが攻撃可能なのだ。

 負けるわけがない。


 ただ、森に入ることが多いため、木々に遮られていつの間にか後ろに敵がいた、という状況は非常に恐ろしい。

 なのでとにかく背後には気を付けていた。

 すると、やってるうちに魔物の気配がなんとなく分かるようになってきた。

 ぼんやりと、魔物が発する魔力を感じるようになったのだ。

 4〜5メートルくらいまで接近しないと分からないが、少なくとも、不意打ちで殺されてしまうような心配はなくなった。


 その他、森で不意に出会う魔物もできるだけ狩るようにした。

 素材をギルドで買い取ってくれるからだ。

 その甲斐あって、お金の貯まりが少し早まった。


 そしてついに、念願のアパート暮らしを始めることができた。


 冒険者ギルドから徒歩10分。

 8畳くらいの広さで、浴室、トイレ、キッチン付。

 お値段は月に銀貨5枚と大銅貨5枚。

 ついに一国一城の主となった。

 いろいろと家具も買い足し、部屋らしくしていこうと思う。



 そんな日々を送っていたら。

 気づけば、いつの間にかC級冒険者になる資格を得ていた。


「早いですね。もうC級に上がるんですか」


 冒険者ギルドで、受付嬢に言われた。

 こう何度も依頼をこなしていれば、顔なじみにもなる。

 他に話す相手もいないしな。


「……早いのかな?」

「ええ、多くの人は、C級になるのは1年ほどかかりますよ。

 クエストの失敗がないというのも、珍しいです」

「そっか。案外俺、冒険者に向いてるのかも」

「そうですか。

 ……まぁ、詳しくは詮索しません。では、大銅貨3枚いただきます」

「D級のときより、ちょっと高くなるんだな」

「ええ、世の中そんなものです」

「そんなものですか。

 ……はい、じゃあこれ、お願いします」

「確かに承りました。では手続きをいたしますので、少々お待ちください」


 そう言うと、受付嬢は奥に引っ込んでいった。


 俺はランクアップが早いのか。

 まぁ確かに、あの魔物達と魔術なしで戦おうとしたら、まったく歯が立たないだろう。

 俺の魔術は、威力がおかしいうえ、回数制限なしの反則技なのだ。

 なんでそんなものが俺に備わってるのかは分からないが、有効活用させてもらおう。


「おめでとうございます。これをもちまして、ハジメ様はCランク冒険者となりました。

 これからもギルドへのご協力、よろしくお願いいたします」

「ありがとう。じゃあ、また」

「――あ、ハジメ様」


 手続きを終え立ち去ろうとしたら、受付嬢が声をかけてきた。

 珍しい。


「Cランクのクエストは危険性が増します。

 さらに遠方の依頼も増えるため、Cランクになった方は、多くの方がパーティーを組んでいます。どうぞ、ご一考ください」

「分かった。ありがとう」


 俺はそう言って、今度こそ立ち去った。


 パーティーか。

 組んでもいいが、知り合いがいないしな……。

 掲示板の端っこに、パーティーメンバー募集の貼り紙はたくさんあるが、どうだろうか。

 あんまり知らない人に命を預けるというのは、ためらわれる。


 それに人数分、報酬も減ってしまうしな。

 C級クエストは、D級の5倍から10倍の報酬があるので、たしかに多少人数が増えてもこれまでより稼げるだろう。

 しかし1人でやれば、その報酬はこれまでとは比べ物にならない。


 今まで特に討伐で苦労したことはない。

 ヒヤリとしたことすら皆無だ。

 この状況で人数を増やすのは、馬鹿らしい気がする。


 もう少しソロでやってみよう。

 危ないと思ったらすぐ引いて、戻ってくれば大丈夫だろう。


 そう結論づけ、パーティーは組まないことにした。



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