四季 (妖精のイタズラ)
春
ポカポカ日差しに誘われて
今日こそ
あの子に告白するぞ
ダメだ。
顔を見ると言えない。
その時一陣の風が
〜〜〜あの子もきみの事好きだよ〜〜〜
「好きだ!です!」
ふたり同時に
春の妖精のかわいいイタズラ
夏
ラテンのリズムに誘われて
ひとり
男達の視線を背中に感じながら
喉を潤す
ひとりの男と目があった
ニヤッと笑った顔
手にはホテルの鍵
誘われるまま
欲望のままに
夏の暑さのせいなのか
テキーラのせいなのか
夏の妖精の妖艶なイタズラ
秋
今日は満月
時間を決めてふたりで
月を見ようと約束した
遠く離れた彼女も見ているかな?
昨日電話でケンカしてしまったから
見ていないかな?
月を見ていると
うさぎがぴょんぴょん跳ねている
「えー!」
電話が鳴った。
「うさぎが跳ねてるよ。」
ふたりで、月を見ながらのおしゃべり。
秋の妖精の素敵なイタズラ
冬
ボクは道に迷ってしまった
両親に山は通って行くな
山の天気は変わりやすい
吹雪くぞ と言われていたのに
右も左も分からない
あー このままここで眠りたい
ボクの身体に雪が積もっていく
白い細い腕がボクを抱き上げた
夢?
気がつくとボクは山小屋にひとりでいた
暖炉に火がついている
濡れた白い着物が暖炉の前に
消えてしまった冬の妖精の優しさ