第一話 魔女暗殺司令
街のとある場所で銃声が響き渡る。
気がつくと、長身の男性か何者かに殺害されていた。
世界最高の暗殺者、レイヴェルの仕業だ。
彼は幼い頃からスラム街で育ち、人を殺す事など一切躊躇しない危険な人物だが、表に出る事はほとんどなく、影で暗殺の仕事を請け負いながら生活する生真面目な人物でもある。
そんな彼の運命は、ある日を境に大きく変わる事になる。
とある昼下がりの午後、彼の元に一通の宛先不明の手紙が届く。
レイヴェル「何かのイタズラか?馬鹿馬鹿しい。だが読んでみる価値はありそうか...どれどれ?...」
そこには、森の奥に潜む魔女を暗殺してほしいという内容と地図が記されており、レイヴェルは半ば呆れつつも準備を整えて魔女が潜む森の奥へと向かう事にする。
途中、深く生い茂った草木を掻き分け、怪しげな雰囲気が漂う木々の中を進み、普通の人間ならば即死する毒沼地帯を慎重に歩きながらレイヴェルは一歩ずつ魔女のもとへと向かっていく。
レイヴェル「こんなとこ、普通の人間なら即死だな。万が一の時に備えてガスマスクを用意しておいてよかった。しっかし、本当にこんなとこに魔女が住んでるのか?デタラメだったら許さないからな!」
半信半疑になりつつも、視線の先には小さな小屋が見え始め、レイヴェルはようやく魔女の住処にたどり着く。
小屋には小さな明かりがついており、魔女がいることに確信を持ったレイヴェルは、長年使ってきた暗殺用のライフルを背負っていよいよ暗殺へと動き出すが、魔女は当然ながら暗殺される事など知る由もなく、呑気に料理を堪能していた。
レイヴェル「呑気に料理なんかしやがって。だが貴様の人生もここで終わりだ。己の運の悪さを実感しながら死ぬといい。」
そうぼやきつつ、ゆっくりと銃口を構え、引き金を引いてレイヴェルは銃弾を放った。だがその時、異変に気づいた魔女が反撃の魔法を放ち、レイヴェルの暗殺は失敗に終わる。
魔女「こんなところに人が来るなんて珍しいな。要件は私の暗殺か?それはやめたほうがいい。私こう見えて耳がいいからな。」
そう発した魔女の方を向くと、レイヴェルは思わず言葉を失った。その理由は、魔女とは遠く離れている姿の、まだ幼い小さな少女が目の前にいたからだ。
つづく