09 ロイとみんな
転送魔導車『システマ』で来てくれたのは、
モノカさんとカミス君、マクラちゃんとハルシャちゃん。
みんな、玄関でニケルちゃんの一大事と聞いて、びっくり。
我が家に駆け込んで、ニケルちゃんと涙の対面。
両チームの今後についてのチームリーダーによる挨拶回りとのことだったけど、
今は、ニケルちゃんの問題解決に、全力集中してくれています。
泣きながら抱き合っていたちっちゃな仲良し三人娘は、
リノアとミスキさんが落ち着かせてくれて、
今はチームミスキの三人娘に付き添われて客室へ。
居間では大人たちが、今後の対応について思案中。
「ニケルちゃんが冒険者に憧れ過ぎちゃったことが原因なら、冒険者の私たちじゃバルモルトさんの説得は無理、ですよね……」
最強無双の冒険者として名高いモノカさんでも、今回ばかりは、難題。
「それでも、ご家族が離ればなれのままなんて、私は……」
孤児院育ちのミスキさん、家族という関係への思い入れは人一倍。
「……」
皆、無言。
視線が、俺に集まってくるのを、感じる。
ニケルちゃんの『転送』先が、ここだったことの意味。
久々に胸の奥から湧き起こってくる、あの気持ち。
「俺が、バルモルトさんに、話し、聞いてきます」
みんなが、うなずいてくれた。
ミスキさんに『システマ』の準備をお願いしようとしたら、
「私も、行きます!」
小さなニケルちゃんのしっかりした声には、大きな覚悟。